蛭間 信彦 院長の独自取材記事
ひるまデンタルクリニック
(川崎市川崎区/川崎駅)
最終更新日:2021/10/12

朗らかで親しみやすい語り口が印象的な「ひるまデンタルクリニック」の院長、蛭間信彦先生。プライベートではパラグライダーで空を飛び、クリニックでは歯科用CTやマイクロスコープ、CAD/CAMシステムなどを駆使した精密な治療に取り組んでいる。また、取得したヘリコプター免許で、ゆくゆくは災害時にも歯科医師として役立ちたいと夢を語る。一方、小さい子ども連れや体の不自由な高齢者も通いやすいよう、キッズコーナーを設け、バリアフリー設計にするなど細かな配慮も忘れない。「患者さんと話をするのが大好きなんですよ」と語り、患者とのコミュニケーションを何よりも大切にしている蛭間院長。楽しくも歯科医療への熱い思いを感じるインタビューとなった。
(取材日2019年1月17日)
新しい技術や機器を積極的に導入し、患者に還元する
まず、開業までの経緯を教えてください。

父が歯科医師で、兄、私、妹ときょうだい3人が歯学部に進みましたので、誰かが継ぐだろうと思い、自分は大学に残って研究を続けるか、ご高齢の方の訪問診療を手がけようと考えていました。しかし結局、兄は歯科医師にはならず、妹はアメリカに行ってしまったので、研修医だった私が戻ってきたのです。当初、父と2人で診療しようと考えたのですが、学んだ時代が違い診療スタイルも異なるので、お互いにやりにくいことがすぐにわかりました(笑)。結局、この建物を建て替えた時に借りた仮設診療所を残し、父は、そこでしばらく診療を続けていました。
どのような患者さんが多くいらしゃいますか?
川崎は人口流動が激しい地域ですから、さまざまな方が来られます。お子さんから、父の患者さんだったご年配の方まで年齢も幅広いですね。開業当時、キッズコーナーやバリアフリーはまだ珍しかったようで、わざわざ電車に乗って車いすで来院された方もいます。また早くからインターネット予約を導入したこともあり、IT系企業にお勤めの若い方もよく来られます。川崎は羽田にも近いので航空会社の寮もあり、病院も多く、3交代制や夜勤をしている方も多く来られます。夜勤の方は、昼間の睡眠だと体が十分に休めないこともあるため、唾液が粘着質になりやすく、口の中の菌を増やすことにもつながり、歯の状態が悪くなりやすいと感じています。また、夜中に炭酸飲料やコーヒーを多く飲む方も目立つため、食生活の指導から始めることもありますね。
患者さんとのエピソードや、お父さまから受けた影響などを教えてください。

10年ぶりくらいに来院された患者さんの場合、お顔を見ても、なかなか思い出せないこともあるのですが、レントゲン写真とお口の中を見た瞬間に、「ご趣味はこれでしたね」と思い出すんです。自分でも不思議なのですが、患者さんもびっくりされますね。とにかく患者さんとお話するのが大好きで、コミュニケーションをとても大切にしています。父はコツコツと寡黙に診療するスタイルですが、「時代が違うのだから、自分の思うスタイルでやればいい」と今は言ってくれています。また、父の義歯の技術は本当にすごいと思っています。いまだに父の作った義歯を使っている患者さんもいらっしゃって、父と仕事をしていた歯科技工士さんにも「お父さんはすごかった」と言われますね。
マイクロスコープやCAD/CAMシステムを駆使
先生の診療方針についてお聞かせください。

