秋本 和宏 院長、秋本 紗恵子 副院長の独自取材記事
しらかば歯科
(武蔵野市/武蔵境駅)
最終更新日:2024/12/04

武蔵境駅から徒歩3分。「しらかば歯科」は、予防歯科を主軸に小児から高齢者まで各ライフステージに応じた歯科治療を提供する町のかかりつけクリニックだ。院長の秋本和宏先生は、「治療に苦手分野はつくりたくない」と補綴学を学んだ後、大学院で高齢者歯科学を専攻する。その後もアメリカやフィンランドなど国内外で研鑽を重ね、2014年8月に同院を開業。一般診療から専門的な治療までオールラウンドに手がける秋本院長と、妻の秋本紗恵子副院長の二人三脚で診療を行う。「しらかば」はキシリトールの原材料で「予防歯科を中心とした診療を地域の方々に提供する」という2人の思いが込められている。秋本院長と紗恵子副院長に、同院の特色や診療に懸ける思いを聞いた。
(取材日2023年3月10日)
苦手分野をつくらないため広範な知識・技術を習得
クリニックの特徴から伺います。

【和宏院長】当院は、「予防中心の歯科医療」「通院が楽しくなる空間」をコンセプトを掲げ、2014年に開業しました。診療では予防歯科を主軸としながら、虫歯や歯周病治療、小児歯科、顎関節症の治療、入れ歯治療、摂食嚥下障害の治療と幅広くカバーしています。患者さんはご年配の方、あとは子育て中の女性とお子さんが多いので、キッズスペースを設けるなど、通うのが楽しみになるような歯科医院づくりにも取り組んできました。
【紗恵子副院長】ご家族で通ってくださっている患者さんが多く、その患者さんが知り合いやお友達を連れてきてくださるので、とてもありがたいですね。皆さんの期待に応え、長く通っていただくためにも、一人ひとりの患者さんを丁寧に診療して、満足いく治療を提供していきたいです。
小児から高齢者まで、さまざまな治療に対応するに至った経緯をお聞かせください。
【和宏院長】歯科医師への道を選んだ時から苦手分野はつくりたくないと思っていたので、大学・大学院在学中、そして歯科医師になってからも、広い分野で知識と技術を吸収してきました。進学した日本歯科大学でかぶせ物や詰め物、義歯などの修復物を用いて治療する補綴を学んだ後、東京医科歯科大学大学院に進み、高齢者歯科学の研究室へ。ここでは歯周疾患や全身的な病気に罹患した高齢者の歯科処置や入れ歯治療を勉強し、咀嚼、嚥下機能に関する研究を行いました。その後も、口腔外科、咬合、インプラントなどの治療技術を吸収。これらの経験すべてが現在の診療につながっています。
【紗恵子副院長】私も院長と同じく高齢者歯科の分野を専門に研鑽してきましたので、その知識や経験をベースに成人の患者さんの一般歯科治療を行っています。また小児歯科についても院長とともに積極的に勉強しています。
こちらでは予防歯科、主に高齢者を対象とした歯周病ケアやメンテナンスに注力しているそうですね。

【和宏院長】代表的な歯科疾患である虫歯と歯周病は予防が可能な病気ですが、中でも歯を失う原因として一番多い歯周病の予防とメンテナンスに力を入れています。当院の予防歯科では「あれをしてはいけない」「こうしなければならない」という抑制型の予防指導は行いません。定期検診でのブラッシング指導やクリーニングの他、キシリトール入りのガムを噛むなど手軽に始められる方法をアドバイスすることで、生活の中に予防習慣を根づかせていけたらと考えています。
【紗恵子副院長】これまで歯磨きの大切さをあまり考えたことがなかった方にも、ブラッシング指導とクリーニングを通して、「口腔内をきれいに保つことがどんなに気持ちいいか」をぜひ体感してほしいと思います。
高齢者の歯周病ケアに注力、必要に応じて入れ歯治療も
力を入れている歯周病ケアについて詳しく教えてください。

