菊地 琢也 理事長の独自取材記事
菊地眼科クリニック
(川崎市幸区/鹿島田駅)
最終更新日:2023/01/05

患者の家族が付き添いやすいように手術日を土曜日に設けたり、患者の選択肢を増やすために新しい機器を導入したりと「患者第一」の姿勢を貫く「菊地眼科クリニック」の菊地琢也理事長。川崎市幸区に開業して2023年1月で9年になるクリニックには、広々とした検査室、日帰り手術が行える手術室もあり、快活でエネルギッシュな菊地理事長を筆頭に、向上心にあふれたスタッフたちがキビキビと働いている。幅広い年齢の人々が訪れ、特に子どもの患者の比率が高いという院内の待合室には、待ち時間の相手になる接遇用ロボットの姿も。さまざまな工夫を凝らす菊地理事長に、その原動力やスタッフのこと、患者への思いを語ってもらった。
(取材日2020年12月14日/情報更新日2022年12月7日)
診察から検査、治療まで。幅広く質の高い医療の提供を
開業から2023年1月で9年になりますが、何か変化を感じるところはありますか?

特に大きな変化はなく、ご年配の方からお子さんまで幅広くいらっしゃっています。強いて申し上げれば、当初の想定より子どもの患者さんが多く来院されていますね。待合室にいる人型ロボットに興味を持っている子もよく見かけます。小児眼科では近視、弱視、アレルギーなど幅広く診ています。基本的にどんな疾患でも診ていますが、働き盛りの世代は緑内障やドライアイ、ご年配の方は白内障や、眼瞼下垂などによるまぶたの違和感、涙に異常が表れる涙道疾患の方なども多くいらっしゃっています。当院では、視力検査、眼圧検査などの検査を毎日行えますし、白内障などの日帰り手術も行っています。どの世代の患者さん、どんな疾患の患者さんにも質の高い医療を提供できるよう努めています。
先生が医師を志し、開業に至ったきっかけは?
私の身内には医師が多く、祖母、父、伯父が医師で、同じような道を歩むことに対して納得できない気持ちもあり、高校時代は「国際学科に進んで外国語を学びたい」と思うなどいろいろ悩みましたね。しかしあらためて自分の周りにいる人々を見て、医師の仕事の尊さに気づき、医学の道を志すことに。特に祖母は、20年前までこの地で開業していましたが、耳鼻科や内科、皮膚科などさまざまな診療を行う「何でも屋さん」のような存在で頼りにされていました。そんな地域の人々に感謝される祖母の姿にも、感化されたのだと思います。東海大学医学部を卒業後は昭和大学に入局し、麻酔科や外科などさまざまな科で研鑽を積みました。自分のクリニックを持つことはかねてから考えており、診察、検査、治療を一つの場所で完結させられたらと思い、このクリニックを開くに至ります。
内装や設備は、どんなところにこだわりましたか?

このクリニックをつくる際に、特にこだわったのは動線です。ご年配の患者さんも多い科ですから、待合室から診察室、検査室などへ最小限の移動で済むように考えました。同じようにスタッフもスムーズに移動ができるようになっています。院内の奥にある手術室は、実際に手術を担当する看護師の意見を取り入れ、使いやすいようにこだわって作りました。スタッフの使い勝手を良くすることは、患者さんのためにもなりますから。設備では、先進の白内障手術装置を導入していますし、緑内障のレーザー治療を行える機械も最近導入しました。角膜移植以外の外科的手術は、すべてクリニック内でできるように設備を整えています。
家族も付き添いやすいように日帰り手術は土曜日に
先生が設備にこだわり、診療内容を充実させる理由は何ですか?

