納 さつき 院長の独自取材記事
おさめスキンクリニック
(渋谷区/代官山駅)
最終更新日:2025/05/13

白を基調とした院内には観葉植物やアート作品が散りばめられ、上品でリラックスのできる香りが漂う「おさめスキンクリニック」。納さつき院長の美意識が反映された居心地の良い空間と、恵比寿駅より徒歩5分、代官山駅より徒歩3分というアクセス至便な立地も相まって、子どもから高齢者まで幅広い世代の患者が足繁く通う。保険治療から美容に特化した施術まで、患者のニーズに合わせて積極的に診療範囲を広げており、近年はアトピー性皮膚炎の注射療法に力を入れている。自身もニキビなどに悩んだ経験があることから、見た目など美容的な相談にも優しく温かな人柄で親身に対応する院長に、診療にかける思いを語ってもらった。
(取材日2024年9月11日)
アトピー性皮膚炎の注射剤を豊富に用意
近年はアトピー性皮膚炎の注射療法に力を入れているそうですね。

アトピー性皮膚炎の患者さんに対する治療法は、これまではステロイドや抗アレルギー剤の内服が主体でした。しかし、ステロイドは長期的に使用すると皮膚が薄くなるリスクがあり、抗アレルギー剤も効果に個人差があるので、改善が見込めない患者さんも少なくありませんでした。そこで当院は、新たな治療法として注目されている、体内で「IL-4」と「IL-13」という物質の働きをピンポイントで抑える目的の注射薬を導入。アトピー性皮膚炎の主な症状である赤み、炎症やかゆみについて、従来の治療よりも速やかに症状の軽減が見込めます。かゆみを誘発する「IL-31」の働きを抑えることを目的としたものがあります。現在、患者さんの症状に合わせて4種類の注射薬を用意しています。一方、注射が苦手な方についても、ステロイド以外の新しい外用薬や内服もご用意しています。従来の塗り薬でなかなか改善に向かわないという方はお気軽にご相談ください。
注射薬は年齢を問わず子どもも使えるのでしょうか?
生後6ヵ月、6歳、12歳、15歳から使える注射薬があります。いずれの注射薬も公的医療保険の適用が認められており、東京都は高校生になるまで医療費が助成されます。成人の場合には、高額療養費の助成対象になる場合もあります。治療に要する期間の目安は個人差がありますが、早い方では2週間後からかゆみの軽減を感じる方が多く、16週で経過を確認して1~2年かけて薬の量を減らしていきます。年齢を問わず、アトピー性皮膚炎のつらい症状の軽減や皮膚の見た目の改善が期待できます。例えば、お子さんが体をかきむしるつらい症状で起きてしまうことが減って、ご家族もゆっくり眠れるようになる。かゆみによるイライラの軽減から、親子ともに穏やかに日々を過ごせるようになる。また、学校行事や宿泊行事など、新しいことにも積極的に取り組めるようになるなど、従来の治療法で症状改善が見込めなかった患者さんも、より良い状況がめざせるでしょう。
赤ちゃんの乳児湿疹がアトピー性皮膚炎に発展するケースもあるそうですが、親御さんにはどんな助言を?

アトピー性皮膚炎と食物アレルギーは、最近では関連性があると考えられてきており、皮膚の炎症を早く抑えることによって、食べ物アレルギーが軽減するという研究結果もあります。そのため、離乳食が始まる前に皮膚症状がある場合には、まず皮膚症状から治療していきます。食物由来のアレルギー物質はおもちゃや寝具を経由して経皮吸収されることもあるので注意が必要です。例えば、ピーナッツアレルギーが多い地域では、乳児の頃にピーナッツオイルでマッサージしていたことが原因だという説もあります。一方で、小さい頃は腸の免疫が寛容なので、離乳食が始まったらいろんな食材をバランス良く摂取することが大切です。離乳食の間に腸の免疫を獲得できれば、重度のアトピー性皮膚炎やアレルギーを発症するリスクを軽減できるのではと考え、日常生活の指導することがあります。
クレンジングの大切さを伝え、健康で美しい肌に導く
ニキビの治療を希望される方も多いとお聞きしました。