【和宏院長】まず歯周病の有無や進行具合を調べる検査を行います。検査では、歯茎と歯の隙間の歯周ポケットにプローブを刺し込み、出血の有無、歯周ポケットの深さ、歯石の沈着具合をチェック。歯周病と診断された場合は、正しいセルフケアができるようブラッシング指導を行い、次にクリーニングやスケーリングで歯垢・歯石を除去、必要に応じて歯周外科手術を行う、といったように進行具合に合わせて治療を行います。歯周病が進行した場合、骨が完全に元の状態に戻ることはなく、歯のぐらつきが縦揺れの状態までくると抜歯が選択されます。そうならないためにも、できるだけ初期の段階で定期ケアを開始し、定期的なケアを根気良く続けながら炎症をコントロールし、進行の抑制を図ることが重要です。以上のことを行ってそれでも最終的に歯を失った場合は、しっかりお口に合った入れ歯を作っていく。ここまでが一つの流れだと考えています。
入れ歯治療についても伺います。
【和宏院長】入れ歯は保険診療の入れ歯と自費診療の入れ歯の2つに大別されます。保険の入れ歯はレジン床義歯、自費の入れ歯には金属床義歯や留め金のないノンクラスプデンチャーなどがあり、当院はいずれにも対応しています。金属床義歯は、口蓋部が熱伝導性の良い金属なので薄く作ることができ、発音しやすい、吸着性に優れているなどの特徴があります。ただ、昔に比べて今は高齢になっても自分の歯を維持している人が多くなっています。いざ入れ歯が必要となっても使い始める時期が遅い分、異物感になかなか慣れることができないという問題があり、そこが高齢者の入れ歯治療の難しいところ。この課題をどうクリアして使い心地の良い入れ歯を作製するかが、今後のテーマの一つです。
次に、小児の治療ではどのようなことに気をつけていますか?

【紗恵子副院長】お子さんが治療を嫌がる場合は無理強いせず、何度か足を運んでもらい、だんだん場所の雰囲気や私に慣れて、診療台で口を開けられるようになるのを待ってから治療を始めています。あとは、当院のコンセプトの一つである「通院が楽しくなる空間づくり」として、待合室で好きなDVDを見られるようにしたり、カプセルトイを設置したりといった「楽しみ」も用意しています。また、お子さんだけでなく、妊婦さんや子ども連れのお母さんにもぜひ検診をお勧めしたいです。妊娠中はつわりの影響で歯磨きが難しくなりますし、小さいお子さんのいるお母さんは自分のケアが後回しになりがちで、歯周病や虫歯にかかるリスクが高くなるんです。キッズスペースの他、トイレにはおむつ替えシートも設置していますし、寝返りが打てないような小さなお子さんはスタッフが抱っこしているので落ち着いて治療が受けられると思います。
毎日の歯磨きに加え、数ヵ月に1度の定期検診を習慣に
患者さんと接する際に心がけていることは?

【和宏院長】歯科医師として最も避けたいのは、患者さんに「歯を抜かれた」と言われることです。歯の治療は最終的に抜歯に至ることもありますが、あくまでそれは患者さん自身が納得して選択した結果でなくてはいけません。歯科医師の務めは「患者さんが求めている治療をする」に尽きます。患者さんのニーズを正しくくみ取るのは大変です。しかし、口腔内の現状と、治療でできること・できないことをはっきりお伝えした上で複数の治療の選択肢を提示し、それぞれの治療についてわかりやすく説明して患者さんに選んでもらうというプロセスを踏めば、「歯を抜かれた」と患者さんに思われるような事態は避けられるはず。抜歯に限らず、信頼関係を築くことが、良い歯科治療の第一歩だと考えています。
紗恵子先生はいかがでしょう。
【紗恵子副院長】院長がはっきり言う分、私は優しくマイルドに対応するよう心がけています。患者さんの中には歯科恐怖症の方もいますから「ここなら先生が怖くないから通えそう」と感じてもらえればいいかなと(笑)。あと、私は3人の子を持つ母親でもあるので、子どもの歯磨きや虫歯、歯並びなどについて、小児歯科を受診されるお母さんたちを安心させてあげられるような診療、アドバイスを心がけています。
読者へのメッセージをお願いします。

【紗恵子副院長】お子さんたちは、小学校低学年ぐらいまでは歯科医院に通うのですが、その後徐々に足が遠のき、虫歯にかかってしまうケースが少なくありません。親御さんはお子さんが大きくなってもしばらくの間は毎日の歯磨きがきちんとできているか、気にかけてあげてほしいと思います。
【和宏院長】歯の健康は全身の健康に影響し、例えば認知症の進行度は残存歯数と関連するといわれています。虫歯や歯周病を発症しても進行する前に発見できるよう、数ヵ月に1度の定期検診を習慣としてぜひ身につけてください。
自由診療費用の目安
自由診療とは金属床義歯/17万円~、ノンクラスプデンチャー/8万円~、インプラント治療/38万5000円~、メタルボンド8万8000円~