ビジュアルでわかりやすく説明しながら、コミュニケーションをとり診療を進めていくことです。今、何をしているのか、この治療にどういう意義があるのかを目で見てわかるように伝えていくことが、私のライフワークになっています。ですから、最初に口腔内カメラが出たときもデジタルカメラが出たときも、すぐに飛びついて導入しました(笑)。マイクロスコープは、歯科用CTの見学に行ったときに気になり、1週間試用したら手放せなくなりました。もともとメカが大好きで、仕事とはいえ、こうした機器を導入して使えるというのが、私にとってこの仕事の魅力でもありますね。
診療面での特徴について教えていただけますか。
1つはマイクロスコープを使った診療ですね。例えば根管治療で、今まで手探りで行っていた部分も手に取るように見ることができ、治療の正確性が上がりました。動画で患部の様子を撮り、患者さんにもお見せしながら説明し、治療を進めていきます。マイクロスコープの動画を患者さんに見ていただくシステムは、自分で研究して作りました。意外と年配の患者さんが「こういうふうになるんですね!」と喜んでくださるんですよ。歯科用CTも導入していますので、骨や神経の状態を把握しながら治療を進められます。私は、東京歯科大学の非常勤講師も務めており、こうした先端の歯科治療について研鑽を積んでいますので、根管治療やインプラント治療も安心して受けていただけるのではと思います。また障害がある患者さんの治療も受け入れていますので、当院を探して来院される方もいらっしゃいますね。
CAD/CAMシステムも導入されたそうですね。

これは、光学カメラで歯型をスキャンし、オールセラミックの詰め物やかぶせ物を製作するシステムです。アメリカでは導入している歯科医院が多いそうで、もともと興味があったのですが、展示会で実際に機械が削っているところを見て一目惚れしました。今までのような不快な型採りをする必要がなく、院内でしかも1日で製作できるのが最大のメリットですね。技工所を通さなくて良いため製作コストと期間が短縮できる分、費用も低く抑えることが可能に。また、たとえ何か不具合があってもその場で解決できるメリットもあります。患者さんと、どういう歯の形にしようかという相談をしながら調整することも可能です。そして、歯を削ったその日に装着でき、接着性が高いというメリットも。自費診療になりますが、ジルコニアなどさまざまな素材がありますので、ご相談いただければと思います。
バイタリティーあふれる、空飛ぶ歯科医師
プライベートはどのようにお過ごしですか?

趣味は多いのですが、今は、空を飛ぶこととマイクロスコープです(笑)。もともとパラグライダーをしていたのですが、3年前に墜落して足を骨折し、もう少し安全にと、ヘリコプターの日本と米国の操縦士技能証明書を取得しました。パラグライダーもヘリコプターも日頃から訓練していないと、瞬時に正確な判断ができないという点で、歯科治療に通じるところがありますし、飛ぶことに集中するのでリフレッシュできますね。航空身体検査でBMIや血圧の数値が悪いと飛べなくなりますから、晩酌も控えて健康的になりました。またヘリコプターは、災害時にも役立ちます。現在はNPO法人全日本ヘリコプター協議会で歯科医師の被災地への人道医療支援に参加するために、日々訓練を行っています。それからクリニックのPRも兼ねて、クリニックのロゴを入れたパラグライダーでフライトも行っていますよ。
今後の展望についてお聞かせください。
息子が成長してクリニックを継いでくれたら、一般的な診療を息子に任せて、私はマイクロスコープを使った根管治療に専念することが夢なんですよ。クリニックとしては、歯科医師の数を増やして多くの患者さんを診るよりは、私一人でできる範囲で、新しい技術や機材を積極的に導入しながら、患者さんに還元していきたいと思っています。もともと患者さんと接することが大好きですから、代診の先生を頼むと患者さんと触れ合えるチャンスがなくなってしまうので、自分の目の届く範囲で責任を持って治療していきたいですね。
最後に、読者へメッセージをお願いします。

子育て世代の方は、私も近い世代。同じ地域で成長していくスタンスで、子育ての悩みや生活のアドバイスなど、同じ目線でお話ができると思います。お子さんの虫歯予防は、ホームケアもとても大事。お母さんたちと一緒に、お子さんの歯を守っていければと思っています。お母さんの口腔内にばい菌が増えると、お子さんにも感染しやすくなりますから、できれば妊娠前に虫歯を治療してほしいですね。特に1〜3歳は感染しやすいですから、この時期に感染を防いで善玉菌を育むことが、将来の健康な歯につながります。お母さんが安心して治療を受けていれば、お子さんも自然とリラックスしますので、親子で一緒に通っていただきたいですね。コミュニケーションも大切にする診療を行っていますので、気軽にご来院ください。
自由診療費用の目安
自由診療とはインレー:4万円~、 クラウン:オールセラミックス(長石系)6万円~、ガラスセラミックス7万円~、ガラスセラミックス(焼結処理)&ジルコニア8万円~、インプラント治療:1本24万円~(税抜)