牧野 耕文 院長の独自取材記事
まきの整形外科
(相模原市中央区/上溝駅)
最終更新日:2024/05/30
JR横浜線・相模原駅からバスで5分ほどの場所にある「まきの整形外科」。院長の牧野耕文先生は、北里大学を卒業し大学病院にも長く身を置いていたことから、近隣エリアの先生たちとも親交が深く、相模原エリアの地域医療を支え続けている。地域の人たちに信頼されるかかりつけ医をめざしたいという思いから、診療時間も整形外科では珍しい21時までとし、早い時間に通うことができない患者をサポートしている。慢性疾患を抱えた高齢者から成長過程にある子どもまで、幅広い世代の患者が通う理由には、笑顔を絶やさない明るい牧野院長の人柄もあるようだ。取材では診療において大事にしていることや患者との向き合い方など、普段の診療についてたっぷりと語ってもらった。
(取材日2022年11月16日/情報更新日2024年5月24日)
21時まで診療することで地域の人たちをサポート
これまでのご経歴についてお伺いします。
もともと父が外科の医師でして、さかのぼると祖父の代から医師が多く、祖父も外科の医師、祖母は歯科医師でした。自然と医師をめざしたいと思える環境にいたのかもしれません。大学は北里大学医学部を卒業し、卒業後もそのまま北里大学病院に残り10年以上在籍。横浜や横須賀、津久井といったエリアの病院にも出向し、入院施設や当直勤務もあるような病院で、手術も週に数件行っていました。もともと私が入局した当時の北里大学病院は外傷を得意としていたので、外傷の患者さんを担当することが多かったです。
整形外科としては珍しく21時まで診療されているのですね。
基本的に午前は9時~12時、午後は17時~21時まで診療しています。患者さんは高齢の方が多く、近隣の小中学校のお子さんも来院されます。夜21時まで診療しているところは珍しいので会社勤めの方も多く、八王子市や座間市から来られる方もいます。夜遅くまでやっているのは医師である父の影響ですね。父はよく休日でも患者さんから電話があれば助けてあげたいと言って診察をしていました。さすがに同じようにはいきませんが、自分も夜遅くまでやることで、なかなか早い時間に通えない患者さんを救うことができるかなと思ったんです。みんながやっていないことをやることで、地域の人たちをサポートしたいと考えました。余談ですが、津久井の病院では朝の4時半に診察券が入っていたので、その時間に診れたら良さそう!と開院当初は朝5時~9時に診療をしていました。ですが、患者さんから「誰も起きてないわよ~」と言われ今の時間になりました(笑)。
定期的に勉強会を行っているとのことですが、どういった内容なのでしょうか。
月2~3回くらい行っていて、だいたい一番多いのが、製薬メーカーの方に来ていただいて薬や機械の説明を受ける勉強会です。私自身は薬のことはわかっていますが、なるべくスタッフにも同じように理解してほしいなと思い、勉強会には積極的に参加してもらっています。名前はわかるけどどんな薬かわからないままでいるよりも、私がどの患者さんにどんな薬を出しているのか、知識をつけてもらうことは大事です。受付で患者さんから何か質問された時に、スタッフがわかっていればスムーズに説明ができますからね。機械の勉強会は、何より私自身新しいものが好きなので、いろいろな新しい機械の説明を受けるのを毎回楽しみにしています。患者さんの様子や院内の機械の状態も見ながら、導入を検討しています。
一番つらいところから治療し、痛みの緩和に努める
慢性的な痛みや疾患を抱えている方は多いのでしょうか。
やはり整形外科は高齢の方がたくさんいらっしゃるので、膝や腰、骨粗しょう症といった慢性疾患を抱える方は多いです。ただリハビリテーションで通っていただく際にもご家族のサポートが必要ですので、なかなか通いきれない方もいらっしゃいます。そういった方には自宅でできる体操を教えています。どうしてもおっくうでリハビリや体操を習慣的にやらなくなってしまう患者さんは、なかなか続かずに諦めてしまうという悪いサイクルを生み出してしまいます。そういった方には「一緒に頑張りましょう」と励ましたり、日々楽しくお話をしたり、なんとか前向きに取り組んでいただくようにしています。
診療で大事にされていることは何ですか?
