西條 忍 院長の独自取材記事
さくら皮膚科医院
(新潟市中央区/新潟駅)
最終更新日:2024/08/07

新潟市中心部の万代シテイエリアにある新潟日報メディアシップの3階に「さくら皮膚科医院」はある。2014年に宮城県から移転開業した皮膚科医院だ。院長の西條忍先生は、ハキハキと気さくに話し誠実な印象の女性医師。長岡出身で新潟大学医学部を卒業後、東北大学皮膚科およびその関連病院で経験を積み2001年に宮城県で開業。一般的な皮膚科クリニックではあるが、院長自身、研究経験のあるアレルギー・免疫・スキンケア領域を得意とし、アトピー性皮膚炎などの炎症性皮膚疾患の治療に熱心。爪トラブルや美容の相談にも積極的に対応している。「患者さんとの関わりで笑顔が見えると、つくづくこの仕事が天職と思えます」と明るく語る西條院長に、診療のモットーや今後の展望を聞いた。
(取材日2024年2月28日)
最も身近な専門家、皮膚科開業医として20年超
こちらの医院の特徴について教えてください。

宮城県から、新潟市中央区万代に移転してきて今年で10年になります。診療内容はさまざまですが、大切にしていることは「患者さんの身になって考え、患者さんのためになる丁寧な診療」。とはいえ、医療には情報の非対称性がつきものです。例えば、患者さんのご希望が、その結果もたらされる利益・不利益等を十分理解した上でのものなのか、専門の医師として疑問に思うときもあります。そんな時は、患者さんのご希望は尊重しつつも、さらなる説明などが必要です。面倒とも言えますが、丁寧な診療とはそういう手間を厭わないことだと考えています。
最近、目立つ主訴はありますか。
比較的若い方、学生や社会人の方が多いので、いわゆるおでき、ニキビ、肌荒れ、手荒れ、赤ら顔から、かぶれ、湿疹・皮膚炎、虫刺され、やけど、水虫、じんましん、円形脱毛症など多岐にわたります。アトピー性皮膚炎や巻き爪・陥入爪などの方が、ネット検索してわざわざお越しになることも。交通の便の良い、わかりやすい立地だからこそと思います。また、当初から患者さんの4分の3近くは女性でした。「女性医師に診てほしい」という方が一定数いらっしゃって、「美容専門のクリニックには行きにくい」という方の受け皿になっている面もあります。また、しみ・イボなどを気にして来院する方は女性に限らないです。それから、数年前に助産師さん対象のセミナーの講師をさせていただいて以来、赤ちゃんの患者さんも増えました。
宮城から新潟に移ってこられた経緯についてお伺いします。

私は長岡で生まれ育ち、新潟大学の卒業です。仙台で皮膚科医としてのトレーニングを積み、ご縁があって仙南の大河原町で「さくら皮膚科医院」を開業しました。同門の皮膚科医の助けも借りながら、結果的に12年8ヵ月の間にカルテベースで5万人以上の多くの患者さんと関わりました。そんな中、子どもたちが巣立ち、夫が県外に単身赴任し、私一人が仙台に残っていた時に東日本大震災が起こりました。それで家族バラバラ生活に嫌気が差していた矢先、夫の新潟赴任の話が持ち上がり、当時新潟市にいた娘と結託して新潟転居を実現させたのです。転居後2年間は新潟から宮城の診療所に毎週通うという、中々ハードな日々でした。その頃、新潟の家に帰るたびにメディアシップがだんだん形になっていくのを目の当たりにし、こんなすてきなビルで開業できたらいいなと思いました。そして、願いが通じ、夢がかなったのです。
「きちんと治療したい人」の役に立てるように
クリニックの治療方針はいかがでしょうか。

