坂本 雅史 院長の独自取材記事
坂本内科クリニック
(京都市西京区/桂駅)
最終更新日:2025/04/09

阪急京都本線・桂駅の西口から、西に向かって真っすぐ歩くこと約3分。坂本内科クリニックは、駅から続く道路に面したビルの3階にある。院長を務める坂本雅史先生は、この街で生まれ育った。勤務医としての経験の後、2014年5月に地元の街で医療に貢献しようと、自らのクリニックを開院。クリニックには地域のニーズが高い一般内科をはじめ、坂本院長の専門である消化器内科・肝臓疾患の患者、そして生活習慣病を抱えた患者まで、さまざまな人が足を運ぶ。そんな中で坂本院長は来院者の考えを考慮して日々、その治療や改善に従事している。「地域医療の入り口になることが、自分の役目」と語る坂本院長に、自らがめざす医療などを聞いた。
(取材日2018年12月17日)
桂という街の、地域医療の窓口になりたい
こちらのクリニックの、成り立ちを教えてください。

当クリニックは、2014年5月に開院しました。それまで私は勤務医をしていたのですが、患者さんの身近で健康を支えたいという思いから開業しました。桂で開院したのは、私の地元だったからです。開業を考えた時に、生まれ育った場所で恩返しをしたいと考え、この土地を選びました。
地元で医療活動を行うことに関して、どんな思いがありますか。
開業医の役目は、医療の入り口になることだと思っています。常に誰もが入りやすいクリニックであり、私の視線も患者さんに合わせる心積もりでいます。診察や治療の内容においては、勤務医だった頃と変わりません。ですが開業医は、患者さんの生活状態を考えながらの処方、検査が必要だと感じています。実際に、生活環境の相談をされる患者さんも、勤務医だった頃よりは多いですね。その患者さんが一人暮らしなのか、ご夫婦や家族で暮らしているのか。それによっても、対応は違ってきます。病気だけではなく、そういった患者さんたちの生活背景も見ないといけません。患者さんのニーズに合わせた医療を提供することが、必要だと感じています。
開業医は、患者とコミュニケーションを図ることも大事ですよね。

限られた時間の中で、いかに患者さんの要望を聞けるのかが重要です。ご自宅に帰ってからも実践していただけるように薬の飲み方や副作用、有用性についてもわかりやすくお伝えするよう心がけています。患者さんは「こんなことを聞いていいのかな」と遠慮されている場合があると思います。実際には雑談や何げない会話の中にヒントがあって、そこから隠れていた病気が見つかることもあるんですよ。私自身が話を聞き出す技術をもっと伸ばしていくとともに、これからも遠慮せず、なんでも話してもらえる雰囲気づくりを心がけていきます。
一般内科のほか、専門の消化器内科、生活習慣病も診療
主な診療内容を教えてください。

風邪をひいたなどで、いわゆる一般内科を受診される患者さんが多いですね。当クリニックは私の専門である消化器内科を2つ目の診療科目に掲げています。なので消化器系、肝臓の疾患で来られる方もいらっしゃいます。でも実際に通われている患者さんで一番多いのは高血圧、糖尿病など、生活習慣病といわれるものですね。とは言えこれらに限らず、些細なことでも体に不調を感じられましたら、ご相談に来ていただければと思っています。最初にもお話ししましたが、ここを地域医療の入り口にしたい。それが私の役割だと思っています。
生活習慣病の患者には、どのように対応されていますか。
薬だけに頼るのではなく、生活習慣を改善することに重心を置いていて、食生活など日常の改善すべき習慣は、改善方法の具体例を用いてご説明しています。生活習慣病と対するには、患者さんの食事習慣の改善や、適度な運動に向かうモチベーションを上げて、患者さんの生活スタイルそのものを改善し維持していただくことが大事です。薬ばかりが増えると、患者さんご自身だけでなくご家族の方にも負担がかかります。それは決して良いことではないですよね。「先生に言われたひとことで気分が良くなるから、毎月ここに来たい」と言ってくれる方もいらっしゃって、その言葉は私にとって励みになります。普段の習慣ですから、改善を試みても続けるのはなかなか難しいものです。たとえ月に1回でもご来院いただいて、生活習慣を見直すきっかけを患者さんに提供し、一緒に改善をめざしていきたいです。
患者のモチベーションを上げるために、どんな工夫をされていますか。

生活習慣病の改善は、患者さんご自身の頑張りが大きいと思っています。ですので、生活が改善された時の喜びを共有するようにしています。たとえあまり結果が出なくても、ちゃんと取り組まれたなら、それは前進です。そのときも、喜びを共有します。そのためには、患者さんが生活習慣の改善にどう取り組まれているのか、具体的な方法を聞き出すことが大切だと感じています。生活習慣病には、患者さんと医師が二人三脚で対せねばなりません。患者さんの身近で一緒に頑張れる開業医だからこそ、しっかりと患者さんと向き合っていきます。
生活習慣病患者と真正面から向き合い、改善へ
患者との、思い出深いエピソードを教えてください。

勤務医をしていた頃の患者さんが印象に残っています。生活習慣病を抱えた患者さんがいまして、なかなか医師とうまくいかず困っていらっしゃる方がいました。その患者さんを私が受け持つことになり、患者さんの本音を受け止めながら、治療を進めました。そのうち徐々にその患者さんの考え方が変わり、前向きに治療に取り組んでくれるようになって改善につながっていったのです。今では毎月のように電話をくれて、ご自分の様子を教えてくれています。患者さんの健康に対する考えを変えるきっかけになれたことが、とてもうれしかったですね。
先生はなぜ、医師になられたのですか。
将来の進路として最初に医師を意識したのは、中学生の時ですかね。会社員や、その他の選択肢もありましたが、自分の選択肢で人の役に立てる仕事である医師に興味を持ちました。家族や親戚が医療関係者ではないので、未知の世界でしたし最初は驚きの連続でしたね(笑)。今では、私のことを慕ってくれて、ここに通ってくださる方がいらっしゃることに、やりがいを感じています。
休みの日には、どんなことでリフレッシュされていますか。

数年前から犬を飼い始めて、一緒に遊んでいます。犬と接するのが、こんなに楽しいとは思いませんでした。これまで犬にはそれほど関心はなかったのですが、往診に行っている患者さんのところの犬がかわいかったんです。私の子どもも犬が欲しいと言ったので、飼うことにしました。そうしたら、こんなにかわいいのかと。休みの日には散歩に連れて行って、これがいい運動とリフレッシュになっています。患者さんとの会話に役立てられればと思い、なるべく動くようにしようと心がけて、最近は2km弱ならバスに乗らずに歩いています。今後も、患者さんの考えを考慮した上で診療にあたり、健康を支えられるかかりつけ医をめざしていきます。