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宮武良輔 院長の独自取材記事

駿河台こころのクリニック

(千代田区/御茶ノ水駅)

最終更新日:2019/08/28

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御茶ノ水駅、新御茶ノ水駅、淡路町駅、小川町駅の4駅から徒歩圏内という利便性が高く、ビジネスパーソン、大学生、ファミリーなど幅広い層の人が行き交う街に、「駿河台こころのクリニック」はある。ロゴは、院長の宮武良輔先生が大好きなレコードだ。レコードの音には癒しの効果があると言われているという。やわらかくあたたかみのあるカーペットが敷かれた院内は、クリニックとは思えない落ち着いたカフェのような雰囲気が漂う。壁には、宮武院長のコレクションの一部であるレコードのジャケット。「謙虚に患者さんと向き合おうと思っています」と穏やかな口調で話す宮武院長に、たっぷり伺った。
(取材日2014年12月25日)

落ち着いた空間と音楽

院内に飾られたレコードのジャケットやロゴが素敵ですね。

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もうお分かりだと思いますが(笑)、音楽、特にレコードが好きなんです。ロゴにも用いました。レコードの音にはCDにはない癒しの効果があるという検証結果もあるんですよ。それから聴くだけじゃなく、視覚的にも楽しめるんですよ。ジャケットがきれいでしょう?待合室に飾っているジャケットは月ごとに変えてゆこうと思っています。自宅から持ってきたのですが、これは氷山の一角です(笑)。内装でめざしたのは「患者さんが落ち着けること」。シックで落ち着いた茶色を基調とし、カーペットや壁は少し明るめのアイボリーにしました。待合室のBGMもリラックスできるような音楽を私がセレクトしています。

音楽は昔からお好きだったのですか?

中学の時だったでしょうか。友だちがアメリカのロックバンド、KISSのレコードを貸してくれたことがきっかけで、音楽に目覚めました。とりわけロックとジャズが好きです。大学時代には、ロックバンドをやっていて、ドラムを担当していました。ジャズは、ドラムのテクニックの参考や、ちょっとかっこつけて聴いています(笑)。

先生が医師をめざしたきっかけは?

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高校の時、いわゆる思春期ですね。思春期は精神的な自立をめざそうとする時期ですが、私もこのころ、哲学や心理学に目覚めいろいろ勉強しました。絵画にも興味があり、当時読んだ本の中にこころを病んだ方が描いた絵があったんです。人の顔を描くとき、普通は暖色系の色で肌を描くでしょう。でもその絵は真っ青な顔だったんです。シャガールの絵画技法でもないのに、「精神を病んでしまうと、なんでこうなるんだろう?」と。そうしたことをきっかけに、こころの病に興味を持つようになり、精神科医として患者さんのサポートをしたいと思ったんです。それで香川医科大学(現香川大学医学部)に入学しました。

患者の話を徹底的に聞く、薬は補助

先生が診療にあたることの多い症状はどのようなものでしょうか?

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神田・御茶ノ水には、たくさんの企業があります。そのため、平日クリニック周辺を行き交う方のほとんどは、この周辺に勤めているビジネスパーソンです。このような環境も影響して、仕事の頑張り過ぎ、職場の人間関係、満員の通勤電車、転職など仕事に関連したことが原因で悩みを抱えて当院を受診される方が多いように思います。症状としては、気力がわかない、落ち込んでしまう、不安、人前で緊張する、眠れないなど。それぞれに病名をつけるとすれば、うつ病、適応障害、パニック障害、不安障害、不眠症などです。それから、見落としてはいけないのがアルコールの問題です。大学病院時代の恩師である教授の専攻がアルコール依存症であったことがきっかけで、この疾患に関わることが多くなりました。香川医科大学医学部附属病院で勤務後、アルコール依存症専門病棟を持つ独立行政法人国立病院機構久里浜医療センターなどで経験を積んできました。その経験を活かして、アルコールの問題を見逃さないように心掛けています。このように、ビジネスパーソンを中心にさまざまなこころの問題を抱えた方が受診されるのですが、なかでも最も多いのは社会不安(社交不安)障害ですね。いわゆるあがり症です。

社会不安障害とはどういった病気なのでしょうか?

