野本 秀材 院長の独自取材記事
医療法人社団すみれ会 サクラパーク野本歯科
(千代田区/飯田橋駅)
最終更新日:2026/01/16
飯田橋駅からすぐの複合商業施設内に位置する「医療法人社団すみれ会 サクラパーク野本歯科」。院長を務める野本秀材(のもと・ひでき)先生は、かつて神保町で診療をしていた頃を含めて約30年、周辺地域の患者とともに年齢を重ねてきた。「高齢になっても、きちんと治療を受けられる歯科医院」であり続けるために、来院診療を軸に、予防までを見据えた診療、設備のデジタル化などに取り組んできた。今回は野本院長に、歯科医療についての考え方や、同院での取り組みなどについて尋ねた。
(取材日2025年11月26日)
患者の人生に寄り添う中で見えてきた理想の歯科医療
現在の地への移転開業から10年、これまでを振り返っていかがでしょうか?

開業して約30年、そのうち神保町で最初の20年を過ごし、現在の飯田橋の複合商業施設内に移ってからは10年がたちました。あっという間の10年に驚きつつ、患者さんと一緒に年齢を重ねてこられたことをうれしく感じています。神保町の頃から診ている方も多く、かつて60代だった方が今は80代に。そうした方々の変化を間近で見ながら「食べる・話す」というごく当たり前の機能がどれほど生活の質に関わっているのかを、以前にも増して実感するようになりました。限られた人生の時間の中で、できるだけ長く自分の口で食べ、話せる状態を支えることが、今の自分の役割だと感じています。
完全バリアフリーで、とても広々としていますね。
神保町での開業後期、患者さんの高齢化により、従来の医院設計では対応しきれないと感じる場面が増えてきました。そこで飯田橋では、入り口から診療スペースまで段差をなくし、車いすのまま全ユニットのそばまで移動できる動線とスペースを確保しています。各診療ブースも、車いすを横づけし、付き添いの方が一緒に座れる広さを取りました。ただし大切にしているのは広さそのものではなく、来院できる方にきちんとした治療を提供できる環境を整えることです。お一人での来院が難しい場合でも、付き添いの方と一緒であれば、車いすのまま移動し、大学病院レベルをめざした専門的な治療を受けていただくことができます。
在宅歯科医療ではなく「できる限り来院」にこだわる理由は何ですか?

在宅歯科医療は欠かせない重要な医療ですが、ポータブル機器を用いることが多く、治療内容や精度には一定の制約があります。一方、バリアフリー環境が整った歯科医院であれば、車いすで動ける方や付き添いがあれば外出できる方に、より高いレベルの治療をめざせます。来院することで身支度を整え、外出や人とのやりとりが刺激となり、明るい表情で生き生きと過ごしていただければと思います。もちろん来院が難しい方もいますが「来られる方についてはできる限り来院を」というのが当院の基本的なスタンスです。
デジタル技術と環境整備で支える、治療の精度と安全性
10年前から「歯科のデジタル化」にも力を注いでこられたそうですね。

この飯田橋のクリニックを開業した当時、歯科分野ではまだ珍しかった「デジタルを前提にした歯科医療」を本格的に取り入れました。従来の院内中心の体制に限界を感じ、ICT(情報通信技術)の進展を踏まえて、スキャナーで得たデータを院外の信頼する歯科技工士と共有するデジタルワークフローへ移行しました。オンラインで連携し、症例ごとに設計を詰めることで、印象材や模型を介さない治療体制を構築しています。こうした取り組みを続ける中で、2015年頃からデジタル技術やスキャナーをテーマに、全国各地で講演を行うようになりました。歯科医師に限らず、歯科技工士や関連企業の方々も対象に、北海道から沖縄まで訪れました。こうした経験を通じて、デジタル技術は単なる新しい機器ではなく、治療の質や患者体験を高めるためのワークフローとして使うことが重要だと考えるようになりました。
デジタル治療は患者さんにどんなメリットがありますか?
患者さんの立場から見ると、デジタル治療の最大のメリットは「楽であること」と「安心であること」だと思います。従来の型採りは、印象材を口いっぱいに入れたまま数分間動けず、嘔吐反射の強い方などには大きな負担でしたが、口腔内スキャナーであれば、小さなカメラで撮影するため、途中で止めたり必要な部分だけ撮り直したりすることができ、負担を大きく減らせます。また、デジタル化は感染症対策の面でも重要です。印象材や模型を介さず、やりとりするのはデータのみのため、スキャナーや機器の消毒を徹底すれば、血液由来の感染リスクを抑えることができます。デジタル技術は、新しさだけでなく、患者さんの快適さと安全性を重視した治療につながっています。
院内の衛生管理や感染対策に、強いこだわりが感じられます。

