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柳原 尚 院長の独自取材記事

名古屋栄ペインクリニック

(名古屋市中区/栄駅)

最終更新日:2019/08/28

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栄の中心地、中区役所の東側のビル2階に「名古屋栄ペインクリニック」はある。柳原尚(やなぎはら・ひさし)院長はもともと麻酔科が専門で、大学病院の外科に所属した経験もあり、痛みに悩む患者の治療に長年関わってきた。クリニックでは薬物治療のほか、超音波やエックス線透視で患部を見ながら行う神経ブロック療法、さらに理学療法士によるリハビリテーションにも注力。「機械に頼らない、手技によるリハビリテーションを行うことが当院の特徴です」と柳原院長。高齢社会にあってますます重要になると考えられる運動療法。柳原院長は「私も腰痛持ちで股関節も悪いんです」と穏やかにほほ笑みながら、「患者さんの生活の質を上げることが最終目標」と力を込めた。
(取材日2019年5月14日)

超音波とエックス線透視で治療部位を可視化

ペインクリニックについて教えてください。

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「ペイン」は痛み、クリニックは「診療所」なので、ペインクリニックは文字どおり「痛みの診療所」です。当院を受診される患者さんの症状で多いのは、腰痛、脚の痛み・しびれ、首から腕の痛み・しびれ、いわゆる四十肩・五十肩といわれる肩の痛み、帯状疱疹・帯状疱疹後の神経痛です。ほかに三叉神経痛、肩こりなどでもいらっしゃいます。場所柄、高齢の方だけでなく、会社勤めの方、三重や岐阜、長野から来られる方も。治療は薬物療法や痛みを感じている神経の周囲に注射して痛みのサイクルを遮断したり神経の炎症にアプローチしたりするだけでなく、交感神経を遮断することにより有害な反射や緊張を抑えたり、血流の改善をめざすことで自己修復力を促す神経ブロック療法を行ったりしています。さらに神経だけでなく、関節、筋・筋膜、腱鞘など運動器の病気に対しても注射による治療を行っています。

ほかにどんな治療法がありますか?

当院の特殊な治療として、神経に接触させた特殊な針に高周波電流を通電し、長期間神経をブロックする高周波熱凝固療法・高周波パルス療法や、腰椎の術後・脊柱管狭窄・椎間板症・ヘルニアが長期にわたり神経根部が癒着を起こし発症した難治性の腰下肢痛に対し、先端がスプリング状の特殊なカテーテル(ラッツカテーテル)を用いて神経根部の癒着を剥がす硬膜外神経形成術などがあります。また、四十肩や五十肩の中でも拘縮肩・凍結肩といわれる動きの悪くなってしまった肩に対して、首から肩・腕を支配する一部の神経だけをブロックし、固まった関節周りの組織を緩めるための肩関節授動術も行っています。ほかにも筋膜リリース・ハイドロリリース療法といって、筋・筋膜、神経、腱、靱帯周囲、関節周囲の病変部に薬や生理食塩水を注入し、不純物を洗い流したり癒着を広げたりして、痛みやこりを軽くしたり動きを良くしたりすることをめざす治療法もあります。

治療では、どんなことに気をつけておられますか?

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当院では、「高齢者でも安心して受けられる治療」、「痛くない治療」をめざしており、そのために、スタッフともども安全のための声がけ、生体モニターでの全身管理を徹底しています。神経ブロックは細い針を使用し、痛いといわれる神経根のブロックには、針先を神経に直接刺すのではなく、寸止めや縁に軽く接触させることで痛みの軽減に努めています。また超音波検査機器を3台、エックス線透視検査装置を2台備えていますので、その場ですぐに治療対象部位を可視化し、神経や関節、筋肉、腱、血管などを直接見ながら、精度と安全を重視した治療を行っています。

