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長牛 慶順 院長の独自取材記事

ながうしクリニック

(佐倉市/ユーカリが丘駅)

最終更新日:2021/10/12

長牛慶順院長 ながうしクリニック main

ユーカリが丘駅北口から徒歩10分ほどの場所に建つ「ながうしクリニック」は、2014年7月7日に開業した新しいクリニックだ。“未来が見える街”として知られるユーカリが丘は、都心から近く商業施設や住宅地、公園がバランスよく配置された快適な街。院長の長牛慶順先生は昔からこの街が好きで、ここで自身のクリニックを持ちたかったという。ストレス社会で戦う現代人には、メンタルのケアがとても大切だ。長牛院長はすぐに薬を処方するのではなく、まず患者の言葉にゆっくりと耳を傾け、相手の立場に立って状況を考え、一緒に改善策を見出しながら、漢方も取り入れた治療も行っている。そんな長牛院長に患者や治療に対する思いから今後の展望まで、興味深い話をたくさん伺った。

(取材日2015年11月26日)

お気に入りの街での開業。心と体の表裏一体ケアを大切に

開業にあたりこの土地を選んだ理由を聞かせていただけますか?

長牛慶順院長 ながうしクリニック1

私は以前、東京都内の病院で勤務しておりましたが、2000年に友人とのつながりの関係で佐倉市に引っ越してきました。生活をする中でとてもこの街が気に入り、開業するならぜひこの場所でと思い2014年7月7日にクリニックをオープンさせていただきました。ユーカリが丘にはお子さんが多く、気さくな方々が多い印象ですね。あとは昔ながらの人と人のつながりも感じられる良い地域です。当クリニックにはこの地域の患者さんを中心に、千葉県全域や埼玉県、東京都内から通院してくださる患者さんもいらっしゃいます。遠方から来てくださる患者さんの中には、以前、私が担当させていただいた患者さんもいらっしゃり、とてもありがたく感じております。

患者さんの層や症状についてお伺いできますか?

精神科・心療内科の場合、適応障害の悩みを抱えられた女性患者さんの比率が高いことがありますが、当クリニックには働き盛りの男性患者さんが多くいらっしゃいます。過重労働で入院寸前の方、奥様に連れて来られる方、奥様には内緒で通われる方などさまざまです。実は精神科・心療内科の治療はご家族の協力なしには、なかなか進まないことが多く、できればご家族の方と一緒に来られるのがベストですが、症状に悩む患者さんは真面目できちんとされた方が多く「家族にも迷惑をかけたくない」とおっしゃるケースも。症状としては「眠れない」が最も多く、他には「気持ちがイライラしてしまう」「人間関係がうまくいかなくて、気持ちが落ち込んで職場や学校に行きたくない」という悩みを抱えてらっしゃいますね。

睡眠の悩みが生じる場合、どういう原因が多いのですか?

長牛慶順院長 ながうしクリニック2

睡眠に特化して考えると、不眠症やその背後にうつ状態や統合失調症が影を落としている場合があります。特に職場や学校での人間関係に悩まれている場合が多いですね。あとは身体そのものに疾患を抱えてらっしゃる場合もあります。私は心と体は表裏を成していると思っております。日本精神神経学会の精神科専門医なのである程度の症状を把握し、できる範囲での内科治療を行い、精神的な部分のつらさの緩和を図った上で、症状に応じて信頼できる専門の医療機関をご紹介しております。他院との連携にも力を入れており、脳外科の元教授や内科、耳鼻科、整形外科の先生方からも患者さんをご紹介いただいております。周りの先生方に当クリニックを応援していただいているように思えます。

一人ひとりの症状に合わせ、漢方治療も取り入れ改善をめざす

初診時の流れについて教えていただけますか?

長牛慶順院長 ながうしクリニック3

初診でいらっしゃった患者さんには、まず時間をかけて問診を行います。お話や症状を伺いながら、内科など別な科でも診られるかどうかも含めて、トリアージュさせていただいております。まず初めにスタッフが予診をさせていただいた場合でも、私が治療室のドアを開けて「何番さん」と呼ぶようにしております。実は診察室に入っていただく様子を見るところから診察を始めており、すっとスムーズに入られる方、横になってらっしゃって起き上がるのに時間がかかる方、ご家族が付き添いでいらっしゃる方などさまざまです。なぜそこから観察するかと言うと、患者さんは診察室に入られると、緊張してしまったり、悪く見られないように取り繕ってしまい、本当の症状というものがわかりにくい場合が多いので、ありのままの様子をしっかり把握できるようにしたいと思っております。できればご家族など普段生活をともにされている方が一緒ですと、客観的な目線が加わって良いというのもありますね。また、最近では患者さんの待ち時間緩和の為に、受付予約を行うことに致しました。ですがまだお待たせしてしまっているので、患者さんには申し訳なく思っています。

治療時、患者さんにはどんなお声がけをされるんですか?