当院では開業当初から、衛生管理は特別なことではなく、目に見えない部分まで含めて清潔を保つのが当然の前提だと考えて取り組んできました。そのため消毒・滅菌システムに加え、治療に用いる設備についても可能な限り先進的な物を散り入れ、より新しく高い基準の機器が出れば、その都度更新しています。ハンドピースなどの器具も十分な本数を確保し、使用ごとに丁寧に洗浄・滅菌したものを用いています。新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけに感染症対策が注目されましたが、当院ではそれ以前から同じ体制を続けてきたため、特別に対応を変える必要はほとんどありませんでした。治療の質を支える設備と衛生環境の両立を図り、患者さんが安心して通える環境を守ることは、歯科医療の基本であり、今後も変わらず大切にしていきたいと考えています。
「食べる・話す」を守り続けるための歯科医療を
力を入れているインプラント治療について教えてください。

長年にわたりインプラント治療に携わってきた経験から、私が最も大切にしているのは「どれだけ精密に、安全性を意識して行えるか」という点です。インプラント体はメーカーを絞り、CTと口腔内スキャナーで得た情報をもとに三次元的な設計を行い、デジタルガイドを用いて埋入します。治療後も再度スキャンを行い、設計と実際の位置を照合しながら精度を確認することで、治療全体を一貫して管理しています。ただし、インプラント治療は入れて終わりではありません。長く安定して使っていただくためには、インプラント周囲炎など特有のトラブルだけでなく、天然歯を含めたお口全体の環境管理が欠かせません。そのため当院では定期的なメンテナンスを前提とし、状況によっては治療自体を見送る判断をすることもあります。骨の状態やリスクを踏まえ、無理をしないことも重要だと考えています。
予防歯科や、オーラルフレイル対策に力を入れている理由を教えてください。
多くの方にとって歯科医院は「痛くなったら行く場所」というイメージが強いかもしれませんが、私は本来「そうならないようにするための場所」だと考えています。特に近年注目されているのが、「噛む・飲み込む・話す」といった口腔機能が低下する「オーラルフレイル」です。こうした機能の衰えは、食事や会話の機会を減らすだけでなく、全身のフレイルや認知機能低下とも関係するとされています。当院では50歳以上の方を対象に、発音・舌の力・唾液量・咀嚼能力などを測定する口腔機能向上プログラムをご案内しています。厚生労働省は50歳以降からのチェックを推奨しています。「自分はまだ大丈夫」と思っても、測ってみなければわかりません。早い段階で現状を知ることが将来の予防につながります。これから先も自分の口で食べ、話すための準備として、ぜひ一度受けていただきたいですね。
読者へのメッセージをお願いします。

噛むことや話すことに不自由が出てくると、食事や会話の楽しみが失われ、生活の質は大きく下がってしまいます。人生は本当にあっという間だからこそ、限られた時間を少しでも豊かに過ごすために、口の健康は非常に重要だと感じています。これまでインプラント治療やデジタル歯科を通じて院外で学び、発信する機会も重ねてきましたが、そこで得た知識や技術は、最終的には地域の患者さんに還元してこそ意味があるものです。同時に、若い歯科医師たちへ治療の考え方や姿勢を継承し、私一人ではなく当院全体として、同じ水準の医療を届けられる体制を整えていきたいと考えています。歯科医院は、困ったときだけ駆け込む場所ではなく、何も起きていないうちから将来のために上手に活用していただく存在でありたい。そうした「人生に寄り添う歯科」であり続けられたらうれしいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とはセラミックインレー/8万8000円~、セラミッククラウン/15万4000円~、インプラント治療/50万円~、矯正/88万円~、根管治療/11万円~
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。

