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館 直彦 院長の独自取材記事

たちメンタルクリニック

(大阪市天王寺区/大阪上本町駅)

最終更新日:2019/08/28

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「たちメンタルクリニック」は、近鉄大阪線・大阪上本町駅から徒歩約3分。非常にアクセスしやすい場所にある。精神科・児童精神科・心療内科を標榜する同院では、力動精神医学の立場から、対話を重視したサイコセラピーを中心とした診療を行っている。精神科や心療内科などでよく行われる認知行動療法ではなく、「患者自身を苦しめる行動や思考の源がどこにあるのか」ということを、医師と患者で協力しながら深く探っていくというアプローチだ。今回は、院長である館直彦先生に、診療に対する考え方やこだわり、将来の展望、趣味や休日の過ごし方といったプライベートな素顔の一面に至るまで、詳しく聞いた。
(取材日2017年11月17日)

サイコセラピーを中心とした治療

診療の際に重視していることは何ですか?

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当院では、対話をメインにした診療を重視しています。対話というのは、ただのおしゃべりとは違い、自分で自分のことをしっかりと考えられるよう導いていく作業です。何が自分の苦痛の源にあるのかを自覚する、これは、精神科や心療内科を受診する患者さんだけでなく、どんな人にとっても役立つものだと思っています。私にできることは限られていますが、対話を通して少しでも患者さんの人生に役立っていけるようにと願って診察をしています。

対話を通じて、少しでも患者さんを楽にしてあげるということですか?

いいえ、私には患者さんを楽にする力はありません。対話は、患者さんを楽にするものではなく、患者さん自身の中にあるさまざまな可能性を引き出すものです。その中には、患者さんが苦しむ心因性の症状を取り除いたり、患者さんの気持ちが楽になったりする可能性も含まれています。初診のセラピューティックコンサルテーション、いわゆる治療相談面接で、今後どのような診療を行っていくかが決まりますので、初診は特に重視しています。その一方で、対話による治療よりも薬物療法をメインにした治療を希望する患者さんや、さまざまな事情で会話ができない患者さんは、他院をご紹介することもあります。

対話というのは、具体的にどのようなことをするのですか?

まずアセスメント、診断をつけることから始まります。とはいえ、その診断も簡単にはつきません。患者さんが生まれ持った性質、生きてきた中で身に付いたもの、価値観、現在抱えているストレス、さまざまな要因があり、今の症状が出ています。ですから、うつ病などでも、うつ病という症状だけを診るのではなく、そうした患者さんの背景も引っくるめた「その人そのもの」を、力動精神医学の立場で理解していきます。カウンセリングが長期にわたる患者さんには、カウンセリングオフィスの分室などもご用意しています。

施設や設備に関するこだわりがあれば教えてください。

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待合室に、うつ病や薬、カウンセリングなどに関する専門書を置いておくようにしています。これは、患者さんが自分自身のことを自分で把握しているほうがいいという考えからです。ただ、当院の場合は、施設や設備などのハード面よりもソフト面、つまり、院内で働くスタッフの質をより重視しています。例えば、当院のスタッフは全員が臨床心理学に精通しており、受付なども専門知識を持ったスタッフが行います。受付での対応も、患者さんとの対話のための重要なステップだからです。専門知識のないスタッフの場合、どうしても対応が機械的だったり、あるべきスタンスとは異なってしまうということもあります。当院では、スタッフ全員が患者さんの立場に立って物事を考えられる体制を、しっかりと整えるよう努めています。

人とのつながりを持つ場がここにあると知ってほしい

なぜ大阪上本町で開業されたのですか。

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当院の場合、割と遠方から来る患者さんが多いので、やはりアクセスの良い場所というのは重要な要素だったと思います。また開業時、私は天理大学の教員だったので、奈良から近鉄大阪線一本でアクセスできる大阪上本町という立地は、私自身にとっても便利でした。ちなみにここは、開業時はカウンセリングだけを行うオフィスでしたが、続けているうちに社会的なニーズが増してきたことを受けて、本格的に医療機関としてクリニックを立ち上げるに至りました。

患者層に何か特徴はありますか?

