小森 政直 院長の独自取材記事
小森歯科クリニック
(鹿児島市/鹿児島中央駅)
最終更新日:2025/05/15

鹿児島市内の武岡台小学校近くにある、ひと際目を引くスタイリッシュな外観が目印の「小森歯科クリニック」。小森政直院長が、歯科医院の「痛い、怖い」というイメージを払拭したいと思いを込めた同院には、吹き抜けの開放的な待合室や全個室の診療室など、患者がリラックスして診療を受けられる環境が整っている。複数の歯科医院に勤務し、東京で開かれる数多くの講習会にも積極的に参加してきた小森院長は、2013年の開院以来、一般歯科、小児歯科、矯正歯科、インプラント治療を含む口腔外科、審美歯科と幅広く対応。患者の口腔内全体を考え、精度の高い治療と将来を見据えた予防に努めている。明るい笑顔とロジカルな語り口が印象的な小森院長に、クリニックの診療方針や歯科医療に対する考え方、今後の展望について話を聞いた。
(取材日2024年12月19日)
歯科医院のネガティブなイメージを払拭する工夫と環境
とても印象的な外観ですね。

歯科医院の「痛い・怖い」というイメージを少しでも払拭したい、患者さんにリラックスしてもらいたいという思いを設計士さんに形にしてもらいました。歯科医院ではないようなスタイリッシュで個性的な外観はもちろん、お帰りになる患者さんの目線に「お大事に」というサインを設けたアイデアなど、細かい配慮も気に入っています。受付は清潔感を大切にしたかったので白を基調にし、天井は吹き抜けで明るく開放的な空間になっています。また、5つの診療室はすべて個室で、それぞれの診療室に40インチの大型モニターを設置しています。患者さんの口腔内の写真や動画をお見せしながら説明し、お口の中の状態を知ることで、改善のために何が必要なのかを考えてもらうことが大切だと考え、見やすい大型モニターにしました。通常は、歯に関する知識などのコンテンツを流し、皆さんのデンタルIQ向上に役立てています。
院内の設備や機器も充実していますね。
当院では歯科用CTやマイクロスコープなど、性能にこだわった医療設備を整えています。そうした機器は診療のレベルが上げることにもつながりますから、積極的に導入しています。例えば、歯の根の治療は肉眼だけで精密な治療を行うことは困難です。マイクロスコープで見た画像は20数倍の拡大率になるため、機械に頼れるところは頼って、治療の質を上げることは重要だと考えています。また、メンテナンスを行う歯科衛生士も小型のマイクロスコープを使っており、裸眼では見えない歯石もきちんと取り除けているかを確認しています。患者さんにはプラークコントロールの重要性を知っていただき、歯磨きのモチベーションを上げて、歯を大切にする意識を持ってもらいたいですね。
どのような患者さんが来院されますか?

患者さんの紹介でいらっしゃる方がほとんどです。既存の患者さんにきちんとした治療を行い満足していただくことが、結果的に紹介に結びつくと考え尽力しています。診療の際に心がけていることは、患者さんが何を考え、何を希望していらっしゃるのかを把握することです。当院を選んでくださったからには何か理由があるでしょうから、フラットな気持ちで接していますね。定期検診であったり、クリーニングであったり、取りあえず気になることがあるから1回行っておこうという方もいると思います。そういう中で、口腔内を診させていただき、資料を取らせていただいて、今後、予想される問題点があれば、そこに関しては丁寧に説明しています。また、日頃から患者さんとコミュニケーションをしっかりと取り、生活背景にも気を配ることを心がけています。
保険診療を主軸に、自費診療にも柔軟に対応
こちらの診療方針を教えてください。

