太田 喜久子 院長の独自取材記事
おおたきく子クリニック
(大阪市北区/西梅田駅)
最終更新日:2026/09/08
西梅田駅から徒歩1分、梅田の中心地にある「おおたきく子クリニック」は、消化器内科・肛門外科・内分泌内科・乳腺外科を専門としているクリニック。院長の太田喜久子先生は、苦痛の少ない大腸内視鏡検査を得意とするほか、細い経鼻カメラでの胃内視鏡検査・麻酔下での胃内視鏡検査を行い、女性の患者も安心して受診できるようにしている。2014年の開業以来、病気や症状だけを診るのではなく、患者一人ひとりに配慮した医療を心がけているという太田院長に、開業に至るまでの経緯や、クリニックの特徴、今後の展望について話を聞いた。
(取材日2017年10月16日)
がんの患者を救いたい、外科の医師に
医師をめざしたきっかけからお話しください。

私が3歳の時、生後半年だった妹が肺炎で容体が急変し、病院に行ったにも関わらず、あっという間に亡くなってしまったんです。当時、父は遠洋漁業の船長で1年のうち1~2ヵ月しか日本におらず、父のいない間に妹を逝かせてしまったことを祖母はとても悔やみ、悲しんでいました。私も幼心ながらも、母と一緒に妹にスポイトで水を飲ませてあげたこと、小さな妹の体に大きな点滴瓶がつながっていたことが今でも記憶に残っています。そのことをきっかけに「子どもが亡くなるのは嫌だ」と思い、医学部に行って小児科の医師になろうと決意したのです。ちょうど小学生の頃でした。
ということは、いつから外科の医師を志したのですか。
大学入学時は小児科の医師になるつもりでしたが、5年生の臨床実習で消化器外科の患者を受け持ち、手術を見学した際、外科にとてもやりがいを感じたんです。今は消化器の内視鏡などの技術や道具も発達しているので、胃がんや大腸がんも手術に至るまでに治療できますが、私が学生の頃はまだ電子スコープもなく、カメラも診断はできても治療できるまでには至っていない時代でしたので、診断することよりも治療することに興味を持ちました。その頃から「がんの患者さんを助けたい」という気持ちが強くなり、外科の医師の道に進むことに決めました。
開業までの経歴についてお聞かせください。

当時は女性の外科の医師が少なく、研修医時代も当直室がないからといったさまざまな理由で入局を断られる時代でしたので、母校の川崎医科大学に残り、乳腺・甲状腺外科に入局し、外科の医師として診療に携わりました。その後は大学院で医学博士を取得し、大阪大学の医局に入局し、乳がんだけでなく消化器の手術を担当し、学ばせていただきました。そうしているうちに世の中もどんどん進化し、胃・大腸がんの手術は腹腔鏡手術や、内視鏡での早期がんの治療が可能な時代に入ってきたのです。胃がんは、根が深いものは内視鏡では取れないけれど、粘膜にとどまっているものは少々大きい病変でも内視鏡で取ることが望めるようになりました。その後、和歌山県立医科大学に3年間、大阪中央病院に13年間勤め、2014年12月に開業しました。
内視鏡検査で早期診断、早期治療を
開業しようと思ったきっかけは?

大阪中央病院で勤務していた頃、乳がんや大腸がんで手の尽くしようのない状態で来られる患者さんが多く、特に若い女性が目立ちました。家庭や仕事などさまざまな事情があるのでしょうが、やっぱり病院は行きにくいという気持ちがあるからか、受診するまでの段取りが大変だからか、検診で潜血反応が陽性なのに放置していたため亡くなった患者さんもいらっしゃいました。忙しいという理由で症状があっても長い間、我慢している人もいます。また、専業主婦だと検診を受けていないケースも見受けられます。ですが、家族にしてみれば、お母さんが元気でいることが一番幸せなことなんです。私は乳腺も大腸の内視鏡も、外科で肛門の手術もしていて痔も診ることができるので、そういった意味での「窓口」になれたら、多くの患者さんを救える可能性が広がると思い、開業しました。
診療の中で特に力を入れている分野は何ですか?
特に力を入れているのは大腸です。大腸がんには、最初にがん細胞として生まれてそれが大きくなってがんになるものと、良性のポリープが大きくなるときにがん細胞が混じるものがあります。ですから、早いうちに検査を受け、ポリープが見つかった時点で切除できれば、がんになる可能性がぐんと減るわけです。私自身、大腸の内視鏡の検査だけでなく、治療も行っていますので、患者さんが来院してくれさえすれば、早い段階で見つけることができるでしょうし、ポリープがあってもその場で切除できます。女医を求めている患者さんの中には、男性の先生に診てもらうのは抵抗があるという理由で先送りにし、結局進行してしまうケースもありますが、当院であれば、その点抵抗なく来院いただけるのではないでしょうか。もちろん女性だけでなく、男性の患者さんも大勢いらっしゃいます。
クリニックならではの特徴について教えてください。

