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趙 康明 院長の独自取材記事

医療法人社団蘭松会 蘭松医院

(杉並区/南阿佐ケ谷駅)

最終更新日:2022/01/12

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区役所のある阿佐ケ谷駅近辺に位置する「蘭松医院」は、内科・循環器科・小児科・リハビリテーション科・皮膚科の医院。住宅街の中にひっそりと立つ一戸建てを診療スペースとして使っているため、玄関を上がって待合室として使うダイニング、診療室となっている応接間と続く空間は来る者を少しも緊張させない。入り口へと伸びる路地は、趙康明院長が「奥の細道」と地口で表現したとおり、大人2人がすれ違える程度の細いものだが、これもまた、患者の気持ちを落ち着かせるのに役立っているのではあるまいか。幼少の頃より母の故郷である中国の食文化にふれ、長じて医師になってからは漢方の知恵に学んできた趙院長に、これまでの歩み、食生活への提言、長年取り組む訪問診療のことなどについて、たっぷりと語ってもらった。

(取材日2017年4月27日)

患者にどんなに優しくしても、優しすぎることはない

医院の来歴についてご紹介いただけますか?

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開院から今年で約30年になります。開院当初は青梅慶友病院の副院長の職も兼ねていて、平日の昼間は青梅、日曜・夜間はここ杉並で診療をしていました。また、練馬区の別の医院も1991、2年頃まで手伝っていたので、こちらに専念するようになったのは、25年ほど前からになりますね。当院はご覧のとおり普通の一軒家だった建物を利用していて、実際ここに住んでいたこともあるのですが、10年ほど前、2階をヘルパーステーションの事務所にした時に住居はよそへ移しました。以来、週2日の休診日を除く毎日、ここへ通って診療を続けています。近くを青梅街道が通っていますが、この周辺は日中の人通りがあまり多くない閑静な住宅街。家並みに紛れて医院の場所がわかりづらいかもしれませんが、案内板の矢印を頼りにお越しいただければと思います。

受診に訪れる患者はどのような方が多いですか?

内科全般を総合的に診ていますので、さまざまな患者さんがおみえになります。中でも、いわゆるメタボリックシンドロームの状態が引き起こす高血圧や糖尿病と、がんの症例は多いですね。また、当院が漢方を取り入れていることもあって、西洋医学だけではなかなか改善しない諸症状、例えば冷えや神経痛、胃腸の弱さからくる不調などを訴える患者さんも目立ちます。こうした症状は、私が基礎としている内科の診断では病名がつかないことも少なくありません。よく不定愁訴と呼ばれるものがこれに該当しますが、漢方の考えに照らすと違った角度からとらえることができ、治療の糸口が見つかることもあります。全般にご高齢の患者さんの割合が大きいですが、私が漢方と並んで強い関心を寄せているアレルギーの諸症状に関しては、比較的若い方のほうが多いようです。

診療に際して、いつも心がけていることは?

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当院のモットーにしている言葉があります。中国の歴史上の詩人が残したことわざで、「仁可過也、義不可過也(仁は過ぐべく、義は過ぐべからず)」といいます。私はこれを「どんなに優しくしても優しすぎるということはない、しかし、自分が正しいと思うことでも、それを押しつけすぎてはならない」というふうに読んで、患者さんへの接し方の基本に据えているんです。この場合、過ぎてはいけない義、つまり道理や道義とは、例えば治療の方針などを指しています。医師としての判断だからといって、ただ頭ごなしに「こうしなさい」と強要する態度は良くありません。患者さんにもそれぞれの事情や価値基準があるので、それらを十分に尊重し、お互いにすり合わせていくことが大切だと思っています。

健康の秘訣はまず食生活の見直しから

漢方は早くから学ばれたのですか?

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いえ、そうでもなくて、今も勉強している最中です。私の母が中国から渡ってきた人で、私自身は日本生まれの日本育ちなんですが、母を通じて受け継がれたさまざまな習慣、特に食事の面に中国伝統の文化が色濃く反映していたためか、漢方の考え方も私にとっては親しみやすいものでした。このように中国とのつながりが深いことから、漢方中心の医者のようにみられがちですが、私が医師になるため最初に学び、経験を積んできたのは西洋医学です。従って、まず内科の医師として検査した上で診断を下すのが基本であり、そこへ、先ほどご説明したように西洋医学的な治療だけでは解決が難しい場合に、適宜、漢方薬を処方するなどして東洋医学も役立てています。

では、食事について患者にアドバイスすることも?