基本的には保険診療をベースにしていますが、自費診療や審美歯科にも対応しています。ただ、やはり多くの方が保険診療を希望されると思いますし、保険診療だからといって手を抜くわけでもありません。保険診療で使えるようになった素材、歯形を採る時の光学印象などには迅速に対応できるよう早めに導入して提供しています。もちろん、自費診療にも良さがあり、補綴物でいえばプラークが付着しにくい、変色しにくい、材質が丈夫など、当然その価値はあると考えています。
診療で大事にされていることは何でしょう?
当院では、できるだけ削らない、抜かない治療を行うことを大切にしています。その上で、残せる歯に対しては全力で残すための治療に取り組みますが、駄目な歯を残すことは周囲の歯にも影響を及ぼします。大切なのは、歯の本数というよりも噛めるか、噛めないかです。80歳で20本の歯を残そうという8020運動は素晴らしいことだと思いますし、自分の歯があったほうが良いことは百も承知ですが、機能する総入れ歯で、楽しく食べて生きてもらうほうが良いのではないでしょうか。歯科診療で重要なのは、患者さんの口腔内全体を考えることです。精度の高い治療を行うことはもちろん、予防に力を入れ、患者さんの将来を見据えてお口の健康を守っていくことが務めと考えています。
予防の観点から大切なのは、やはり定期的なメンテナンスでしょうか?

歯を長く維持していくためには、1回治療をすれば終わりというわけではありません。根本的な考え方として、メンテナンスが必要です。お口の中は細菌だらけで、歯は非常に過酷な環境の中にあります。それをお手入れせずに過ごすという考え方は、そもそもおかしいということです。その間違った認識が、例えば歯磨きを一生懸命にしないことに結びつきます。もっと自分自身を大切にしてあげてほしいですよね。僕らは3ヵ月に1度のメンテナンスで拝見させていただくだけですから、それ以外の時間のご自身によるセルフケアが一番大切です。皆さん、80歳になってもおいしく漬物を食べたいですよね。そのためには、ご自身で将来どうありたいかをイメージして行動につなげてほしいと思います。
歯科診療によって、人生の良い「時間」をサポート
先生が歯科医師としてやりがいや使命を感じられることはどんなことですか?

歯科医師は人の役に立たないと意味のない職業だと思っています。でも、それは結局自分自身のためでもあるんですね。僕も10年後は60歳になりますから、今よりもさらに「人の役に立つ」ということを考えるようになりました。噛めなかった患者さんを噛めるようにするために治療に力を尽くすことは、歯科医師としての大きなやりがいです。そして、噛む機能の回復を図ることは、保険診療でも十分可能だと考えています。患者さんが自費診療を望まれても、歯のコンデションによってはリスクがあったり、トータルで考えると向いていなかったりすることもあります。その方に適した治療を提示し、患者さん自身が選んでともにゴールをめざす。そこに、保険診療と自費診療の差はないと思っています。食べることは、人生において良い時間を過ごすために不可欠です。その意味で、噛めることは大きな役割を果たすと思います。
今後の展望について伺います。
口が開きづらい、顎を動かすとカクカクと音が鳴るといった症状がある方に、噛み合わせや顎関節症の治療を提供したいと考えています。以前から、この分野については勉強していましたが、なかなかアピールできずにいました。理論自体は確立されたものですが、鹿児島県内はもちろん、全国的に見ても噛み合わせや顎関節症を実践している歯科医師はそれほど多くありません。実は、息子も歯科医師をめざすことになったので、将来的に彼に技術を伝えることができれば、僕だけでなく同じ勉強をしているコミュニティーの先生方との交流もできるのではないかと期待しています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

僕の中で一番大事なものは「時間」です。できることなら「良い時間」を増やすことに努力したいじゃないですか。ですから、歯科の分野でいえば「歯が痛い」「噛めない」といったことに足を引っ張られるようなことになってほしくありません。人生において楽しい時間は多いほうがいいですよね。特別なことをして楽しむのではなくて、毎日の当たり前のことで、いかに幸せを感じる時間を増やすかが大事なのです。充実しているかどうかは、その方の物事の見方、感じ方、ひいては価値観の問題だと思います。歯科医師として、目の前の患者さんに伝えるべきことを伝える。それによって患者さんが納得いく治療方法を選択できれば、僕にとってもめざすべきゴールが定まります。これからも、歯科領域において、患者さんに良い時間を提供するため力を尽くしていきたいと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/22万円~、矯正/38万5000円~、ハイブリッドセラミックスインレー/2万2000円~、ジルコニアクラウン/5万5000円~、セラミッククラウン/5万5000円~、オールセラミックス/12万1000円~
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。