全年齢層の患者さんがいらっしゃいます。特に多いのは10~20代です。不登校や、不登校までいかずとも「学校に行きたくない」と思い悩む子どもたち、対人関係に悩みを持つ人たちなど、いろんな患者さんがいます。比較的若い人が多いですが、もちろん高齢の患者さんもいらっしゃいます。80歳を超える患者さんもいます。親子関係の悩み、夫婦げんかの相談まで、患者さんの悩みは多岐にわたり、患者さんが小さな子どもさんの場合は、一緒に絵を描いたり遊んだりといった、プレイセラピーなども行います。ただ、ここでも目的は遊ぶことではなく、あくまで遊びを通して対話をすることです。今の日本人には、悩みを相談する相手がなかなかいないと思うんです。そんな中でも、人とのつながりを持つ場がここにあるということを、まずは知っていただきたいと思っています。

先生が医師をめざしたきっかけを教えてください。

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実は、最初は理学部でバイオロジーを専攻していました。しかし途中で「やはり人と直接関わりがある仕事がしたい」と思い直し、学士入学で医学部へ入学し直したという経緯があります。その当時から、一番興味があったのが精神科でした。人の心というものに関心があったのです。精神医学などを学ぶ人間にはよくあることですが、自分自身を理解したいという気持ちもありました。ただ、最初はそうした自分本位なきっかけであっても、精神科の分野を学ぶうちに、自分というものも、結局は人との関係性の中で成り立つものだということを実感するようになり、自然と「人のためになるように」という気持ちを持てるようになりました。

時には立ち止まって、自分自身を振り返る時間を

将来の展望について教えてください。

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当院で行っている、精神分析をもとにした力動精神医学やサイコセラピーは、今後も多くの人々の役に立っていくと思うので、それらを広める活動をしていければと思っています。具体的には、大学で教えたり、いくつかの学会の委員を務めたり、国際学会の運営に携わるなどの学会活動などです。また、当院のスタッフがいずれは自立した臨床家になって、それぞれにオフィスを持ってくれたらいいですね。私はスタッフ教育も含めて、後進の育成には力を入れています。今でも大学で教壇に立っていますし、セミナーなども開催しています。セラピストの教育と育成は、患者さんのためでもありますし、社会貢献の一環でもあるからです。また、私は専門書の翻訳などの活動もしていますので、いつかスタッフみんなで海外の専門書などを翻訳し、出版できたらうれしいなと思っています。

休日の過ごし方や、ご趣味について教えてください。

趣味はチェロ演奏です。中学校の頃から続けていて、今でも週2回くらい弾いています。人前で披露する機会はありませんが(笑)。休日自体が少ないので、他にはあまり趣味はないんです。クリニックの休診日も、学会や委員会、セミナー、翻訳などの仕事が入っているので、完全なオフは月に1回くらいです。とはいえ、翻訳などは、仕事でもありますがストレス発散にもなっています。誰かの考えを美しい日本語に変換する作業は、楽しいものです。翻訳でもチェロ演奏でも、「うまくできた」と思える瞬間があると、すごく楽しい。患者さんも、セラピーを通して自分自身を理解する瞬間があります。そういう美的な体験は、心をリフレッシュしてくれるものだと思います。

読者に向けてメッセージやアドバイスがあればお願いします。

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時には立ち止まって、自分自身を振り返る時間をつくってみてください。そのときは、何かの目的に向かって考え事をするのではなく、目的なく、思うまま、自由に思考を巡らせるのがポイントです。これは精神分析では「自由連想」と呼ばれるものですが、これによって、ふと見えてくるもの、気づくこと、思いつくことなどがあります。そうした経験が、時にとても役立つこともあるんです。

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