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岡 英孝 院長の独自取材記事

ハートクリニック練馬春日町

(練馬区/練馬春日町駅)

最終更新日:2019/08/28

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循環器・消化器の診察から訪問診療や産業医まで幅広い顔を持つ「ハートクリニック練馬春日町」。それらに加えて、2016年4月からはサービス付き高齢者向け住宅「はーとびれっじ豊島園」も立ち上げるという。この住宅では、できるだけ医療従事者が関わらずにいられる環境をめざしたというからユニークだ。なぜそのような設計にする必要があったのだろうか。そして、岡院長が関わってきた外来診療、産業医療、在宅医療という3分野。これらはお互いに影響を与え合う密接な関係にあった。患者が健康を維持するために必要な環境を模索し続けた医師の目に映ったものとはなんだったのだろうか。岡院長に今に至る経緯について詳しく話を伺った。
(取材日2015年7月29日)

健康なまま生きがいが感じられる仕事を

どんな患者さんが来院していますか?

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循環器と消化器を中心に内科診療で来院される患者さんが多いです。主訴として多いのは、動悸や胸苦しさ、めまいですね。例えば、「胸が苦しい」とおっしゃる患者さんの心臓や肺を調べて何も異常がみつからなかったので、胃カメラの検査を行ってみたら胃潰瘍や逆流性食道炎が見つかった、といったパターンが挙げられるでしょう。また、そうして病気がみつかった患者さんのご家族が紹介で来られますね。年齢層は幅広いです。完全予約制の18時30分から20時の時間帯は、働いている人が仕事を極力休まないで通うための時間帯ですので、会社員の方が多いです。また、午前中は高齢者の方、昼は主婦の方が多いです。土日は働き盛りの方と、働き盛りの方の手を借りないと移動できない高齢者の方が多いですね。

なぜ夜間も開院しようと思われたのですか?

医師になってから、患者さんが仕事と治療を天秤にかけて、仕事をとって治療を中断し、くも膜下出血や不整脈を起こしてしまうのを目の当たりにするようになりました。なぜ患者さんが治療を中断してしまうかというと、医療機関が9時から17時にしか診療しておらず受診できなかった、という例を見てきました。治療を続けてもらうためには自分たち医師も努力しなければいけない。そこで、夜間も診療しているクリニックを作りました。「治療を受けてまたお仕事頑張ってください」という気持ちで診察にあたっています。出身大学が産業医科大学という、「働く人の健康をサポートし、仕事を通じた生きがいを感じてもらう」ということを理念とする学校だったんです。もともとは労働省が作っている大学で「仕事は人が生きるパワーになる」という思いで働いている医師も多くいました。それで、労働と医療の問題について学生時代からよく考えるようにはなっていたのもありますね。

開院前はどのような医療に携わっていたのですか?

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「新宿海上ビル診療所」というクリニックで働いていました。アルバイトの医師も含めると100人以上の医師が診療を担当し、無床診療所ですがすべての科がある大きなクリニックでした。そこで4年間院長を務めました。ビジネス街の忙しい患者さんがたくさんいらして、病気の治療と仕事を両立させる難しさを感じながら治療していました。一方、ご家族の介護で仕事ができなくなる方もたくさんいらっしゃいました。働いている方は、初めのうちは介護をしていることをなかなか言えずに、2時間3時間の睡眠時間で頑張ってしまうんです。でも、そんなの無理なんです。そうした方を目の当たりにして、働く人をサポートするには介護環境も良いものにしなければいけないと思ったんです。物事の良し悪しは環境がものをいうんですよね。だから、自分にできる範囲ということで介護環境のサポートにも力を入れるようになりました。

介護を必要とする期間が短くなる医療を

介護環境のサポートとはどのような内容ですか?

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2016年4月からサービス付き高齢者向け住宅「はーとびれっじ豊島園」の提供を開始する予定です。従来の介護では高齢者にケガをさせないことを第一に考え、ベッドのすぐ脇にポータブルトイレを設置し、その場で用を足してくれという、高齢者の尊厳に配慮しない介護がまかり通っていました。しかし、それは正しい介護ではないと思うんです。むしろ、元気でいられる期間を長く延ばすことによって、介護コストがかさまなくてすむ環境を作るほうが大事だと思いました。その実現を模索した結果いきついたのが、サービス付き高齢者向け住宅という65歳以上の方の入居を想定した施設制度です。実は、既存の住宅をバリアフリーに改装するためのお金は、国から補助金がおりるんです。でも、それを使っても数ヵ月で、ベッド横のポータブルトイレを使う生活になってしまうのでは無駄遣いですよね。それならば、現在住んでいる住宅を改装するのではなく、自分たちが住みやすいアパートに移り住む方が効率がいいのではないかと思うのです。

「はーとびれっじ豊島園」は通常の住宅とどんな点が異なるのですか?

サービス付き高齢者住宅のほとんどがそうなのですが、365日24時間休みなくセキュリティがかかっていて、12時間動いていない入居者の方がいるとアラームがなり、スタッフが駆けつけることができます。昼間は当院のスタッフが受付をしています。患者さんの個人ファイルには、既往症や飲んでいる薬、主治医、訪問介護を請け負っている会社、何かあった時のご家族への連絡先などの情報が管理されています。スタッフは毎日入居者の方の元に挨拶に行き、今日の予定と体調を確認します。この他、皆さんが集まって遊べるスペースもあります。そこでは無理に興味のないお遊戯をやる必要はなく、気の合った遊びたい人とおしゃべりしたりすることができます。先ほども話題に挙がった部屋のトイレについては、ベッドから立ち上がってすぐそこのドアを開けると、独立したトイレになっています。ご覧のように、医療機関との関わりは必要最小限に抑えられています。要介護の一人暮らしの親がいるが、昼間は仕事があるという人にとって安心の施設となるはずです。

サービス付き高齢者住宅が必要だと思ったきっかけはあったのですか?

