布施 恵理 院長の独自取材記事
せや皮膚科クリニック
(横浜市瀬谷区/瀬谷駅)
最終更新日:2025/03/24

瀬谷駅南口からすぐの好立地にある「せや皮膚科クリニック」は、2014年の開院から10周年を迎えたクリニック。布施恵理院長は、話しているだけで元気をもらえるような笑顔がすてきなドクターだ。「患者さんがいらした時に、その方が一番困っていることは何かを考えるようにしています」という言葉どおり、忙しい患者には1日1回の外用薬を処方するなど、一人ひとりの立場に合わせた治療を心がけ、「今のつらい症状の改善は見込める」と話すという布施院長。医師としての経験の豊かさと、根気強く対話を繰り返して治療法を決めるという診療スタイルで日々診療にあたっている。身近なクリニックでより良い医療の提供をめざす布施院長に話を聞いた。
(取材日2024年12月11日)
地域に根差し10周年、幅広い治療の選択肢が魅力
10周年おめでとうございます。

ありがとうございます。おかげさまで多くの患者さんに来院いただき、気づいたら10年という感じでした。処置も多い皮膚科は診療にも時間がかかり、近年では長くお待たせしてしまうこともあるのを心苦しく思っています。少しでもスムーズな診療につなげられればと、公式サイト上にAIチャットツールを導入しました。例えば「診療時間は何時から?」「休診日は何曜日?」といった医院に関わる質問から、「アトピー治療で新しいものは?」などの治療に関する質問まで、サイト上に公開している情報であればAIがお答えできます。事前にサイトを確認していただける方も多いのですが、お電話での問い合わせもあり、都度スタッフが対応している現状より、より良い方法をと思い導入しました。今後は少しずつ公式サイトの内容も充実させて、より多くの質問にお答えできるようにしていければと思っています。
充実した医療機器をそろえられているそうですね。
開業当初からナローバンドUVBという全身用の紫外線装置と部分的に照射できるエキシマライトを備え、乾癬やアトピー性皮膚炎、掌蹠膿疱症、尋常性白斑の方たちの治療に活用しています。また、患者さんからのさまざまなお悩みを受け、自費診療にはなりますが、毛細血管拡張を抑えるためのIPL機器も導入しました。開業前には大きな病院での勤務を長く経験し、大規模病院ならではの治療や技術を学んできました。そうした経験を生かし、これまで大きな病院でしか受けられなかったような治療も、こうした駅前のクリニックで気軽に受けていただきたいと考えています。皮膚疾患の治療というと軟膏をイメージされる方が多いと思いますが、それだけではないことも知っていただきたいのです。いくつかの治療段階がある中で、当院でできることを広げ、ここでできることは完結したいと考えています。
アトピー性皮膚炎の治療も、幅広い選択肢をご用意されているとか。

アトピー性皮膚炎の治療は、この10年で素晴らしく進歩しています。非ステロイド薬にも良いものが増えていますし、これまでの治療で十分な効果を得ることができなかった中等症・重症の方を対象とした、生物学的注射製剤もあります。生後6ヵ月の小児から使用でき、体重30kgまでは月に1回、それを超えると2週間に1回注射を受ける治療です。保険適用で、小児医療費助成制度の対象の治療法です。ご自宅での自己注射も可能です。当院では、外用薬やナローバンドUVBでの治療で改善が見られないケースを対象に、段階的に導入しています。かゆみの改善につながることで、勉強や仕事に集中できるようになることも望めるのではないでしょうか。アトピー性皮膚炎は長く付き合うものですから、気落ちせず治療に向き合えるよう、新しい治療も含めてできることはいろいろあるとお伝えするようにしています。
一人ひとりに寄り添う治療提案で、治療の道筋を伴走
ニキビ治療についてはいかがですか。