笑顔でお帰りいただけるように最善を尽くしたい。そのためにはきちんと診察し、お話を聞く必要があると考えています。EBMやガイドラインを念頭に合理的な診療、わかりやすい説明を心がけていますし、処方はなるべくシンプルにしています。特にアトピー性皮膚炎のような慢性疾患の患者さんには、その場しのぎではない有用な知識と技術を身に着け、ご自分で皮膚を良い状態にキープできるようになっていただきたいと考えながら診療にあたっています。また、最も身近な皮膚の専門家として、最新治療を適切に提案できるよう、玉石混交のネット情報の海に溺れかかっている個々の患者さんの羅針盤でありたいと考えています。近年新しい治療法が次々開発され、その一部は私どものような診療所でも可能になり、勉強のしがいがありますね。
先進の治療を積極的に取り入れるのはなぜでしょう。
治療効果の追求や新しい治療の導入は、患者さんのためというのももちろんですが、私自身、新しいものを取り入れたり工夫したりするのが好きなんです。それでいて、心配性なところもありますので、新薬にはすぐに飛びつかず、情報を十分収集してから使用するようにしています。そうやって、事前の情報どおりに効果が発揮された時は私もうれしくなりますね。治療技術や薬は日々進歩しているので、以前は諦めていた状況でも改善が期待できることもあります。そのため、大学病院はじめ市内の高次医療機関に紹介状を書く場合もあります。
肌トラブルに悩む人にアドバイスをお願いします。

スキンケアの基本は清潔、保湿、遮光です。それには「適度な」という言葉を加えねばなりません。例えば、ごしごし洗いすぎは乾燥などのトラブルを招き、保湿のしすぎは吹き出物の元になり、妊婦・授乳婦の過度のUVケアはビタミンD不足を招くかもしれません。また、保湿を頑張っているのに乾燥が止まらないというのは、もしかしたら単なる乾燥ではなく、皮膚炎の状態になっているのかもしれないので、気軽に皮膚科を受診してはいかがでしょうか。宮城から新潟に移ってきて、冬場の空気の乾燥が比較的軽いように感じます。乾燥して痒いと来院される方でも、新潟では皮膚炎の治療だけで解決が図れることも多いのではないかと思います。
肌の良い状態をキープすることが大切
医師をめざしたきっかけやご経歴をお伺いします。

進路を決めるときに考えたのは、資格を取ってそれを元に着実に進めるような仕事が向いているということ。昔からコツコツ勉強するタイプでした。良くも悪くも結果が見えてわかりやすそうと思ったので皮膚科を選びました。それで入局した東北大学皮膚科では当時、教授のご指導のもと角層機能と免疫を切り口に皮膚科学の研究が進められていました。夫の都合で家族4人でアメリカに渡ることになったときは、教授の素晴らしい推薦状のおかげで、テキサス大学MDアンダーソンがんセンター免疫学教室で紫外線による免疫抑制の研究に従事することができました。苦労しつつもヒューストンの暮らしを楽しみました。当時の主任教授が数年後にアメリカ国内で講演を行われ、ご自身の業績を紹介する中で、「これはShinobuの仕事」と、ちらっと名前を出していただけたのがうれしかったです。
これまでのご経験で今も生かされていることはありますか。
開業直前の2年間は仙台逓信病院皮膚科に勤務しました。歴代の先輩皮膚科医のご尽力により、多数の患者さんが期待をもって集まっていました。当時の名誉院長はアトピー性皮膚炎の治療にとても熱心で、忖度なしで真実を語り、たまに患者さんを泣かせたりもしましたが、基本優しい先生でした。その間近で診療した経験は宝物です。皮膚科は「診たことがあるかどうか」という経験値の世界。東北大学皮膚科では、自分が担当した患者さん以外にもたくさんの症例を見る機会がありましたし、アメリカでも皮膚科臨床検討会に参加させてもらい、とてもためになりました。さらに、関連病院勤務時代や開業後にたくさんの患者さんを診させていただきました。それらすべてが、現在のよりよい診療につながっていると思います。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

私の背を見て成長し日本専門医機構皮膚科専門医となった娘が、2022年に1年弱でしたが当院の診療を手伝ってくれました。その際、爪治療やレーザー治療の内容が厚くなり、患者さんに配布するプリント類も刷新できましたので、さらにパワーアップさせていきたいと考えています。また、時間帯予約制やウェブ問診、セミセルフレジやキャッシュレス決済をうまく運用して省力化し、その分、お手伝いが必要な患者さんにより丁寧に対応することをめざしていきます。医療は日々進歩しています。昔受診してどうにもならなかったとしても諦めず、今後は症状改善させて良い状態をキープすることをめざしてほしいです。例えば、重症のアトピー性皮膚炎の人も諦めないでほしいです。患者さんも治療者も一生懸命だとうまくいくことがあります。一生懸命な人に、最大限お手伝いしたいと考えています。
自由診療費用の目安
自由診療とはQスイッチ・ルビーレーザーを用いたしみのケア/1万6500円〜、炭酸ガスレーザーを用いたイボのケア直径1mmまで1個あたり/1100円〜