高山 慶一郎 院長の独自取材記事
高山産婦人科・内科
(高座郡寒川町/寒川駅)
最終更新日:2025/07/11

JR相模線・寒川駅にほど近い住宅街にある「高山産婦人科・内科」。2014年の開業以来、風邪などの日常的な疾患から女性特有の悩みまで幅広く対応。近隣のみならず隣接する他の市から訪れる患者も多いという。産婦人科の医師として40年以上の診療経験を持つ高山慶一郎院長は、患者の話をじっくり聞き、一人ひとりの患者に自身が納得のいく治療を選択してもらうというスタイルを貫く。また、近年はワクチン接種の啓発にも力を注いでいる。そんな高山院長に、診療で心がけていることやワクチンの意義について語ってもらった。
(取材日2025年6月9日)
社会全体を守るため、ワクチン接種を推奨
開業までの経緯を教えてください。

当院を開業する前は、茅ヶ崎市立病院の産婦人科で部長を務めていました。やりがいはあったものの、患者さん一人あたりの診療時間が定められてしまっていたり、管理職という立場から臨床以外に時間が割かれたりすることにジレンマを抱えていました。そんな時に、当院の入っている医療モール4階にある玉井小児科の院長からお声をかけていただいたのです。先生は私が在籍していた医局の先輩で、産婦人科を私に任せたいとのことでした。私自身も時間をかけてトータルに患者さんを診られる開業医に興味を持ち始めていた時期でもあったので、開業を決意しました。以前勤めていた市立病院が近くにあり、なじみのある土地だったことも後押しとなりましたね。
診療ではどんなことを心がけていますか。
ただ治療を行うのではなく、患者さんの納得感を最も大切にしています。ですので、あまり時間を区切らず、患者さんの話をじっくり聞くことを心がけています。初診は特に時間をかけ、たとえ途中で病気と関係がないと思える話題になっても、まずは耳を傾けるよう努めています。治療法については複数の候補を提示し、それぞれの利点や不利な点をきちんと説明してから、最終的には患者さんに選んでいただいています。お薬に関しても、複数ご提示した中から患者さんに合うものを選んでいきます。また、他院で納得のいく説明を受けられなかった方のご相談にも応じています。それと、婦人科疾患は受診をためらう方もいらっしゃると思いますが、不安があること自体が症状だと思うので、些細なことでもお気軽にご相談いただきたいですね。
先生が産婦人科の医師をめざした理由や、ご経歴について伺います。

父も産婦人科の医師で、平塚市で医院を営んでいました。ですので一番身近な職業ということで産婦人科の医師をめざしたのです。東海大学医学部を卒業後、東京慈恵会医科大学産婦人科に入局し、初期の頃は周産期医療と一般内科に関して幅広く学びました。転機となったのは、東京慈恵会医科大学附属柏病院に4年間出向した時です。婦人科腫瘍の先生に師事し、がんや子宮筋腫、子宮内膜症などの手術の経験を豊富に積むことができ、今でも得意な領域であると自負しています。その後は茅ヶ崎市立病院産婦人科にて医長、そして部長を務めました。産科では主にNICU(新生児集中治療室)やGCU(新生児回復室)を持つ小児科と協力して、茅ヶ崎市とその周辺にお住まいの妊婦さんやお子さんの周産期医療に力を注ぎました。また婦人科では月経困難症、子宮内膜症、更年期障害、子宮頸がんや子宮体がんの治療後のフォローなど、幅広く経験を積んできました。
日常的な疾患から、妊婦検診、女性特有の悩みまで対応
産科は、他の病院と連携して診療されていると伺っています。