私が新しい機械を導入する理由は、患者さんの選択肢を増やすためです。例えば、緑内障のレーザー治療を行える機械を導入したきっかけも、患者さんから他に治療法はないのかとのお声をいただいたことでした。治療において決定権は患者さんにあり、それに対して最善の提案、治療を行えるようにしたいと考えています。
訴えが多いという白内障の治療について詳しくお聞かせください。
ご高齢の方に多い白内障は、点眼薬や内服薬により進行を抑えることもめざせますが、日常生活に支障を来す場合には手術をお勧めしています。手術は日帰りで、実際の手術時間は10分前後、術前の点滴などを含めても所要時間は1時間から1時間半ほどです。鎮痛剤を投与し、患者さんが眠っている状態の中で手術を受けていただいています。肉体的な負担だけでなく、精神的な負担も少ない中で、手術に臨んでいただけるのではないでしょうか。
手術日を土曜日に設定しているのも、患者を考えてのことでしょうか?

当院では土曜日の午後に手術日を設定していますが、これは患者さん自身が来院しやすく、家族も付き添いやすい日にしたかったからです。実はクリニック側には土曜日に手術を行うデメリットもあるんです。もし機械が壊れた場合、機械を扱う会社は土日が休みのことが多いですから、すぐの対応が難しい。また、土曜日に手術を行うということは、術後に何かあった時のために日曜日の診療時間も設けておかなければなりません。それでも患者さん側にメリットの多い土曜日の手術をやめるよりは、故障に備えてバックアップの機械を用意し、祝日以外休みなく診療するほうを選びました。加えて、当院の手術は麻酔科医師と連携して、鎮静下で行うのも特徴です。以前手術をしようと思って手術室まで入ったものの怖くてできなかったという方が、当院だったら「鎮静下で行える」「家族に付き添ってもらえる」ことから、調べて来てくださったこともありました。
患者第一の理事長の思いに賛同するスタッフたち
設備や診療内容、診療時間などすべて「患者第一」の考えからなんですね。

「患者第一」というのは、医療もサービス業ですから当たり前です。自分の時間が欲しいと考えて開業する場合もあるかと思いますが、私は「患者第一」を理想にして開業しました。選択肢を増やす理由も「患者第一」だからです。土日も診療していれば、その日しか来られない方にも来院できる選択肢を与えられますし、さまざまな手術を当院で行えれば、手術をするかしないかの選択肢も与えられます。機械を導入すれば、治療内容の選択肢も増えます。また、慢性疾患の患者さんは、通院の負担を減らすため、3ヵ月に1度の来院にしています。すべて患者目線で考え、治療内容やスタッフの質を含めてクオリティーの高い医療をめざし、それを患者さんに還元していきたいと思っています。
取材中、スタッフさんとの関係が良好そうなところも印象的でした。
私の「患者第一」の考えにスタッフもついてきてくれていて、とても頼もしいですね。受付のスタッフたちは、自主的に知識を増やし、手術を行う患者さんやご家族に高額療養費制度について説明をするなど、不安をなくす努力をしてくれています。もちろん指導や教育もしていますが、みんなプラスアルファを意識してやってくれるんです。そういうスタッフたちが集まっているから、自分も日々精進しなければと思いますね。スタッフとのミーティングは週1回行っていますが、ミーティングをして、知識を得て高め合っていくのは一般的な企業だと当たり前ですよね。クリニックもそれと一緒というのが私の考えです。
今後の展望を教えてください。

今後は通院の難しい方や、自宅療養中の方への往診にも力を入れたいと考えています。2020年の3月から女性の先生が施設の往診に、個人宅へは私が往診に行っています。眼科の在宅医療はニーズはあるものの、広く認知されておらず、対応している医師も少ないのが現状です。当院の往診では、クリニックと同等とまではいきませんが、なるべく同じクオリティーを保ちながら、検査や治療をしています。まぶたの症状に対する処置などは自宅で行うことも可能です。2021年6月より、理学療法士による訪問リハビリテーション部門を立ち上げました。理学療法士が在宅にて、病気・けが・高齢・障害などに対して運動機能の維持や改善を目的に、より良い生活を送れるように積極的にサポートしていきます。