地域医療の経験を生かした
医療法人による高齢者向け住宅
ハートクリニック練馬春日町
(練馬区/練馬春日町駅)
最終更新日:2021/10/12


超高齢化社会が進み、大手不動産業者などが運営する高齢者向け住宅が注目を集めている。そのような中、「ビジネスとしての介護には限界がある」と「医療法人社団ハートクリニック」の岡英孝理事長(ハートクリニック練馬春日町院長)は、自ら“サービス付き高齢者向け住宅”の設立を決意。地域に根差した診療を行ってきた医療法人による高齢者向け住宅とはどういったものか、設立に至る背景やその特徴を伺った。
(取材日2015年9月24日)
目次
外来診療と在宅医療のノウハウから生まれた、心穏やかに過ごせる住環境を提供
- Qサービス付き高齢者向け住宅設立のきっかけを教えてください。
-
A
▲晴れやかな気持ちになれる屋上庭園
サービス付き高齢者向け住宅とは、高齢者が、普通の生活をしながら、在宅医療や介護が必要になった時に、必要なサービスを受けられるよう配慮された住宅のことを言います。介護施設を作れば作るほど国の財政が厳しくなる中、高齢者の方が、本当に必要な医療や介護を受けられる施設を作る重要性を感じ、「はーとびれっじ豊島園」を設立することにしました。そういった長期的視野に基づいた施設ですので、建物の設計も、提供するサービスの内容も、現実的で、かつ、さまざまな工夫がされています。近頃、介護サービス提供者からの虐待などが社会問題化していますが、サービス提供者のスキルや経験、心の余裕も大変重要な要素だと考えています。
- Q医療法人が高齢者住宅を運営するのは珍しいことなのですか?
-
A
▲共同浴場。こだわりのシャワースペースとサウナルームを完備
現場の医療は地域に密着した小さな地域産業です。“はーとびれっじ豊島園”は医療を提供したい、お世話をしたいという気持ちから始まり、実際に在宅医療を実践してきて、こういった施設を利用してくれたら楽だろうな、こんなサービスがあればいいなという思いを形にしました。ソフト面でもハード面でも、初めから重装備にしてしまうと、見栄えは良いが、それなりに経費が掛かってしまい、それを補うために、サービスの質が低下したり、逆に過剰なサービスが問題になってきます。それに対して僕たちは外来診療を行っているクリニックのすぐそばで、まずは快適な住環境を提供し、その後、医療サービスが必要になったときには、これまで作りあげてきた地域の医療ネットワークを最大限活用し、訪問看護ステーションや介護士、ホームヘルパーの協力のもと対応ができます。必要なときに必要なサービスを提供できるのは、今までの信頼やネットワークがあるからだと自負しています。
- Q医療法人が運営することのメリットや違いは何ですか?
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A
▲70インチTVや運動器具導入予定のリフレッシュルーム
(重度の認知症以外は)特に入居に制限はありません。こういった施設を利用する方は70代から80代の方が多いのですが、その方たちのお子さんはほとんどが働き盛りの世代で、介護のために会社を辞めなくてはいけない人もたくさん出てきます。例えば、お父さんは鎌倉市に住んでいてお子さんが練馬区に住んでいる場合、介護のために相当の距離を行き来することになります。働きながらではとても成り立つことではないと思うのですが、近くだったら、いざというときにすぐに駆けつけられるので安心。介護離職の心配もない……という利点を理解していただける方々に、ご利用いただきたいと考えています。
- Qどのような人を対象として想定していますか?
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A
▲トイレのドアが2つあり、片方は寝室へ、もう片方は風呂場へ
一つは場所です。都営地下鉄豊島園駅、西武池袋線豊島園駅から徒歩2分という好立地なので、元気な人は自分でいろいろなところに遊びにいけますし、ご家族は何かあったときにも駆けつけることができ、非常に便利な場所です。医療が必要になったとき、自宅で治療を進めたいという人には、これまでの在宅医療の経験を生かして対応していきたいと考えています、また、室内のレイアウトについても、在宅医療で得たノウハウを最大限に生かしました。トイレや洗面所、台所の位置については、実際に在宅医療の中での問題を解決できるような配置にしています。最後までポータブルトイレは不要。介護する人にも、介護される人にも優しい作りを考えました。
- Qそのような方のニーズに応えるためにこだわった点はありますか?
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A
▲気持ちに余裕を持てる、広々とした個室
ご自身のプライバシーの確保された自宅の中で、自由気ままに過ごしていただくのも良し。マンションの地下と屋上に共有スペースも用意しておりますので、気の合う方々と交流していただくのも良いと思います。必要以上にサービスの付かない高齢者向け住宅で、友人とお茶して、映画観て、散歩して、スポーツ中継(オリンピックや野球中継など)観て…ワイワイガヤガヤやって…「アア楽しかった。そろそろ疲れたから私は自分の部屋に戻って寝るわ」って。そんな時間の延長にある在宅医療、終末医療を提供したいと思っています。