病気の内容によって治療の方針は変わりますが、すべてにおいて言えることは、今よりもっと楽しく暮らしていけるように、患者さんのQOL(生活の質)の向上に向けてサポートしてあげることでしょうか。痛い痛いと言って過ごす毎日では、生活していても楽しくはないですよね。ですので、しっかりと痛みを取り除くことをし、治療前にできなくなってしまったことがあれば、なるべくできるようにしてあげたいなと思っています。寝たきりになってしまったのでは本人もつらいですし、家族や周りのサポートも大変になると思うので、そうならないよう尽力しています。あとは、「自分の家族に接するように患者さんに接する」を当院のモットーとしていますので、そこはスタッフ一同意識して患者さんと向き合っています。
患者さんと接する際に心がけていることはありますか?
整形外科を受診されるということは、どこかが不自由なんですよね。なのでこの方はどこが不自由なんだろう、どこが痛いのか、何がつらいのか、問診でしっかり伺って、まずは一番つらいところから治すようにしています。たいていの患者さんはどこがつらいのか伺っていると、最終的には全部つらいとなってしまうんですよ。もちろん全部良くなりたいという気持ちは重々わかるのですが、すぐに全部良くなることは難しいので、まずは一番つらいところを治療し、2番目、3番目と伺いながら進めていきます。一気に幅広くではなく、ポイントをきちんと絞って治療するようにしています。また医院としては、スタッフにも患者さんお一人お一人がどこが不自由なのかを理解してもらい、みんなで積極的にサポートしていくことを大事にしています。
地域の診療所や病院とも連携し、包括的なサポートを
日々お忙しくされていると思いますが、お休みの日はどうリフレッシュされていますか。
休みの日は主にゴルフでリフレッシュしています。一緒にラウンドを回るのは大学の同級生など、医師仲間が多いですね。ゴルフは大学病院の医局に入った時からやっているので、わりと歴は長いです。普段忙しくてなかなか会えない他科の同級生に会えるので、うれしいですね。みんな年を取ってきたので、どこが痛いとかもっぱら健康の話が多いです。あとは、小児科の先生がいれば子どもの相談をするなど、プライベートな話題も尽きないです。今までもこれからも大切な仲間です。
クリニックの今後の展望についてお聞かせください。
実は私の息子も医師なのです。形成外科のクリニックをすでに開業していますが、今は慶應義塾大学の医局に残って勉強もしています。将来的には美容外科の医師としての道を進んでいく予定と聞いておりますので、このクリニックもいつか譲るつもりでいますし、ゆくゆくはうちの整形外科でも美容の部分を取り入れていくかもしれません。あとは引き続き、同じ大学を卒業して交流のある地域の先生方や大学病院と連携した地域医療をしっかりと行っていきたいですね。「かかりつけ医」の重要性をもっと地域に浸透させたいと思います。患者さんの情報がしっかり共有されていることで、薬の出し方や日々のアドバイスなど、患者さんを総合的に見て診療することができます。整形外科や内科、歯科など、科の枠を超えて地域全体で患者さんの健康を守っていきたいですね。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
痛みが出ても我慢してしまい、時間がたってからクリニックに来られる方が多いので、なるべく早めに来てほしいですね。症状がひどくなってから来られて手遅れになることだけは避けたいと思っています。これくらいの外傷なんか大丈夫と様子を見るのではなく、とりあえず整形外科を受診し、検査や治療に通っていただけたらうれしいですね。順番的には、整形外科で骨に異常がないことを検査で確認してから、接骨院などに行っていただくのが良いでしょう。成長過程にある子どもの場合、検査もせずに目先の部活や大会に出たいからととりあえずテーピングで固定してしまう場合がありますが、それは好ましくありません。患者さんのお気持ちも痛いほどわかりますが、心を鬼にして、長い目で生涯を見て今必要な治療をすることを大事にしています。痛みや外傷でお困りのことがあれば、ぜひ当院までお気軽にご相談ください。