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渕脇 泰介 院長の独自取材記事

舞浜クリニック

(浦安市/舞浜駅)

最終更新日:2022/09/13

渕脇泰介院長 舞浜クリニック main

千葉県浦安市の最西端にある舞浜地区。「舞浜クリニック」は、長年診療機関が不足していたこのエリアに、2013年に開業した婦人科・内科クリニックだ。月経や更年期障害、不妊など女性特有の悩みのほか、急な発熱や腹痛、生活習慣病などにも対応する同院には、年齢・性別を問わず、幅広い層の患者が訪れるという。院長の渕脇泰介先生は、順天堂大学医学部附属順天堂医院のほか、多くの総合病院で活躍してきたベテランドクター。「ファーストエイド(急な病気やけがをした人を助けるために取る最初の行動)に対応できる、『地域の救護室』としての役割を果たしていきたいですね」と語る渕脇院長に、開業までの経緯や普段の診療の様子、やりがいを感じたエピソードなど、さまざまな話を聞いた。

(取材日2017年2月26日)

救護室のような役割を担う、地域密着型クリニック

まずは、開業の経緯をお聞かせください。

渕脇泰介院長 舞浜クリニック1

1978年に大学を卒業し順天堂大学産婦人科学教室に入局、医師としてのキャリアをスタートしました。その後、越谷市立病院や国立伊東温泉病院(現・伊東市民病院)での研鑽、国立精神・神経医療研究センターでの研究を経て、順天堂大学医学部附属順天堂医院、葛南病院(現・東京ベイ・浦安市川医療センター)、行徳総合病院などで診療してきました。当時は自分で開業しようとはまったく考えていませんでした。私は、開腹による子宮がん、卵巣がん、子宮筋腫、卵巣腫瘍、膣式の子宮摘出、子宮脱などの手術を多くこなしていましたので、開業して手術ができなくなるのがネックだったのです。ただ、私のいとこが鹿児島県霧島市で婦人科・精神科病院を開業しており、週末に1泊2日で診療を手伝っている時期がありましたが「開業して自分のスタイルで診療するのも悪くないな」と思うようになりました。

舞浜エリアで開業したのはなぜですか?

特に舞浜にこだわっていたわけではありません。当初はお隣の新浦安でも物件を探していたのですが、たまたま今の場所が空いているという話を聞いて、舞浜もいいなと思ったのです。私は長年、市川市や浦安市の救急病院に勤務していましたから、舞浜地区には診療施設がほとんどなく、近隣にお住まいの方が非常に困っているという状況を知っていました。ですから、困っている人がいる場所で、その人たちに良い医療を提供したいと思い、この場所での開業を決めました。

開業にあたってこだわった点はありますか?

渕脇泰介院長 舞浜クリニック2

今の医療には、ひとつの専門分野に特化する傾向があるようですが、私はこれまで、どんな病気でも「まずは診る」という姿勢を大切にしてきました。当院でもそのスタイルはそのままに、急な病気やけがをした人へのファーストエイドを行う、地域の救護室的な役割を担っていきたいと思っています。クリニックで高度な治療はできませんが、例えば、転倒などで骨折が疑われる場合はレントゲンを撮影し、病状を確認してから近隣の適切な医療機関に橋渡しすることは可能です。つまり、どんな病気もまずは受け入れて診察し、「軽症だから当院で治療できる」「重症だから大学病院へ」といったトリアージを行うわけです。当院の診療科目である婦人科と内科を中心に、「何を診るか」ではなく「困っている人を診させていただく」ことをモットーに、この地域で良い医療を提供していきたいですね。

患者の深層心理を引き出して、気持ちに寄り添う診療を

どのような患者さんが多く来院されますか?

渕脇泰介院長 舞浜クリニック3

婦人科を標榜していることもあり、男性よりも女性の患者さんのほうがやや多いですね。年齢でいうと、30代前半の働き盛りの方が中心ですが、下は1歳から上は92歳まで、幅広い世代の方にご利用いただいています。近隣にお住まいの方だけでなく、幕張や銚子市、鎌ケ谷市など遠方から来院される患者さんもおられます。ご相談の内容は、婦人科なら月経不順や月経痛、ピルの処方、外陰部のかゆみなど、内科なら急な発熱や腹痛のほか、糖尿病や高血圧などの生活習慣病、禁煙などが多いです。そのほか、がん検診や予防接種も行っています。

患者さんと接する際にはどのようなことを心がけていますか?