少しでも楽に検査を受けていただけるよう、下剤を飲む部屋を個室にし、専用トイレを設けています。施設によっては広い場所でみんなで飲み、共有トイレを使うといったところも多く、嫌だという話を患者さんから聞いていたので配慮しました。また、内視鏡には新型のモデルを採用し、ハイビジョン画質で80倍に拡大して表面の構造や血管も見ることができるので、がんであるかどうかを判断し、そのままでも大丈夫なものについては無理に取らないようにしています。また、検査後の違和感や不快感を軽減するため、二酸化炭素送気装置を使用しています。開業後も診断の質は落としたくなかったので、大学病院や国立病院と同等の設備をそろえています。さらには、内視鏡学会が推奨する洗浄機と洗浄液を使って滅菌し、道具はすべて使い捨てにするなど、感染予防にも配慮しています。
早めの受診を啓発し、治療していくことが使命
診療で心がけていることは何ですか?

症状や治療法をわかりやすく説明し、納得してもらうことを一番に心がけています。せっかく来たけど怖くて検査を受けたくないという患者さんもいらっしゃるので、状況によっては少し厳しい言葉でお話させていただくこともあるかもしれませんが、それは患者さんに元気になってもらいたいからです。例えば、30~40代前半の女性の患者さんで症状は前からあったにもかかわらず、放置していたため、進行がんになっていた患者さんがいらっしゃったら、女性としても母としても一番大事なときにもっと早く受診してくれていたらという思いでいっぱいになります。だからこそ、早期発見をしっかりと啓発していきたいと思います。
医師になって良かったと思うことは?
患者さんが元気で笑顔で退院してもらうことが一番うれしいです。ご縁があってその方の手術をさせていただくわけですから、「ありがとうございました」と笑顔で退院していただくことが、外科の医師の冥利に尽きます。苦労することもありましたが、患者さんが回復していく姿を見るたび、医師を続けていて良かったと思います。大阪中央病院の時から来てくださっている患者さんに、「先生の顔を見るのが楽しみ」と言っていただけたり、広島や四国など遠方から女医を探して大腸の内視鏡を受けに来られる患者さんの存在がありがたいことだと思っております。本来は患者さんの生命力に外科の医師が手助けをしているだけですが、やりがいがある仕事で、天職だと思っています。
今後の展望についてお聞かせください。

とにかく早期診断、早期治療を啓発していくことが大切だと思っています。特に、50歳以上になるとがんの発生率が急に上がり、検診で便潜血反応が陽性の10人中何人かにはポリープが見つかります。良性でもがんになりかけているケースも多いものです。すでにポリープが見つかっていても、まだポリープが隠れていることもあるので、次の年には必ず受診していただきたいですし、検診で陽性や要観察になった人は自己診断せず、早めに検査を受けていただきたいです。出血や便秘・下痢が続くと病気が潜んでいる可能性があります。もちろん若いからといって症状があるのに放っておいたままにするのも良くないです。きっかけがあるのに先延ばしにしている人たちに、受診を啓発していくことが社会貢献にもつながると考えています。今後も気軽に来院していただき、検査も楽で「来て良かった」と言ってもらえるクリニックにしていきたいです。
自由診療費用の目安
自由診療とは胃内視鏡検査 2万7500円 大腸内視鏡検査 4万4000円

