吉田 佳嗣 院長の独自取材記事
クリニック吉田
(橿原市/香久山駅)
最終更新日:2024/09/26

「クリニック吉田」は耳成山の東に位置し、里山に溶け込むように立っているクリニックだ。吉田佳嗣院長が2013年に開業し、同じ敷地内には介護老人保健施設などが併設されている。吉田院長は食生活や栄養が病気に大きく影響すると考え、診療では食事の栄養指導に力を入れているという。多くの標榜科目を掲げているのは、困った人がまず立ち寄れるようにとの配慮から。吉田院長は医師としてのキャリアをスタートした最初の数年でほとんどの診療科を経験しており、分娩を扱った経験もあるそうだ。「医療と介護を通じてすべての人が笑顔になるように社会に貢献する」という理念を持つ吉田院長は穏やかで、われわれのインタビューにも笑顔で答えてくれた。
(取材日2024年7月19日)
留学を経て開業。介護老人保健施設も開設
開業までの経緯をお聞かせください。

1985年に奈良県立医科大学を卒業してからは、沖縄県立中部病院で初期研修を受けました。1年目に全科ローテンションし、分娩も扱いました。2年目からは一般外科や整形外科、脳神経外科など、ほとんどの科を経験させてもらいました。病院の設立時には、米国が関与していたため本土とは医療が大きく違っていましたね。その後は循環器外科の医師として、奈良県立医科大学附属病院で勤務。その後、手術のスキルを学ぶため、オーストラリアとマレーシアに計6年留学したこともあります。帰国後は勤務医として全国を飛び回っていましたが、父の病気をきっかけに奈良へ戻ってきました。しばらく済生会中和病院で内科医を務めた後、子どもの進学を機にこのクリニックを開業しました。
診療科目が幅広いですね。
そうですね。介護老人保健施設も併設しているので、だいたいの病気には対応できるようになっています。それなりに経験を積んできて知識もありますからね。この辺りは昔から住んでいる方も多いですが、子どもがまったくいないわけでもありません。ある程度の年齢・症状の方が気軽に受診できるよう、内科、外科、消化器内科、循環器内科、糖尿病内科と幅広い科目を掲げています。
複数の施設も併設されているようです。

まず、開業と同時に居宅介護支援を始めました。そのすぐ後に介護老人保健施設をつくったんです。お年寄りの多い地域なので、多くの方にご利用いただいています。クリニックが近くにあるというのは安心していただけるようです。当院は西洋医学だけでなく、漢方医学、栄養指導などいろいろなアプローチ法を導入・提供しているので、そこを気に入ってくださる方のお力になりたいですね。皆さんが健康になるための手助けや、健康寿命維持のお手伝いをさせていただいています。
体をつくり、病気の原因にもなる「食」に着目
こちらの医院で行っている栄養指導について教えてください。

私は、先天的な病気以外の病気は、その多くが食事に起因していると考えています。近年は欧米化が加速していますよね。米よりパン、魚より肉、発酵食品より揚げ物。加工食品も増え、質の悪い油を摂取する機会が増えています。欧米人ならまだしも、われわれは米や魚、発酵食品を食べてきた日本人です。偏った食生活を続けていくと健康を損ない、病気になるリスクが増えると考えています。さらに言えば、現代は食べ物が豊富にある飽食の時代であるにもかかわらず、多くの人は栄養失調状態であると個人的には思います。特に不足しているのがビタミン、ミネラル、鉄分。鉄分の中でもフェリチンが不足している印象です。フェリチンが不足すると頭がぼーっとする、朝起きられない、といった状態になりやすい。これは大人だけでなく子どもにも顕著に現れてきます。ですので、患者さんには、大麦を混ぜた麦飯なども勧めています。
食事方法についても指導を行っているそうですね。
はい。特に咀嚼は大切で、咀嚼によって分泌される唾液が食べ物の嚥下をスムーズにしてくれます。誤嚥性肺炎を引き起こす誤嚥を防いでくれるんですね。食べ物をよく噛まずに飲み込んでしまうと胃腸に負担がかかります。それによって手足の血流が悪くなり、脳の血流も滞ってしまうこともあります。現代人は体温が低いといわれていますが、血流の悪さは体温の低さにも影響します。低い体温は病気になりやすいため、つまり咀嚼は健康への第一歩ともいえるんです。
健康にアプローチするには、いろいろなやり方があるんですね。

そうなんです。決して西洋医学を否定するつもりはないんですが、何でもかんでも受け入れるというのも違うのではないかと思っています。病気の中には薬物療法による治療が難しいものもありますからね。もちろん、私の提供している医療もすべての疾患に対応できるわけではありませんし、中には合わない方もいらっしゃるでしょう。大切なのは自分で考えることです。私の考えに賛同していただける方は当院や施設を使っていただけるとうれしいですし、合わない方は他のクリニックや施設を検討されてもいいと思います。当院では、自分自身で腰やひざの痛みなどを和らげるられるような、ご自宅でもできるケアを院内でお伝えすることもできます。私の考える医療について興味を持たれた方は、一度クリニックに足を運んでいただけるといいかもしれません。
すべての人が笑顔になれるように
ところで、先生が医師をめざしたきっかけは何だったのでしょう。

私が中学生の時に、姉を病気で亡くしたことが大きなきっかけですね。実家は材木商だったので、医療が身近な存在というわけではありませんでした。でも医師という職業は魅力的でしたし、自分の知識や技術を最大限に生かせる仕事はきっと楽しいんじゃないかと考えていましたね。実際医師になって後悔はありません。元気がなく表情も暗かった患者さんに笑顔を取り戻すことを目標ややりがいにしてこれまで歩んできましたが、医師を続けていて本当に良かったと思います。
日頃実践している健康法などあれば教えてください。
お風呂上りに冷水のシャワーを1分間浴びています。これは季節関係なく、一年を通してずっと行っているんですが、不思議と風邪をひかなくなりましたし、花粉症にもならなくなりました。それから重曹やクエン酸をスプーン1杯取っています。これは体液をアルカリ性に保つことが、健康の秘訣だと考えているからです。病気になると体液が酸性になるんですよ。毎日梅干しを1個食べるだけでも変わってくると思います。
最後に、今後の展望と、読者へのメッセージをお願いします。

患者さんの笑顔を増やしていきたいです。患者さんが笑顔と健康を取り戻すための頑張りは、これからも続けていきたいです。当院は標榜科目も年齢も幅広く診ていますので、困ったことがあれば一度来ていただければと思います。他のクリニックや病院にかかっているけれど症状が改善しない方や、薬を飲みたくないといった方にも可能な限り対応し、解決策を探していきます。食生活の改善を足がかりに、健康の維持・促進をめざして一緒に頑張っていきましょう。