ええ。患者さんが分娩を希望する病院によって、当院のサポート範囲も変わってきます。例えば茅ヶ崎市立病院や海老名総合病院では妊娠後期までこちらで定期健診を担い、湘南東部総合病院では先方の要望により分娩を決めた時点でご紹介しています。提携する助産院で分娩を希望される方や寒川からご実家に里帰り出産される妊婦さんの、妊娠中期までの健診も行っています。母乳にまつわるご相談も可能で、必要に応じて母乳に詳しい助産院をご紹介しています。
婦人科に多い症状と治療について教えてください。
多いのは月経困難症をはじめとする生理に関する症状や不正出血などです。月経困難症の治療の一つに低用量ピルの処方がありますが、体質的に合わない方には黄体ホルモンのみを含有しているミニピルの処方も行っています。人工的な閉経状態をめざす偽閉経療法や子宮に小さな器具を留置する治療法など、生活スタイルやご要望によって治療を検討していただくことが可能です。痛み止めを何錠も続けて飲まなければ耐えられない方は、ぜひご相談いただければと思います。また、更年期に入ると不正出血で悩む方もいらっしゃるでしょう。まずは検査でがんの可能性がないかを確認した上で、ホルモン検査で卵巣の機能をチェックします。また、ご希望を伺いながら漢方薬やホルモン療法もご提案しています。その他、子宮内膜症や子宮筋腫の診断、薬による治療も行っており、手術が必要なケースは連携が密な病院などにご紹介しています。
内科の診療についてはいかがでしょう。

内科においては地域における総合診療的な役割を担いたいと願っています。どの診療科にかかれば良いのかわからないという方も、お越しいただければ問診や血液検査などを行い、適切な医療機関を紹介することが可能です。近年の診療では、高血圧や糖尿病などの生活習慣病やその予備軍の方などが多いですね。お薬の処方の他に食事の改善や運動を提案することも多いですが、特に、仕事をしていて生活スタイルを変えることが困難な方などには、あまりに正論のアドバイスは意味をなさないと思っています。お話をする中で患者さんのできることを探り、前向きに取り組めるようなご提案に努めています。
患者に治療法を選択してもらうため、傾聴の姿勢を重視
医師会での活動を通じて、ワクチン接種を推進しているそうですね。

ワクチンは、ウイルスや細菌に対する免疫をつくり出し、病気になりにくくするために接種している物です。そして、ワクチンを接種することで個人はもちろん、集団免疫により社会全体の健康につなげられると考えています。しかしながら、世界の中でも日本はワクチンに対する不信感が強く、接種率も低い国です。その大きな理由に、副反応があります。もちろんワクチンも医薬品であるため、副反応が現れる可能性はあります。ただし、多くの人を救うため使われているという有用性に関しては、世界各国のデータを見ても明らかであると私は考えています。また、最近ではワクチン接種が可能になる前の乳児が、大きな病気にかかり死亡したケースがありました。妊婦さんがワクチンを打つことによって、乳児の健康につながる場合もあるため、私は人々がワクチンを接種することは必要であると考えています。
子宮頸がんワクチンについてはいかがでしょう。
ご存じのように、日本では過去に国民の恐怖心をあおるような報道がありました。しかし、実際には子宮頸がんワクチンを接種をするしないに関わらず、思春期の女性には一定の割合で報告された症状が起きていることがわかりました。つまり子宮頸がんワクチンと報告された症状に因果関係は考えにくいのです。まず子宮頸がんワクチンは、がんや、その前段階である前がん病変の減少を目的に接種されます。実際に多くの先進諸国で、子宮頸がんと前がん病変の対策として用いられています。また子宮頸がんが進行すると、子宮を摘出しなければならない場合もあるので、子宮を残すことを考えている方にとってもワクチン接種は有用でしょう。これらに加え、私は子宮頸がんワクチンの接種が分娩数の増加、そして少子化対策にもつながり得ると考えています。
最後に読者へメッセージをお願いします。

今後は専門である産婦人科領域に一層注力すると同時に、引き続きこの地域の医療への橋渡し的な役割も担っていきたいと思います。皆さんの中には、いきなり大きな病院にかかることに対し、経済的な負担を気にしている方もいらっしゃるかと思います。その場合、納得できる理由があれば、当院で適切な医療機関の紹介を行い、お役に立ちたいと考えています。ぜひ当院を活用していただければと思います。子宮頸がんに関しては、副反応が出た場合に対し、国もサポート体制を強化しています。また、少なくとも妊娠する可能性を残したい方には、子宮頸がんワクチンは有用だと考えているので、今後もワクチンの接種の重要性を伝えていきたいと思っています。
自由診療費用の目安
自由診療とは妊婦健診/5000円~ ※妊娠週数によって検査項目が変わるため費用の上下あり