人と関わるときに過度に緊張する、あがってしまうという症状が現れる病気です。人前で緊張するというのは、多くの人が経験することですが、この症状のために仕事、その他の日常生活に大きな支障を来たす程の極度の緊張です。例えば、大勢の前でプレゼンをする、取引先と商談をする、レストランで食事をする、電車に乗る時に、「失敗したらどうしよう」「馬鹿にされるかもしれない」「みんなに注目されている」などと考え、声や手が震えたり、そのことを考えると憂うつになったり、苦手なことを避けたりします。その結果、会社に近づくとドキドキする、職場になじめない、通勤電車に乗れない、あるいは緊張をほぐすために飲酒量が増えてしまうという状況になってしまいます。

治療はどのように進めていくのでしょうか。

治療には大きく2つあり、1つは認知行動療法、もう1つは薬物治療です。認知とは、ものごとのとらえ方や考え方のことで、その方の経験したことや生育環境などに影響を受けて作られるものです。そして、同じできごとに対する認知は人によってずいぶん異なっています。例えば、上司から叱られたとき、ある人は「自分は何をやってもダメだ」と悲観的になるかも知れません。しかし、別の人は「自分に期待してくれているから指導してくれたんだ」と前向きにとらえるかも知れません。何か問題が生じたときに、「あのできごとさえなければ」とか「あの人のせいで」と考えてしまうことが多いと思います。自分が辛くなったり、不安を感じたりするようなできごとや環境に置かれないに越したことはありません。環境を変えたり、苦手なことを避けたりすることも時には必要です。でも、同時に今置かれている環境や、起こったできごとに対する自分の認知について見直してみることも大切です。自分に自信がなく、いろいろなことをネガティブにとらえやすい傾向があると、良い成果があげられたり、よい友人が周りにいたりしても、「たまたま上手くいっただけで、次は失敗するに違いない」「人に迷惑ばかりかけて」と思ってしまいます。このような辛い、自分にとって不都合な認知から、楽で都合のよい認知に変えていくのが認知行動療法です。当院では、資料を用いたり、記録表をつけたものを一緒に見直したりしながら、認知の修正を試みるようにしています。

薬物治療はどのようにして行うのですか。

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こころの病すべてについて言えることですが、まずは話を聴くことですね。抱えている悩みを、誰にも相談できない、相談してはいけない、あるいは相談しても無駄だと思い込んでいる方が多いです。誰かに相談するって抵抗ありますよね。ですから、受診された方は「よく勇気を出して相談に来られましたね」という気持ちで迎えようと思っています。悩みごとを音声として外に出しそれをまた耳から取り込むと、それだけで頭の中が整理できたりします。ですから、私が特別な言葉をかけなくても、「話を聴いてもらってすっきりした」という方も多いです。心療内科、精神科いうと「薬漬けになるのでは?」とマイナスのイメージがあります。もちろん、薬物治療が必須という疾患もありますが、そればかりではありません。先ほどお話したように、その方の独特の認知のパターンによって、人一倍何かに敏感になり重い荷物を背負って苦しんでいることが多いですから。また、ストレス解消がうまくできていなかったり。そのようなケースでは、薬は不要もしくは補助的な手段に過ぎないと思うんですね。ですから、薬の処方については慎重にしようと思っています。眠くなり仕事に支障を来たさないかどうかなど。特に、女性はホルモンの影響を受けやすいですし、妊娠や出産を控えている方もおられるので、できるだけ薬を使わないように、使っても必要最小限にとどめようと心掛けています。

謙虚に患者と向かい合う

御茶ノ水に開業した理由は何でしょうか。

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以前、この近くに住んでいたので土地勘があり、行きつけのお店が多いんですよ。ジャズ喫茶とかレコード屋さんとか(笑)。また、御茶ノ水駅、新御茶ノ水駅、淡路町駅、小川町駅の4駅が利用でき、利便性も非常にいいんです。大学に加え、最近は高層マンションなども建ち、ファミリー層も増えている地域です。またビジネスパーソンも多いエリアですね。

患者さんに接する際に心がけていることは?

実践できているかどうかは別として、患者さんに謙虚に向かい合うことです。医師1年目の時に、「自分は一生懸命治療しているのに患者さんが良くならない」と教授に相談したことがあったんです。その時に言われたのが「医師だから何でもできるという万能感を持ってはいけない。謙虚に患者に接しないとだめだ」という言葉でした。以来、患者さんの声を聴いて謙虚に対応していきたいと思ってきました。ただ、年齢を重ねるとともに謙虚なのか弱気なだけなのかわからなくなってきているところもあります(笑)。

メッセージをお願いします。

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おもにジャズのレコードやCDを手掛けているECMレコードの創設者は、「沈黙の次に美しい音」をコンセプトとして音作りをしているそうです。診察のなかで、患者さんが沈黙したり言葉に詰まったりすることがあります。言葉にできないような患者さんの想いを受け止め、支えられるような細やかな医療を提供していきたいと思っています。

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