開業当初は、ちょうど新しいニキビ薬が続々と登場していた頃で、「ニキビはクリニックの保険診療で対応できる」と啓発されていた時期でした。今ではそうした認識も当たり前になってきたようで、男女問わず学生さんが多く相談にいらっしゃいます。皮膚の角化の抑制を図り毛穴の詰まりを改善するための塗り薬が12歳から開始できるので、早めのご相談をお勧めします。受験勉強などのストレスで一時的に状態を悪化させてしまうケースもあり、根気を要する治療ではありますが、幅広いケースで有用と考えられています。十分な睡眠時間の確保が難しくなかなか改善しないなど、つらい時期にあるお子さんには、「今は気にしすぎないで」など、タイミングに合わせた声がけを工夫して、治療へ前向きになれるよう努めています。
患者さんに寄り添う姿勢を大切にされているのですね。
久しぶりに来院した子で、治療の中断により状態がひどくなってしまっていても、絶対に怒らないようにしています。「悪くなっちゃって残念だね。今度は治療を頑張った時も見てみたいから、まずは3ヵ月やってみない?」など、少しでも治療に対して積極的になれるような言葉をかけるようにしています。「今のつらい症状はきっと改善につながるから、一緒に頑張りましょう」と必ず伝えるのが私の方針です。その上でじっくり患者さんの話を伺い、その方に合った治療法を納得していただけるように提案する。治療が進んできたら、今度はどうやってその状態を保っていけるかを考える。患者さんとしっかり向き合い、寄り添う治療で「先生のおかげです」と言っていただけたらうれしいですね。時々、ひとしきり話だけされて「先生とお話しできて良かった」と帰られる方もいます。不安な気持ちが解消されたのなら、何かしらお役に立てたのかなと思っています。
見た目に関わる皮膚のことでは、深く悩む方も多いのでしょうか。

「仕事を辞めない限り治らない」「化粧はしないで」などと言われ治療を諦めた方や、薬を使っているけれどなかなか良くならないと悩む方も結構いらっしゃいます。じっくりお話を伺ってその方の状況に合わせたアドバイスや薬を処方するようにしています。例えば忙しくて時間のない方には1日1回の塗布で済む薬を処方したり、ベタベタした塗り薬が苦手な方にはサラっとしたスプレータイプの薬を処方したり。また、受験前のストレスが原因と思われる学生さんには受験が終わるまで少し強めの薬を提案、ステロイドの長期使用が心配な保護者には生後3ヵ月になればステロイド以外の薬が使えるからそれまで頑張りましょうと励ますなど、あくまでも患者さんの立場に合わせて、一人ひとりに合った治療法を考えるようにしています。
常に新しい治療を吟味。諦めていた症状も相談を
医師を志し、皮膚科を専門に選ばれた理由は?

父が小児科の医師でしたから同じ道を考えてはいました。ずっと陸上部で部活漬けだったこともあり、運動と人に関わる分野に進みたいと考え、医学部を志すことを決心。それまで運動ばかりで真面目に勉強していなかったので、なんて無謀なことをと驚かれたものです。大学進学後も陸上は続け、当初少なかった女子部員同士でおしゃれも楽しみながら競技に取り組んでいました。するとなぜか記録がどんどん伸びて、入賞もできてとても楽しかったのを記憶しています。そんな日々に、恩師となる素晴らしい先生と出会いました。適切な診断と治療により、患者さんがどんどん良いほうへと促されていくのを見て、皮膚科の素晴らしさを知りました。症状が目に見えるという点も自分に向いていると感じ、迷わず皮膚科に入局。厳しい先生でしたが、皮膚科の奥深さや面白さ、医師としての生き方など多くを学ばせていただきました。
多忙な日々に、どのようにストレスを解消されていますか?
長年スポーツをやっていたからなのか、うまくいかないことがあっても、「じゃあ次」という感じで気持ちを切り替えるのが早く、あまりストレスをため込まないタイプなんです。それと、父がとても厳しかったので、幼い頃から「人は働かなくては駄目だ。常に誰かの役に立つことをしなさい」とたたき込まれていたからか、この仕事が大変だとか、苦に感じたことはないですね。そういう意味では父に感謝ですね。
今後の展望とメッセージをお願いします。

今後も、新しい治療や良いものがあれば積極的に取り入れ、患者さんに提案していきたいと思います。医療はどんどん進化しています。従来の治療で諦めてしまっていたような方も、新たにできることが広がっているのです。当院で難しい治療も、どこに行けば受けられるかお伝えすることは可能です。気軽にご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とはIPL機器による治療/全顔1回2万2000円、両頬のみ1回1万円