あります。メタボの根本的な問題はやはり肥満ですから、医学的な治療よりも体重を落とすのが先決で、それには糖質制限など、食事の見直しをすることが欠かせません。もちろん、必要に応じて薬も併用しつつ、患者さんそれぞれに合った食事のあり方を指導していきます。日本人の食習慣で特に気になるのは、冷たいものと塩分の取りすぎですね。子どもの頃、少し冷えたものを口にしただけで、母からきつく叱られたのを思い出します。それくらい、中国流の食文化では体を冷やすことは良くないと考えられていて、当時の私は叱られてすごく心外に思ったものですが(笑)、医師になってたくさんの患者さんと接し、漢方から学ぶうちに、母の教えをもっともなことだと納得できました。塩分については、みそ汁は控えめにというのが私の持論です。ラーメンのスープと同様、胃を痛める原因になりやすいのでご注意いただきたいと思います。

先生は在宅医療にも熱心だと伺いました。

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通院が難しい患者さんのお宅への訪問は、開院以来ずっと行っています。これは、高い理想を掲げてお年寄りの在宅医療に取り組んでいる青梅慶友病院で働いていた時から継続していることで、私の中でとても重要な仕事です。普通は昼間の診療時間外を利用して、杉並区と隣の区のあたりまでを対象に、車で出かけていきます。状態や状況にもよりますが、常時12、3人~20人ぐらいの患者さんを、平均すると週1回程度の間隔で訪問しています。お年寄りの中には、長期の通院や入院を不本意と感じながら、ご家族に迷惑をかけたくないから我慢している人が多いんです。そういう方たちのためにも、今後も引き続き努力していきたいと思います。

じっくり考えながら治療にあたるのが自分のスタイル

先生が医師になることを志したのは、いつ頃、どんなきっかけからですか?

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中学生の頃、脳神経外科の医師が主人公のアメリカのテレビドラマを観て感化されたこと。あと、同時期に封切られた老医師と貧しい人々との物語の日本映画にも影響されましたね。それまでは宇宙物理学の研究者になりたいと思っていたのですが、思慮深くて献身的に行動する主人公らの姿に、いつか自分もあんなお医者さんになりたいと、自然に思うようになっていました。医師免許を取った当初、1年だけ外科を経験したこともありましたが、勤務先の院長に君は外科向きの性格ではないと言われたこともきっかけとなって、内科の道に進もうと決意しました。自分でも、緊急の場面でてきぱきと判断しなければいけない外科より、じっくり考えながら治療していく内科のほうが合っていると思います。

休日はどのようにお過ごしですか?

一番の楽しみは、韓国ドラマや中国ドラマを観ることです。韓国ドラマは歴史物も現代を舞台にしたストーリーも、中国と同じ儒教文化の良い部分がセリフの随所にうまく取り入れられています。日頃漢方やそのほかの勉強で目にした言葉、食文化の知識などをドラマの中に発見することもしばしばで、とにかく面白いし、ためになる。あとは、書物を開いたり、新聞を読むくらいでしょうか。週2日の休みをのんびり過ごすことで、診療に向かう英気を養っています。

最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。

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すべてとは言いませんが、大半の病気の原因は、食事を中心とする普段の生活習慣からきています。ですから、体調を崩している人はもちろん、元気な人も今のうちから、自分が毎日どんなものを食べているのか、ぜひ見つめ直していただきたいと思います。そうすることが、病気の芽を事前に摘む、あるいは悪化を防ぐことにもつながります。そしてさらに、そうした健やかな生活習慣を次の世代に伝えていくことも、今の大人の大切な役割です。親から子へ、そして孫へ、子々孫々に正しい知識を受け継いでいくことで、より良い文化が形づくられていくものと私は信じています。まずは、皆さんが健康的な生活を送れるよう、私もできる限りのサポートをいたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。

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