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布施 修 院長の独自取材記事

漢方クリニック市ヶ尾

(横浜市青葉区/市が尾駅)

最終更新日:2019/08/28

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市が尾駅から徒歩約2分のところにある「漢方クリニック市ヶ尾」。院長を務める布施修先生は、中国の国立医科大学で漢方医学と西洋医学を学んだ後に来日し、博士号を取得。「たくさんの人に助けてもらって日本の医師免許を取得できました。今度は、僕の得意分野である漢方で、日本の患者さんの役に立ちたい」という思いで漢方を中心としたクリニックを設立し、現在診療を行っている。診療にあたって大切にしているのは、全体のバランスを整える治療。そして、漢方医学と西洋医学の、それぞれ良いところを駆使し、一人ひとりの患者に最良の治療を提供することだという。その具体的な治療法から診療にかける思いまで、さまざまな話を聞いた。
(取材日2018年7月2日)

全身のバランスを整える治療で根本的な解決をめざす

出身は中国だそうですが、なぜ日本で開業されたのですか?

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1つは、日本で勉強している時に多くの日本人の方に助けていただき、その恩返しとして、この国の患者さんに僕の得意分野である漢方でお返しがしたかったからです。もう1つは、本当の漢方を一人でも多くの日本の方に知っていただきたかったからです。実は本場・中国の医師でも、漢方について誤解している人はたくさんいます。漢方医学は中国で「中医」と呼びますが、多くの若い医師はその由来を中国の伝統医学と答えるんです。しかし、調べてみると、中医という文字は後漢時代の文献に登場していることがわかりました。中国の全土が中国と呼ばれるようになったのは約100年前。中医学は千何百年も前からあるので、単に中国の医学という意味でないとわかります。本当の意味は「中庸」、つまり調和の「和」であり、バランスという意味です。要するに漢方は、体のバランスを整える医学ということですね。

バランスを整えて治すというのはどういうことでしょうか?

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例えば冷え性なのに、のぼせる方がいます。暑がっているからと体を冷やすと、冷え性に良くありませんし、逆もしかりということはおわかりでしょう。実はこういう方は、全身で熱が高くなっているわけではありません。体温のバランスが崩れて熱が上のほうに集中し、相対的に下半身の体温が低くなっているだけということがあるのです。ですから治療としては、上下の熱のバランスをとるのが適切ということになります。全身のバランスを整えること。これが、漢方の基本であり、根本的な治療へとつながるわけです。逆に、「熱を下げるのに漢方を処方」「便秘を改善するのに漢方薬を飲む」など対症療法的に使うのは、漢方本来の使い方とは少し違うのかなと思います。

使い方が違っていることがあるのですね。

例えば、薬局にもよく置いてある葛根湯の使い方です。葛根湯は一般的に食前に飲むものと思っている方が結構いらっしゃいます。しかし、葛根湯の発汗作用を十分に引き出すには、むしろ食後のほうが適しています。食前でも効果はゼロとは言えませんが、体が温まっている食後のほうがお勧めです。一方で、滋養強壮や便秘の漢方薬は、食前に服用すべき。このような、服用のタイミングのほか、十分に滋養強壮の漢方薬を服用するのもあまりよくありません。滋養強壮の漢方薬を十分投与してしまうと、体は自分でなんとかしようとしなくなるので、あえて必要な分量・回数を100%にしないことで自然治癒力を取り戻させ、本当の健康を取り戻すことへつなげるのが、本来の漢方の使い方です。

東西の医学を駆使して一人ひとりにベストな医療を提供

開業までのご経歴をお聞かせください。

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僕は中国の北京出身で、大学は北京中医薬大学に進み、そこで漢方医学と西洋医学を専攻しました。卒業後、日本の東京医科歯科大学医学部大学院で臨床内科学博士課程を修了。現在は、中国と日本の医師免許を持っています。その後、長野県立須坂病院(現・長野県立信州医療センター)や新生病院での勤務医を経て、先ほど申し上げた理由から、この場所で開業することを決めました。長野県立信州医療センターと新生病院には、現在も非常勤医師として漢方の外来診療を担当しています。経歴からおわかりだと思いますが、漢方医学だけでなく西洋医学も勉強してきたので、東西両方の医学を駆使した診療を行っています。東西どちらかの医療に偏らず漢方と西洋医学の良いところどりをして、目の前の患者さんにとってベストな治療法を選択しています。

