布施 恵理 院長の独自取材記事
せや皮膚科クリニック
(横浜市瀬谷区/瀬谷駅)
最終更新日:2026/10/02
瀬谷駅南口近くの「せや皮膚科クリニック」は、話すだけで元気をもらえそうな笑顔の布施恵理院長が、「医師が少ない地域でこまやかな医療を」と2014年に開業したクリニック。「患者さんが何に困っているかを詳しく伺い、一人ひとりに合った治療を考る」をモットーに掲げ、診療にあたる。さらにアトピー性皮膚炎に対する生物学的製剤や、保険適用となった手掌多汗症・腋窩(えきか)多汗症の治療薬など、必要に応じて新たな治療法も導入。大学病院などでの経験も生かし、身近なクリニックで質の高い医療の提供をめざす布施院長に話を聞いた。
(取材日2026年8月12日)
患者の生活を好転させる可能性もある皮膚科診療
こちらの診療方針や診療時の心がけをお聞かせください。

患者さんの話をじっくりと伺い、その方に適した治療法を納得のいく説明と一緒にご提案するように心がけています。なるべく気楽に会話していただけるよう、ざっくばらんな雰囲気で話すことも多く、話がつい長くなることもあります(笑)。治療がうまく進んだら、今度はどうやってその状態を保っていけるかを考え、生活面での注意点なども詳しくご紹介します。一方、久しぶりに来院した方が治療を中断したことで状態が悪くなっていても、絶対にとがめたりせず、「悪くなっちゃって残念だね。今度は治療を頑張ったときも見てみたいから、まずは3ヵ月やってみない?」など、少しでも治療に対して積極的になれるような言葉をかけます。そして「今のつらい症状はきっと改善につながるから、一緒に頑張りましょう」と、治療の再開につなげることを大切にしています。
開業から今までを振り返って、どのように感じられますか?
長く勤めていた大学病院に近く、人口あたりの医師数が少ないといわれる瀬谷区で2014年に開業し、今では多くの患者さんに来ていただけるようになりました。また皮膚科領域は、ここ10数年でアトピー性皮膚炎や多汗症などへの新たな治療法が次々に登場して、患者さんの悩みを改善に導く手段が増えています。例えば皮膚疾患のお子さんは、体が温まるとかゆみが増すため、食事やスポーツ、入浴などを避けるなど、生活面の制約に悩んでいる子も少なくありません。多汗症で汗が気になって希望の仕事を諦めたような方もいらっしゃるでしょう。こうした患者さんの症状が改善できれば、生活が大きく変わる可能性があることも強く感じています。
どのような治療が受けられるのでしょうか。

虫刺されやかゆみ、腫れといった一般的な皮膚症状のほか、適応があればアトピー性皮膚炎に対する生物学的製剤の処方も可能です。乾癬やアトピー性皮膚炎、掌蹠(しょうせき)膿疱症、尋常性白斑などで、適応がある方には紫外線治療も行い、そのために全身用のナローバンドUVB、部分的に照射できるエキシマライトなどの装置も備えています。また、患者さんのお悩みに応えるため、自費診療にはなりますが、IPLの装置も導入しました。さらに顔などの強い赤みが気になる方には、聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院をご紹介しています。私も同病院の皮膚科で月2回は外来診療を行っているため、連携は非常にスムーズです。その後のサポートは当院で行えますので、ご相談ください。
アトピー性皮膚炎や多汗症の新たな治療にも対応
アトピー性皮膚炎の治療について詳しく教えてください。

アトピー性皮膚炎では非ステロイド薬でも症状の改善が期待できるものが増え、これまでの治療をしても十分な改善が得られなかった中等症・重症の方は、注射剤の生物学的製剤の適応も考えられます。当院では4種類の生物学的製剤が保険適用で処方可能で、そのうち生後6ヵ月以上、6歳以上からご利用いただけるものもあり、横浜市の小児医療費助成制度の対象です。処方の際は当院でも注射可能ですが、ご自宅での自己注射なら数回分をまとめて処方でき、通院負担軽減のため希望される方も多いですね。この場合、まず院内で何度か練習していただき、皮膚症状を確認して大丈夫と感じたらご自宅での注射に移行します。ただし生物学的製剤を使う前に、塗り薬を適切に塗っているかなど、必ずそれまでの治療を見直すことも大切です。適切な塗り方で改善が期待できる場合もあります。なお、生物学的製剤を使い始めてからも、基本的には塗り薬との併用が必要です。
先ほどのお話だと多汗症も治療法があるのですね。
当院では手のひらの多汗症(手掌多汗症)またはわきの多汗症(腋窩多汗症)で、明確な原因がない原発性などの症例に対し治療を行っています。日常生活に支障があるほどの症状なら、最近登場した塗り薬は保険適用で治療できるようになりました。当院では手掌多汗症に1種類、腋窩多汗症には2種類の薬が処方可能です。一方で、甲状腺疾患や神経疾患による多汗、更年期で汗をかきやすい方などは、治療で汗をとめてしまうと健康を損ねることが考えられ、原疾患の治療を主体にしていただくようにしています。また足の多汗症も今のところ保険適応の治療薬はない状況です。
ニキビ治療についてはいかがですか?