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祖母を自宅で看取ったんですね。自宅で介護していた時は肝硬変、肝臓がん、肝性脳症を併せて患っていました。祖母は「トイレには絶対自分で行きたい」と言っていたので、トイレの近くにベッドを設置しました。しかし、トイレまで歩いている間にどろどろの便が落ちてしまったり、「手を洗った」と本人は言っていても手に便がついたままドアノブを触ってしまったり。妻にはずいぶん苦労をかけました。そうした経験から「このままではまずいな」と思ったのがきっかけでした。また、地域の在宅診療でも、毎日ポータブルトイレとベッドの行き来しかしていない人を多数見ました。私が考える良い介護とは、介護される人がぎりぎりまで「人の役に立っている」と実感できるようにサポートすることだと思います。直接的に誰かの役に立つことができなくても、より重篤な患者に介護保険の適用を譲ることで人の役に立つことはできると思います。

患者の健康のために土日開院しているクリニックで健診を

印象に残っている患者さんのエピソードがあれば教えてください。

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すい臓がんがみつかったものの、まだ治療できる段階の患者さんがいらっしゃったんです。がん専門の病院に紹介したところ、本当にいい時期に見つかったと言われ手術されました。しかし、結局がんは克服できませんでした。亡くなられる少し前に、お腹に管がついたまま私の外来に来て「診てほしい」とおっしゃりました。どうやら病院の医師とは話の行き違いがあったようで、そちらでの診察を避けられていました。自分はすい臓の専門ではないが良いのか?と確認したところ、「後は自分の選んだ道だから」と言っていただいて、その人を最後まで診させていただきました。他にも、遠方からずっと来ていただいていた患者さんで、近隣の在宅診療に引き継いだ男性がおられて、その方が亡くなられるときに、ご家族に「死亡診断書は主治医にお願いするけれど、死亡の判断は先生にしてほしい」と言っていただき、朝5時にご自宅に向かい、死亡確認をさせていただいた方もいました。印象に残っている患者さんは多すぎてすべて挙げることができません。

スタッフさんが明るくて丁寧な方でしたね。

土日もやっているため、家庭を持っているスタッフも多い中、彼女らには苦労をかけますが、みんなお互いにカバーし合うという気持ちを持って日々の診療に取り組んでくれています。仕事に対する責任感、患者さんへの気配りを持てる人たちですから助かっています。一人の患者さんの情報をみんなで共有することも大事です。患者さんの検査データが後日異常な形で出てきて、ただの風邪じゃないとわかったら、私がクリニックに不在の時でもスタッフが私に連絡して、患者さん本人に素早く連絡してすぐに対応する、といったことができるのもスタッフみんなの高い意識があるからだと思います。そんなスタッフたちとは、年一回研修旅行に行って親睦を深めたり、接遇を学んだりしています。この研修旅行は今年で4回目になりますが、今年は「夢と笑いと健康」をテーマに、大阪のUSJや吉本新喜劇を見に行ったりしました(笑)。スタッフのご家族も来てくれましたが、普段スタッフのご家族のサポートがないと、土日&夜間診療などできないですから、クリニックの診療方針を理解してくれているご家族の存在は本当にありがたいですね。

先生が医師になったきっかけを教えてください。

実は、最初はコンピュータープログラマーになりたかったんです。漠然とコンピューターはかっこいいと思っていたんですよね。クールに○とか×とかはっきり言える人に憧れていたんです。しかし私は怒りやすく涙もろい、感情の起伏が激しい人間ですので、ないものねだりだったんですね。でも、共通一次試験のときに、一つのケアレスミスで連鎖的に失点してしまい…。落ち込んでいる時に、友人が気晴らしに遊びに連れていってくれた場所が、今は「新宿の母」と呼ばれる有名な占い師のところ。将来に悩む私のために、友人がお金を払ってくれたんです。今でも覚えていますが、そのアドバイスは私を前向きにさせてくれるものであり、またその年の残りの受験チャンスについても助言を与えてくれるものでした。その言葉に従って大学を探してみたら、助言に該当する大学が…。それが産業医科大学だったんです。そして運良く産業医科大学に合格し、医師としての道を進み始めました。当初の予定とは異なりますが、結果的には良かったと思います。クールなコンピューターの仕事は自分に向いていなかったのではないかと思うんです。中学校の頃から心臓病を患っていたので、医学の世界も違和感なく溶け込むことができました。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

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家庭と仕事、そして自分の健康を成り立たせることで苦労されている方が多いのではないかと思います。しかし、そんな方をサポートしようという医療機関も少しずつ増えてきています。土日や夜間に診療しているクリニックは、仕事をしながらも患者さんに健康を維持してほしいと思ってやっているところがほとんどだと思います。クリニックを利用して自分の健康を守ることは、家族の健康を維持するためにも必要です。ぜひ利用してください。また、介護に振り回される読者の方も多いと思います。無駄なことに介護費用を使ってしまわないよう、使う前によく調べてほしいですね。皆さんが有効にお金を使うよう意識したら、医療に関わる政治も変わるかもしれません。

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