尿漏れ・頻尿に一人悩まないで
泌尿器科で受ける過活動膀胱の治療
泉谷ふれ愛クリニック
(名古屋市緑区/徳重駅)
最終更新日:2024/09/25


- 保険診療
家族や友人など親しい人にも相談しづらく、人知れず悩んでいる人が多いという過活動膀胱。トイレが近いといった軽い自覚症状から切迫性尿失禁の症状が出る場合など程度はさまざまだが、生活に関わるというだけでなく膀胱がんや膀胱炎、尿路結石、前立腺肥大症といった別の危険な病気が潜んでいる可能性もあるという。そこで過活動膀胱について豊富な治療経験を持ち、また来院しやすい環境作りをすることで、泌尿器科でありながら女性や子どもの患者も多いという「泉谷ふれ愛クリニック」の泉谷正伸院長に話を聞いた。
(取材日2016年9月17日)
目次
過活動膀胱の症状に悩む患者に寄り添い、適正な診断で泌尿器系疾患を見逃さないよう努める
- Q過活動膀胱や尿失禁(尿漏れ)とはどのような症状ですか?
-
A
▲模型を用いてわかりやすい説明を心がけてくれる
過活動膀胱の症状は主に4つあります。第一に挙げられるのは尿意切迫感といって、突然生じる我慢できないような尿意です。それに加えて、日中の排尿回数が8回を上回る頻尿、排尿のために睡眠が1回以上中断されてしまう夜間頻尿、そして尿意切迫感と同時、もしくは直後に失禁をしてしまう切迫性尿失禁です。必須症状といわれる尿意切迫感に加えて、その他3つの症状のうち、1つでも該当する場合は過活動膀胱と診断されます。過去には明確な診断基準がなく、早期に治療が行えないケースがありましたが、2002年に過活動膀胱の診断基準が定義され、自覚症状を持つ患者さんの治療がしやすくなりました。
- Qどのような人が発症しやすいのでしょうか?
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A
▲問診票は丸をつけるだけの形式にし、羞恥心に配慮
2003年の日本排尿機能学会の調査では、40歳以上の男女のうち実に12.4%が過活動膀胱と診断されています。原因は大きく神経因性と非神経因性に分けられます。神経因性の場合は脳梗塞や脳出血、パーキンソン病といった脳疾患、脊髄損傷、お子さんですと二分脊椎症(にぶんせきついしょう)という先天的な形成不全も原因となります。一方、非神経因性の場合はメタボリックシンドロームなど生活習慣病が関係することが明らかになっています。女性の場合は骨盤底筋の緩み、男性の場合は前立腺の問題が原因となることもあります。このように40歳以上の患者数が多いものの、老若男女に関わらず発症する病気であると言えます。
- Q過活動膀胱の診断方法について教えてください。
-
A
▲エコー検査機器で膀胱がんや他の疾患の発見を行う
4つの症状といわれる尿意切迫感、頻尿、夜間頻尿、切迫性尿失禁についての問診を行います。尿検査も行い、膀胱がんやその他の泌尿器疾患が潜んでいないか、必ずエコー検査も行っています。過活動膀胱で受診した患者さんでもがんが見つかることは十分考えられますので、慎重な診察を心がけています。また、当院では排尿記録も行っています。丸2日間にわたり、トイレに行った時間、排尿量、飲水量を記録してもらい、排尿状況を正確に把握しています。こういった過活動膀胱の診察はすべて衣服を着用したまま行い、体や精神的な負荷も少ないので、安心して泌尿器科を受診していただければと思います。
- Qどのような対処法がありますか?
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A
▲低周波治療機器。痛みや副作用はほぼなく、保険適用の治療機器だ
対処法としては、睡眠前の飲水量を控えるなど、適正な水分の取り方を指導します。また膀胱訓練といって、正常な排尿間隔を取り戻すためのトレーニングを行います。排尿間隔が短く、たまっている尿が少ないにも関わらず起こる尿意は、我慢をすると薄れていきます。尿意を正しくコントロールすることで排尿間隔を少しずつ伸ばしていきます。そういったことと合わせて、膀胱神経の緊張をほぐすため内服薬を患者さんの体質に合わせて処方します。重篤な患者さんには神経変調療法を併用し、下腹部に低周波を流すことで骨盤底筋を鍛えたり、膀胱の弛緩を促します。いずれの治療も保険診療で受けていただくことができます。
- Q泌尿器科を専門的に学んだ医師に診てもらうメリットは何ですか?
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A
▲院長は日本泌尿器科学会の泌尿器科専門医資格を持つ
過活動膀胱の症状に隠れて、他の泌尿器系の疾患が潜んでいないかどうかを見落とさず診断できることが挙げられます。同じ検査をしても、どう判断するかは専門の医師でないと難しいケースが多いのです。自宅の近くに泌尿器科がなく遠くまで通うのが大変という場合は、最初は泌尿器科にかかって検査や治療を行い、症状や治療法が安定してきた段階で、お近くの内科等に移っていただく診診連携を行うことも可能です。膀胱がんや尿路結石といった早期発見が望まれる疾患を見逃さないためにも、自覚症状を感じたら泌尿器科にかかるということをお願いしたいと思います。