患者さんにはそれぞれ個性がありますから一概には言えませんが、患者さんの心情を早めに見極めて、それに合わせた対応を心がけています。また、患者さんの深層心理を引き出すことを意識して診察しています。例えば、女性は閉経前後のほてり、のぼせ、動悸、めまい、イライラ、うつなど、さまざまなつらい更年期症状に苦しむ方がいます。これらの症状は卵巣機能の低下によるホルモンバランスの乱れが原因で起こりますが、家族間や職場での人間関係に悩んでいるなど、メンタル面の影響も小さくありません。初診時から個人的な悩みを打ち明ける人はまずいませんが、それでもじっくりお話を聞いていくと、「実は……」と本音を聞かせてくださいますし、中には涙を流す方もおられます。心を開いていただければ、その後の治療がスムーズに進み、何よりも患者さんとの信頼関係を築くことができます。

患者さんに寄り添う診療を実践しておられるのですね。

渕脇泰介院長 舞浜クリニック4

そうできることを願っています。私も病に伏した経験がありますが、その時のつらさが今の診療につながっているように思います。医師は病気の原因を推察し、その原因に対して治療をしていきますが、教科書どおりに治療をしてもうまくいかないことはよくあります。それは、心の底に病気の原因以外の何かが隠れているからではないでしょうか。患者さんは病気に悩むというよりも、病気になったことで自分の生活がどうなるのか、家族や仕事はどうなるのか、ということを一番気にしています。ですから、「仕事を休んだらクビになってしまうかもしれない」「子どもの世話ができない」といった患者さんの深層心理を理解して、生活環境に合った治療を提案することが大切だと考えています。

盲腸の手術をきっかけに医師の道へ

先生が医師をめざした理由をお聞かせください。

渕脇泰介院長 舞浜クリニック5

私の両親は医師ではありませんが、親族には医師が何人かいますから、なじみがあったといえばそうかもしれません。子ども時代は旅行と機械いじりが好きで、トラックか鉄道の運転手、そうでなければ機械工か大工になりたいと思っていました。高校入学後は、大学は工学部に進みたいと考えていましたが、急性虫垂炎(盲腸)になって入院したときに、手術室に大きな医療機器がたくさん置いてあるのを見て、「医師になれば機械を使える」と思い、医学部へ方向転換しました。

専門に産婦人科を選んだのはなぜですか?

手を動かすことが好きだったので外科系を希望していましたが、全身を診るのは荷が重いと感じ、骨盤回りを中心に診察する産婦人科を選びました。また、私の叔父が大学病院の産婦人科の医師で、研究室に遊びに行った際にオシログラフ(心電図や脳波などの電気信号の波形を観測する装置)などの医療機器が所狭しと並んでいるのを見て、心を惹かれたのも理由のひとつでした。92歳になった今も学問に基づく医療を追求している姿勢は私の憧れであり、尊敬の気持ちは今も続いています。

医師になって良かったと感じたエピソードがあれば、お聞かせください。

そういえば最近うれしいことがありました。かつてある妊婦さんが感染症にかかっているのではとたいへんに心配されていました。妊娠中にこの感染症になると胎児に悪影響を来すことがあるとされていたため、私がいろいろな検査を行い、妊婦さんご自身が最終的に分娩の決断をされ、満期に至り無事に女児を出産されました。今回この女児が立派な成人となり私のところを訪ねてきてくれました。しかも、その方のおなかには胎児が宿っていたのです。つい最近無事に出産され、その赤ちゃんを連れて再度私のところを訪ねて来てくださいました。ここにそのご一族の3世代がそろったんですよ。その経験に産婦人科の医師ならではのやりがいと喜びを感じました。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

渕脇泰介院長 舞浜クリニック6

専門は婦人科なので女性の健康維持をサポートするのはもちろんのこと、泌尿器のトラブルなど、男性のお悩みにも対応します。お子さんの急な発熱や腹痛、成人の高血圧や糖尿病、高尿酸血症など一般内科の病気も診察していますので、お悩みがあれば何でもご相談ください。

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