もちろん、患者さん一人ひとりが抱えてらっしゃる悩みにもよりますが、お話をじっくり伺った上で、患者さんの環境と立場になって、改善できるものかどうかを考えます。私はすぐ薬を処方する治療は控えたいんです。薬を処方した場合も、万が一副作用が出たらすぐ連絡をくださいとお伝えして、服用中のケアにも努めております。なるべく患者さんのご希望に沿った形で薬を処方できたらと思っておりますが、なかなか通院できないので多めに処方してほしいというお声に対しては、一定量の出せる範囲にしております。症状が日々変わることもありますし、なるべく少ない量の薬を服用いただくのが良いと思うので。

漢方治療の取り組みについて聞かせてください。

長牛慶順院長 ながうしクリニック4

漢方薬というものは全身のさまざまな症状に使えます。冷えや寝汗がひどいというだけでも服用いただけますし、落ち着かなくてイライラして眠れない、気持ちが滅入って部屋に引きこもり学校に行けない、朝起きられなくてどうにもできない、たくさん食事を取ってしまってやめられないという方々にもお勧めしています。当クリニックの場合、体の調子を整えつつ漢方薬を使うことで、もともと使う薬を減らせるという考え方ですね。開業した当初は十数種類の薬を服用されている患者さんもいらっしゃいました。やはりそれくらい多く服用されていたので、薬を減らすことに不安や抵抗を感じられる方も多く私自身も悩みましたが、今では適量で症状も和らいているので、あの時一緒に頑張っていただいて良かったと思います。

休日に仕事のことが頭から離れなくなったら、心療内科の受診を

先生ご自身の学生時代のお話や趣味を教えてください。

長牛慶順院長 ながうしクリニック5

小学生の頃から人に興味があり、ずっと精神科の医師になりたいと考えていたんです。おそらくきっかけは一人っ子だったということと、両親の仕事の関係で小学生時代に3回転校を繰り返し、行く先々でいろんな友人と出会い、場所が変われば、人もこれだけ変わるんだと感じて、より人に興味が湧いたんです。友達と話すのも、読書も好きで、小学校の卒業文集にも「精神科の医師になりたい」と書いたくらいです。趣味は学生時代からいろいろな武術をやっており、ロシアの国技・サンボでは全日本に出場したこともありますよ。スポーツと言えば、勤務医時代にあまりにも毎日の仕事がハードで、リフレッシュをするためにバッティングセンターへ通い、ホームランを打ちまくって月間上位に入ったことも(笑)。今は日常的な筋トレなどを取り入れながら、家族と温泉などへ出かけるのが趣味ですね。

受診をためらってしまう患者さんへのメッセージをお願いできますか?

休日に仕事のことが頭から離れなくなったら、心療内科へ。なかなか初めの一歩に戸惑ってしまう患者さんのお気持ちもわかりますが、疲れが抜けない、残業や休日出勤が続く、つらく感じることがある場合は、ぜひ一度来ていただきたいですね。例えば、上司やお義母さんの愚痴だけお話にいらっしゃっても構いません。気軽な気持ちでいらっしゃってください。あと、セルフケアとしては、体を動かすことで気持ちが晴れることも多いんですよ。1日5分の散歩で外の空気に触れてみませんか。最近、当クリニックの患者さんでは、犬を飼って散歩へ行かれる方も増えてきました。1日誰とも話さないのではなく、外の世界へ一歩出てみましょう。

最後に今後の展望についてお聞かせください。

長牛慶順院長 ながうしクリニック6

これからは訪問診療や2階を使って小規模なデイケアも視野に入れております。もちろん私1人ではできないので、信頼できるスタッフたちと一緒に計画しております。生きていくのに、楽しく自然体で過ごしてもらえるのが一番だと思うんです。私自身も過去に気負ってしまったり、自分が疲れてしまう部分もあったので、皆さんには肩に力を入れずに過ごしてもらいたいと思っております。職場ではある一定の気持ちを上げないといけないのは、やむを得ないこと。ですが、仕事が終わったら休めるカードを1枚、2枚と増やしていけたらいいですよね。これまでもマイペースで自然体の治療をしてきたつもりなので、これからも引き続き、自然体で治療をやっていけたらと考えております。

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