手を専門的に診る手外科分野
扱う疾患やその治療法とは
とよはしにし整形リハクリニック
(豊橋市/豊橋駅)
最終更新日:2023/05/02
- 保険診療
なんとなく気になる、手のしびれや小さな痛み。生活に支障が出ているわけではないので、ついつい放置しがちだが、悪化すればするほど、そのぶん治りも悪くなってしまうという。「気になる症状があれば時間を置かず受診して、早期に治療を始めること。治療は早めが肝心です」と教えてくれたのは、「とよはしにし整形リハクリニック」の申正樹(しん・まさき)院長。整形外科の中でも肘から指先までの病気・ケガを扱う手外科分野を専門としており、細かい骨や神経でできている手の専門的な治療を得意としている。複雑な動きをする部位なだけに、小さな骨の骨折も見逃さない繊細な治療が必要だという。手外科分野では、どんな疾患を診ているのか、その治療法についても話を聞いた。
(取材日2022年12月27日)
目次
肘から指先までを診る。痛みやしびれがあれば、早めに受診し、放置しないことが早期治癒のポイント
- Q手外科分野とはどんな診療分野なのでしょうか?
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A
整形外科の範囲は広く、頭以外の背骨から足の先までを診ているので、パーツごとに専門性が高くなっています。整形外科の医師はそれぞれ脊椎、関節、リウマチ、手といったサブスペシャリティーを持っていて、私の専門分野の一つである手外科分野では、肘から指先を診療します。特に手は、腰や膝などに比べて骨、神経などすべての組織が小さくて細かいため、顕微鏡を使うような繊細な治療を必要とする部位です。骨折も、骨が小さいと見逃しがあったり複雑になったりします。外傷のほか、加齢による変形、腱鞘炎やテニス肘といった使いすぎによる炎症、手根管症候群、手首の舟状骨骨折、指の変形性関節症であるヘバーデン結節などの疾患を扱います。
- Qどんな時に相談したらいいのでしょうか。
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A
外傷の場合は、折れたとか痛いなどの症状があれば一刻も早く受診してください。しびれや慢性的な痛み、変形、こわばりなど緊急性のない症状は、外傷ではない疾患に多いと思いますが、それでも早めに受診して早期に治療すれば、そのぶん早く症状の改善につなげられます。遅くなればなるほど治療にも時間がかかるので、気になった時点で受診してください。痛みの感覚は人それぞれですが、些細な症状でエックス線写真などに現われなくても、手外科分野を専門としている医療機関の場合、症状から診断をつけることもできるので、早期に受診することが大切です。
- Q放置して後遺症が残る病気もあるのでしょうか。
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A
どんな疾患でも早めの治療が大事だとお話ししましたが、中には手術のタイミングを逃すと後遺症が残る病気もあります。一つ例を上げると、手のひらの筋が固くなってしまい、手のひらが机などにぴったりとつかなくなる「デュピュイトラン拘縮(こうしゅく)」という病気があります。これは、早めに手術をすれば、治癒も期待できますが、放置しすぎて曲がった状態が長かった場合には、手術をしても完全に元に戻すことはできません。
- Q手外科分野での治療法を教えてください。
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A
まずは、消炎鎮痛剤が入った塗り薬や貼り薬を使って治療を行い、症状に応じてリハビリテーションも並行して行います。外用剤で改善が見られなければ、炎症を抑えるための注射をします。それでも症状が残る場合は、手術をします。当院で手術は行っておりませんが、入院施設のある基幹病院を紹介していますし、術後のリハビリテーションは当院でも行っています。
- Q自宅でできる手の疾患の予防法はありますか?
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A
患者さんで多いのは腱鞘炎ですが、中でも手のひらの腱鞘炎は、職業病でもあります。工場で手作業をする方や、この近辺ですと農家さんで大葉を摘む作業をされる方など、同じ動作の繰り返しで腱鞘炎になる方が多いですね。ご自宅では、日頃から少しでも痛みがあれば、湿布や塗り薬を毎日使って、炎症を抑えるようにしてください。日々のお仕事なので、休むわけにはいかないと思いますが、軽い痛みだからと我慢して、痛みがひどくなってから治療を始めたのでは、治るまでに時間もかかります。また、治療を開始しても、少し痛みが改善したら治療を中断してしまう方もいるかと思いますが、完全に痛みがなくなるまで治療を続けることも大事です。