機械に頼らない、手技を重視したリハビリテーション

先生が力を入れておられることについて教えてください。

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痛みの原因はさまざまで、当院では運動療法、つまりリハビリテーションにも力を入れています。もともと運動療法や生活指導については私がパンフレットを用いてその重要性をお伝えしていたのですが、2018年より男性2人、女性1人の理学療法士を迎え、専門知識に基づいたリハビリテーションを行うことができるようになりました。特徴としては、電気療法やけん引などの機械に頼るのではなく、理学療法士の手技に重きを置いていることです。約40分間、マッサージ・ストレッチ・筋力強化・運動とともに日常生活でのさまざまな指導をしてもらっています。また痛みというのは、心の悩みやストレスも関連しており、家庭や仕事の悩みをお話しされる方もいらっしゃいますね。医師・看護師だけでなく理学療法士・事務も含めチームとしてサポートをする場でもあると思っています。

患者さんとじっくり向き合っているのですね。

そうですね。理学療法士がいなかった時と今を比べると、診療の質は変わったと感じます。高齢社会となり、今後も体の痛みに悩む人は増えるでしょう。痛みがあった間に運動機能が落ちて生活の質は下がっていることが多いので、リハビリテーションによって運動機能の回復を図ることは重要です。また薬や神経ブロックでは治せず、リハビリテーションによって改善が見込める痛みもあります。生活の質をより高めることが当院の最終目標になります。お話ししてきたように痛みに対しては複数の治療法がありますので、患者さんとよく相談し、その方に適したオーダーメイドの治療を行うことをモットーとしています。

印象に残っている症例があればお聞かせください。

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大学病院に勤務していた頃からお付き合いのある当時80代の三叉神経痛の患者さんです。食事や洗顔など日常の動作で顔面の片側や口内がビリビリ痛んで、抗けいれん薬も効かなくなって毎日恐怖におののいていました。脳疾患の既往歴があり手術はできなかったのですが、高周波熱凝固ブロックを行うことで、笑顔を取り戻すことができました。90代になられた今も1~2年ごとに当院で治療を受けられています。患者さんご本人もご家族も当院を信用してくださり、ありがたいことと思っています。また、沖縄から、腰部脊柱管狭窄症による腰下肢痛のため、この数年間1~3ヵ月ごとに通われているご夫婦もいらっしゃいます。スタッフ一同が家族のようにお迎えしていることもとても気に入っていただいているようです。

チーム医療で各方面から患者をサポート

スタッフの方々について教えてください。

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神経ブロックの場合、施術後も患者さんの全身管理が非常に重要で、看護師にはしっかりした知識や技術が求められるため、5年以上の経験者を採用しています。理学療法士は全員10年以上の経験があり、患者さんには各人が専任で担当しています。チーム医療をモットーに医師・看護師・理学療法士・事務全員が、毎日の朝礼をはじめ、常に「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)」でコミュニケーションを取り合っています。1冊の大学ノートに日々の気づきや反省点があれば書き込み、それに対してみんなが意見をまた書き込むということもしていますね。安全な医療提供のためにも情報共有は欠かせません。たまにはみんなで「飲みニケ―ション」でフランクな話もしています(笑)。

読者にメッセージをいただけますか?

痛みを我慢していると、脳に痛みの記憶がインプットされて、「痛みの回路」ができてしまい、治療が困難な痛みに移行してしまうことがあります。痛みはあまり我慢せず、早めに受診していただくことがまず大切です。当院は予約制ですので、まずはお電話で状態をお聞かせください。また、待ち時間のことでしばしばお叱りを受けますが、痛みは多彩で日々変化することもあり、神経ブロックはじめ処置には時間がかかることもあります。この点はなにとぞご理解いただきますようお願いいたします。

これまでを振り返られて、また今後についてお考えをお聞かせください。

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私はもともと麻酔科が専門ですが、一時期外科に在籍し手術を行っていました。解剖を勉強し、体の構造を実践とともに学んだことが今の診療にとても役立っています。また、外科の医師は治療から手術、予後まで一貫して患者さんと向き合いますので、全身を総合的に診る視野も養われたと思います。リハビリを導入しているペインクリニックはまだ少ないのが現状ですが、この超高齢社会ではますますリハビリが重要になりますので、今後も引き続き注力していきたいです。当院には学生から90代の方まで神経ブロックやリハビリに来られています。長生きできる時代、若い方から中高年はもちろん、お年寄りの方も元気に生活していくために、「もう年だから」と諦めないでほしいですね。職員個々がさらに勉強を重ねるとともに、チーム力をアップして、多くの患者さんの力になりたいと思います。

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