当院では10代後半の患者さんはアトピー性皮膚炎と同じくらいニキビに悩んでいるケースが多いですね。ニキビの一番の原因は、毛穴の詰まりです。体質や食生活などのほかに、ストレスや寝不足などの生活習慣も原因となります。皮脂腺をコントロールするのが交感神経や男性ホルモンなのですが、日常でも仕事でも忙しい日々が続くと、どうしても男性ホルモンが過剰に分泌されます。お仕事をされている女性の中には、ニキビ症やあぶら症でお困りの方が多い印象です。よく、ニキビと吹き出物は違うといわれていますが、実は一緒なんですよ。ニキビはセルフケアで悪化してしまうこともあるので、早い段階で皮膚科を受診して早期治療を行うことが痕にならないコツです。
日々の診療で力を入れていることを教えてください。
毎日自分で肌を調節するためのアドバイスに力を入れています。クレンジングと洗顔については、今どんなことをしているかを伺い、その人の肌に合ったケアの仕方をアドバイスしています。これは、どんな方でも一緒、基本中の基本です。しっかりクレンジングすることで、不要な角質を除去して、きれいな肌が出てくるようにします。毛穴のケアがきちんとできないとニキビもできるし、肌が衰えてきます。アトピー性皮膚炎も肌に合った方法でケアをすることで、新しい皮膚を早く作るように促していきます。皆さんがもともと持っている肌に戻し、健康できれいな肌になってほしいと思っています。
クレンジングの大切さを伝えるようになったきっかけを教えてください。

クレンジングだけに15分かけるケアの方法があります。この方法を考案した先生のもとでクレンジングを教えていただき、クレンジングが肌づくりに欠かせない大切なものだと学んだのがきっかけです。思春期になると皮脂腺が発達してきますが、ニキビをできにくくするには、毎日のクレンジングをきちんと行うことが大事です。ニキビにならなければ、将来ニキビ痕に悩むこともないですしね。クレンジングはメイクをする方だけでなく、子どもや代謝の落ちてくるご高齢の方にも大切です。アトピー性皮膚炎の方の場合は、クレンジングで皮脂腺の活性化を促すことで、皮膚の潤いや症状の改善を図るということも期待できます。
気軽に立ち寄りたくなる居心地の良さを追求
どのような患者さんが多く来院されていますか?

赤ちゃんからご高齢の方まで幅広い年齢層の方がいらしています。肌荒れやニキビ、アレルギー、アトピー性皮膚炎、乾癬などの症状が中心です。代官山駅から近く、渋谷や恵比寿からもアクセスしやすく、土曜17時まで診療していることもあり、「今日なら時間があるから診てほしい」「近くにいるから、今から行きたい」と来られる方も多いです。それから、土地柄でしょうか、外国の方もいらっしゃいます。英語が通じない国の方が来院されることもあり、スマートフォンの翻訳機能を使ってなんとか意思疎通を図っています。あとはご近所の方も多く、中には4世代で通っていらっしゃる方もいますね。
待合室は日当りが良く開放感がありますね。空間づくりのこだわりを教えてください。
待合室は居心地の良い空間を意識しました。香り環境デザインの専門家の意見を参考に、クリニックオリジナルの香りのミストを使用しています。来院された際には、何の香りなのか想像するなど、ぜひ楽しんでいただきたいですね。また、キッズルームの壁一面に描かれている絵は、ファッション誌やいろんなアーティストとのコラボレーションなども手がける知人のアーティストの方に描いていただきました。観葉植物やアート作品を飾ることで、全体的に病院っぽい雰囲気を和らげて患者さんにリラックスしていただけるような工夫をしています。診察時間前後や昼休みには、食品工業でも使われている除菌ミストを導入するなど、感染予防にも力を入れています。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

皮膚は全身を包んでいるため、皮膚科医には全身に対する幅広い知識を求められます。同じ湿疹でも、ストレスなど心理的な要素が原因になっていることもあれば、ウイルス性の病気が疑われるケースもあります。そのため、どの科を受診すればわからないような症状でも、それが湿疹や赤みなど皮膚に関係することであればお気軽にご相談ください。当院は新しい治療薬を積極的に取り入れて、私自身も診療が時代遅れにならないよう常に知識をアップデートすることを心がけています。「このくらいで皮膚科に行くなんて変だよね」というふうには考えず、いつでもお気軽にご相談いただけたらうれしいです。
自由診療費用の目安
自由診療とはボツリヌス毒素製剤による眉間のしわのケア/3万3000円~、ほうれい線のケア/9万5700円~、炭酸ガスレーザーによるほくろ・イボの除去/4mm以下/9900円~(別途麻酔代)、AGA治療/1ヵ月1万6500円~