子どもの気になる「あざ」
その種類と治療法について
すずかいとう皮膚科クリニック
(鈴鹿市/白子駅)
最終更新日:2025/07/15


- 保険診療
赤ちゃんから大人まで幅広い年齢層が悩む「あざ」。赤あざ、青あざ、茶あざなどいくつか種類があるが、そもそもすぐ治療をすべきなのかと悩む場合も多いだろう。しかし、赤ちゃんのあざは、レーザー治療だけではなく内服治療による早期治療が必要なケースもあるため、まずは専門家に相談するのが重要。生まれつきのあざも成長過程で出現するあざも、ともにレーザー治療で改善が期待できるとのこと。治療の記憶が残らないように、あざがコンプレックスにならないように、そして治療の効果が出やすい赤ちゃんのうちに、少しでも早く治療に来てほしいと伊藤芳幸院長は語る。そこで今回、日本皮膚科学会皮膚科専門医の伊藤院長に、あざの種類と治療の流れについて解説してもらった。
(取材日2025年5月15日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Qあざにはどのような種類があるのでしょうか?
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A
単純性血管腫やいちご状血管腫といわれる赤あざ、異所性蒙古斑、顔の片側に見られる太田母斑などの青あざ、そして扁平母斑という茶あざが挙げられます。これらは基本的にレーザー治療を行っていきます。ただし、いちご状血管腫で盛り上がりの大きなものや、目や口、首回りにある場合は、視力や呼吸に影響が生じる可能性があり、プロプラノロール塩酸塩シロップという内服薬による治療を選択します。内服治療が必要と判断した場合には、皮膚科医と小児科医が常駐する総合病院へご紹介しています。
- Q治療の費用や期間、術後のケアについて教えてください。
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A
先ほどご説明したあざの治療は、すべて保険適用です。いちご状血管腫は1~3ヵ月に1回、単純性血管腫、異所性蒙古斑は、3ヵ月に1回のペースでレーザーの治療を行い、回数は、数回~数十回必要なこともあります。扁平母斑は、3ヵ月以上空けて2回の治療を実施します。治療の後は炎症を抑えるためのクリームを10日間ほど塗布しケアしていただきます。青あざについては、従来のレーザーに比べて肌の色素脱失が起こりにくいピコレーザーを中心に治療を行っていきます。
- Q痛みや施術後の腫れ、傷痕が残らないか心配です。
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A
痛みを軽減するために麻酔クリームを使用して、できる限りストレスを与えないよう配慮してレーザー治療を行います。麻酔は年齢により使用できる容量が決まっていますので、あざの範囲が広い場合は数回に分けて施術を行うこともあります。治療後の副作用としては、腫れ、内出血、水膨れ、びらん、色素沈着、色素脱失、瘢痕形成などが挙げられますが、重篤な副作用はまれですので、過度なご心配をされずにまずはご相談いただきたいなと思います。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1親子で問診を受ける
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いつ頃に出現したあざなのか、盛り上がりや大きさの変化など、あざについてのヒアリングや、これまでの既往歴も確認される。あざに関しては経過を写真で撮っておくと、色、大きさ、範囲、状態などが伝えやすいので、画像を保存して問診時に医師へ提示するとスムーズ。また、伝え漏れを防げるよう、気づいたことをその都度メモしておくと安心だ。
- 2カウンセリングに進む
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あさの種類、治療の必要性、治療の流れ、副作用、レーザー処置後のケアなどの説明を受ける。一通り話を聞き十分に理解した上で治療を受けるかどうかを決める。すぐに決められない場合は家族で相談の上後日受診する形でも大丈夫。不安なことや疑問点などを、ここでしっかり質問しておくと安心だ。
- 3皮膚に麻酔をする
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あざに麻酔クリームを塗布。年齢によって使用できる量が決まっている。小さな子どもの場合は、初めて経験する処置が多いこともあり、泣いたり、動いたりしてしまう場面もあるだろう。必要だと判断した場合は保護者の了解のもと、安全性の確保を目的に体をバスタオルでくるりと巻いて体を固定する。看護師のサポートも受けながら、次のステップに進む。
- 4各種レーザーを照射
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赤あざは色素レーザー、青あざはピコレーザー、茶あざはルビーレーザーというように、あざの種類により使用する機器が異なり、レーザーの種類やあざの大きさによって照射時間は数十秒から10分程度までと幅がある。子どもにとっての数分は長く感じられるため、できるだけ短時間で適切にあざへ照射できるよう細心の注意を払っているそうだ。
- 5術後のケアを受ける
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塗り薬が処方される。自宅で処方された塗り薬を塗布し10日間ほど様子を見る。通常は大きなトラブルが発生することは少ないが、水膨れができるといったことも。その場合は受診して適切な処置を受ける。経過に問題なければ、次回のレーザー治療の予約を取る。