子どもの将来の視力のため
3歳児健診のタイミングで眼科受診を
田辺眼科クリニック
(名古屋市昭和区/桜山駅)
最終更新日:2022/10/31


- 保険診療
パソコンやスマートフォンの普及などにより便利になった一方で、子どもたちの目へのリスクが指摘されるようになっている。子どもの視機能の発達は、通常3歳までに急速に発達し、8~9歳頃に完成して生涯の視力が決定することが多いため、この期間中に目の異常があれば早期発見し、治療を始めていく必要がある。さらに、小さな子どもは見え方に違和感があったとしても、自覚しづらく、また自覚していても言葉にするのは難しいため、親も気づかないことが少なくないようだ。このような事態を防ぐためにも重要なのが、眼科医院での検査。3歳児健康診査のタイミングでぜひ受けてもらいたい。視能訓練士が7人在籍し、小児眼科にも注力している「田辺眼科クリニック」の田辺直樹院長に3歳児健康診査のタイミングで受ける眼科検診の内容など、話を聞いた。
(取材日2021年10月13日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q3歳児のタイミングで受ける検査の内容について教えてください。
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A
3歳くらいになると個人差はありますが、眼科の検査が一通りできるようになります。このタイミングで行う検査の目的は、目の異常を早期発見すること。名古屋市の場合、お子さんが3歳になるとご自宅に3歳児健康診査に関する一式が送られてきて、ご自宅で予備検査とアンケート記入をし、眼科の異常の疑いがあると、検査を受けていただくことになっています。しかし、ご自宅で目の異常を発見するのは難しいものです。そのため、当院ではこのタイミングに検査を受けていただくことをお勧めしています。検査内容は大人と同じで、遠視、近視、乱視がないか確認し、視力検査、目の動きや位置を確認。診察では顕微鏡で角膜や眼底の状態を確認します。
- Qこの時期の検査で、どのようなリスクを回避していくのでしょう?
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A
乳幼児期は健やかな目の成長にとって、とても重要な時期です。生後すぐから5~6歳の視力の発達する期間に何らかの理由で「物をくっきり見る」ことが妨げられると、視力はうまく発達しません。例えば、8~9歳で片目が見えていないことがわかったとしても、その後回復することは難しくなります。また、両目が見えていない場合はご家族も気づけると思いますが、片目で物が見えている場合、ご家族が気づくことは難しいものです。眼科で3歳児のタイミングで検査を受け、早期に異常を発見することで、初めて対策をしていけます。視力の発達を邪魔する異常がある場合、なるべく早く見つけ早く治療をすることが、お子さまの目を守るために必要です。
- Qご家族が注意すべき子どものしぐさはありますか?
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A
代表的なしぐさとしては「目が寄っている気がする」「テレビに近づいて見ている」「物を見るとき、頭を傾けている」「目を細める回数が増えた気がする」「明るいところへ出るとまぶしそうに目を細め、片目を強くつぶる」などです。このように明らかな症状があれば、すぐに受診することをお勧めします。また、よくつまずくお子さまは、目があまり見えていない可能性があります。親御さんが勘違いしやすいのは、絵本を読んだり、ゲームをしたりする時、すぐにやめてしまうケースです。「この子は根気がなく飽きやすい」「集中力がない」と思いがちですが、実はうまく見えていないがために、嫌になって止めてしまう場合も考えられます。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1来院
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基本は予約制ではないが、同院では一部予約ができる時間があるがあるため、予約の空き状況は電話にて確認を行う。ポイントは子どもの機嫌。機嫌が悪いと精度を高く検査していくことが難しくなるばかりか、その日のうちに検査を実施できないことも多いそう。特に寝起きは機嫌が悪いことが多いので、普段、昼寝をする時間帯は避けた方が良いだろう。つい親の都合に合わせてしまいがちだが、正確な検査につなげるためにも注意しよう。
- 2問診表に記入後、診察で現状を確認
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問診表には「目がずれている気がする」「よくまぶしそうにしている」など、普段の生活の中で気になることを記入する。実際に目の異常があっても、認識していない親がほとんどだそう。また、斜視などは常に目がずれていることは少なく、家でずれていても、診察時には異常がないことも多い。あらかじめ異常がある時に動画や写真を撮っておくと、医師も判断がしやすく、診療がスムースに進むそうだ。
- 3検査、診察を行う
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検査では目の位置や動き、近視、遠視、乱視の程度、視力を確認。近視、遠視、乱視などの屈折異常は検査機器で測定する。従来の屈折異常検査器は顎を台に乗せて顔の間近で行うため、怖がる子どもが多いため、同院では6ヵ月の乳幼児から迅速に検査ができる機器を導入している。診察は眼科医師が顕微鏡を使って、角膜や眼底の状態を調べる。検査の時間は15~30分程度。
- 4当日に検査の結果が出る
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検査の結果は当日に出してもらえる。検査結果に異常がなければ、そのまま帰宅が可能だ。近視や遠視、乱視などの疑いが見つかった場合は、さらに詳しい検査が必要となり、後日、再検査を行うために説明を受ける。同院では視能訓練士が7人在籍しており、安心させるために子どもに優しく声をかけながら検査などを進めてくれる。
- 5再検査と治療
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検査の結果、遠視や乱視の可能性が高く出た場合は、その程度を判断していくために目薬を使った検査が必要となるため、後日、再検査を行う。ある程度以上の遠視や乱視がある場合、眼鏡の着用が治療の基本となる。眼鏡だけでは対応が難しい場合には、アイパッチという貼るタイプの眼帯で良いほうの目を隠し、悪いほうの目を訓練することもあるそうだ。悪い目を積極的に使うことで視機能の発達を促すのが狙いだ。