私が開業した頃に比べると、「ニキビはクリニックの保険診療で対応できる」との啓発が浸透し、今では男女問わず多くのお子さんが相談にいらっしゃいます。皮膚の角化の抑制を図り、毛穴の詰まりを改善するための塗り薬は12歳から始められるので、ニキビ痕がなるべく残らないように、早めのご相談をお勧めします。受験勉強などのストレスで一時的に状態を悪化させてしまうケースもあり、根気を要する治療ではありますが、症状改善に向け、しっかりと通院を続けてほしいと思います。十分な睡眠時間の確保が難しくなかなか改善しないなど、つらい時期にあるお子さんには、「今は気にしすぎないで」など、タイミングに合わせた声がけを工夫して、治療に前向きになれるよう努めています。
地域住民が安心して暮らせるよう地域連携を深める
皮膚のことで深く悩む方も多いのでしょうか。

「仕事を辞めない限り治らない」「化粧はしないで」などと伝えられ、治療を諦めた方などもいらっしゃいます。私は患者さんのお話をしっかり伺って、その方の状況に合わせたアドバイスや薬の処方をめざしています。例えば、受験前のストレスが原因と思われる学生さんには、受験が終わるまで少し強めの薬を提案し、ステロイドの長期使用が心配な保護者には生後3ヵ月になればステロイド以外の薬が使えるからそれまで頑張りましょうと励ますなど、患者さんの立場に合わせて治療法を考えていきます。また、塗り薬の量が足りずに治りにくいケースも案外と多いので、必要な方には塗り方の指導も行います。最初に私が塗ってあげると「こんなにたっぷり?」と驚かれると思いますが、肌にティッシュを置いて下向きにしても、張りついて落ちないくらいが基本です。当院では薬の減り具合も確認できるよう、受診の際に使い終えた薬やその写真をお持ちいただいています。
医師を志し、皮膚科を専門に選ばれた理由は?
父が小児科の医師で、以前から同じ道を進むことは考えていました。また中学校・高校は陸上部だったので、運動と人に関わる分野を学びたいとの考えもあり、医学部に入学したんです。大学進学後も陸上は続け、当初少なかった女子部員同士でおしゃれも楽しみながら競技に取り組んでいました。するとなぜか記録がどんどん伸びて、入賞もできてとても楽しかったですね。そんな日々に、恩師となる素晴らしい先生と出会い、適切な診断と治療で患者さんを支える様子を見て、皮膚科の魅力を知りました。症状が目に見えるという点も自分に向いていると感じ、迷わず皮膚科に入局。厳しい先生でしたが、皮膚科の奥深さや面白さ、医師としての生き方など多くを学ばせていただきました。
地域の方へのメッセージやこれからの展望をお願いします。

皮膚のことで何かお困りだったら、虫刺されでも構いませんから受診してください。現在はSNSや生成AIなどからも情報は得られますが、それが本当にご自身のケースに適切かどうかは専門家でないと判断は難しいと思います。その確認という意味でも受診していただければと思います。また今後の展望としては、病院との連携はもちろん、地域のクリニックの先生方とも協力して、当院にいらした患者さんで内科や整形外科、神経内科など他科の受診も考えたほうがよい場合には、迅速にご紹介できるように連携を深めたいですね。そうやって瀬谷区全体で幅広く対応できる医療体制を整え、皆さんがより安心して暮らせる地域にしていけたらと考えています。
自由診療費用の目安
自由診療とはIPL機器による肌ケア/全顔1回2万2000円、両頬のみ1回1万円