東西両方の医学を駆使した診療は、大きな特色ですね。

漢方と西洋医学の両方に詳しい医師が日本にはあまりおらず、その必要性を強く感じたことも、こちらで開業を決めた理由の一つです。漢方と西洋医学、どちらにも長所と短所がそれぞれあり、例えば漢方は滋養強壮を高めるためのもので、基本的に作用が穏やかで副作用が少ないという長所があります。しかし、病原菌を素早く退治するのはどちらかというと苦手で、西洋医学の抗生剤にはかないません。そうした特徴を考慮した上で、「この病気のこの段階なら漢方薬」「こういう段階なら西洋医学の薬」という具合に使い分けてます。実際、いろいろな西洋医学の病院にかかって治らなかったという、2ヵ月も咳が続いていた患者さんには、抗生剤と漢方の併用で治療を行いました。

漢方医学は漢方薬を使うことを指すのですか?

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もちろん、漢方薬を使って病気を治そうとします。しかし漢方では、病気を治すだけではなく、自然治癒力を高めて健康にすることを大切にしていて、それが最終的な目的だと僕は理解しています。当院では、健康のための一環として、食事療法にも力を入れています。漢方には「医食同源」という考えがあるくらい、食事は重要視されているからです。ただし、患者さん一人ひとりで体質が異なるため、一律に「この食材を取りましょう」というのでは、効果は期待できません。隣の人が黒豆をいつも食べて元気だから僕も食べる、ではうまくいかないのです。共通のアドバイスをするとすれば、夕食は腹八分目。一生懸命に運動をやるよりも、夕食の量を抑えたほうがコレステロールは下がりやすいものです。

患者に触れ、会話し「その場で診断」を心がける

診療で心がけていることはなんですか?

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目の前にいる患者さんの全身をよく観察し、よく触れ、お話を伺うことです。つまり、東洋医学で望診・聞診・問診・切診と呼ばれる「四診」ですね。舌や顔色まで体を診て診断するのが望診。患者さんの声のトーンを聞いたりして診断するのが聞診。生活背景から家族歴までさまざまな情報を聞き出すのが問診。おなかを触診したり脈を手で測ったりするのが切診です。最近は検査結果の数値や画像を診ながら、患者さんの顔も見ず触れもしない傾向がありますが、僕はその傾向に違和感を感じます。また、医療機関によっては、検査結果が翌週になるので、検査結果のみに頼らず、診察その日に素早く正しい治療に四診はたいへん役に立つことができると思います。

健康を保つためのアドバイスをお願いできますか?

健康を維持するには、自然と調和した生活を送ることです。先ほど重要だと申し上げた食事でいえば、季節の食材を摂取すること。夏にたくさんとれるトマトやスイカは、夏の日差しでほてった体を冷やしてくれます。冬に食べるかぼちゃは体を温めてくれますが、冬至に食べるのが日本人の慣習です。寝起きのサイクルもそう。夜は少なくとも0時までに寝て、朝は朝日が昇って目覚めるのは、体調だけでなく精神的にも良い習慣です。大自然の仕組みは本当に合理的だな、とつくづく思います。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

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漢方医学には、病気になる前段階の「未病」という考え方があります。未病のうちに受診し、適切なアドバイスを受けることが健康維持には大切だと考えています。なんとなく体の不調を感じている方にも、相応の食事療法や運動療法を含め、患者さん一人ひとりに合わせて最良だと思うアドバイスを行ってまいりますので、気になることがありましたらご相談ください。また、病気になってしまった方でも、長年にわたる漢方に対する研鑽により、できる限りよりよい漢方治療を提供していきたいと考えています。さらに、将来的には鍼灸も取り入れ、漢方と鍼灸という漢方医学の「両輪」でのサポートも行っていく予定です。今後、ますます研鑽を積み、皆さんに貢献していければと思います。

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