清水 盛充 院長の独自取材記事
清水眼科医院
(東久留米市/ひばりヶ丘駅)
最終更新日:2024/01/16

西武池袋線・ひばりヶ丘駅からバスで10分、駐車場完備の大型ショッピングモール内にあり車でのアクセスも良好な「清水眼科医院」。ベージュと白を基調にした目に優しい院内で迎えてくれるのは清水盛充(まさみつ)院長だ。大規模病院での経験を生かし、開業後は地域医療におけるディフェンス的な役割を果たしていると自認する。幅広く眼科疾患に対応しながら、手術などが必要なケースは卓越したパスワークでつなげていく。大切にしているのは、患者のつらさに寄り添う診療。そう思うに至るきっかけは何だったのか。時折のぞく関西のやわらかなイントネーションも耳に心地良い清水院長に、たっぷりと語ってもらった。
(取材日2023年12月9日)
薬剤師を経て父を介護しながら眼科の研鑽を積む
先生は薬剤師の資格もお持ちなのですね。

大阪の西成区にあった実家は薬局を営んでいて、後を継ぐつもりで近畿大学の薬学部に進みました。何年か両親を手伝いましたが、循環器内科を開業していた叔父も後継者問題を抱えていて、父を介して私にも声がかかったんです。当時は学士編入できる医学部も少なくて、猛勉強して同大学の医学部に再入学することができました。そうこうしているうちに、諸事情によって継承の話は立ち消えに。それでも4年生くらいまでは循環器内科を考えていましたが、すでに30代に差しかかっていましたし、「より早く一人前になれるのではないか」と、眼科に方向転換することにしました。人生はいろいろですね(笑)。
眼科医師としてのご経歴を教えていただけますか?
近畿大学医学部附属病院、信州大学医学部附属病院を経て、茅ヶ崎徳洲会総合病院に勤務しました。日本眼科学会認定眼科専門医の資格も取得し、「さあ、これからさらに手術の症例を増やしていくぞ」という時に、父が病に倒れてしまったんです。老老介護をする母を助けるためできるだけ帰省するようにしていましたが限界もありました。患者さんはご自身の生活を調整して手術日に備えてくださるわけですから、医師の都合は関係ありません。極端な話、執刀医は親が死んでも平常心で手術をして、その後で人知れず涙を流すような職人であることが求められます。しかし当時は父の入院先からの問い合わせ、今後の治療方針についての話し合いもあり、実際にはそれが難しい状況でして。診療と介護を両立できる仕事先を新たに探すことになりました。総合クリニックドクターランド松戸の眼科部長として働きながら、両親を千葉に呼び、父を近くで看取ることもできました。
東久留米に開業したきっかけは何だったのでしょうか。

実は、内装まで整えて開業に備えていた先生のご都合が悪くなり、私に白羽の矢が立ったんです。急なことでしたが、「ここに眼科ができるのを楽しみにしている患者さんがたくさんいる。がっかりさせるわけにはいかない」と聞き、私で役に立てるならと、お話を受けることにしました。2013年、イオンモールのオープンと同時に開業し、たくさんの方々に支えられここまで続けてこられたのは感謝しかありません。自分で考えた内装ではないとはいえ、スタッフが描いてくれたイラストをあちこちに飾るなどして、私たちなりのカラーが出せているのではないでしょうか。少しでも患者さんが落ち着ける空間になっていれば幸いです。
つらい人に寄り添いながら眼科疾患に幅広く対応
現在はどのような患者さんが多いのでしょうか。

ショッピングモールの中にあるからか親子連れが多いですね。全館バリアフリーでエレベーター完備なので、車いす、カート、ベビーカーでも不自由しませんし、駐車場も広く止めやすいので通院に便利なのではないでしょうか。患者さんの年齢層はお子さんから高齢の方まで幅広く、主訴はさまざまです。花粉症、ものもらい、アレルギー性結膜炎、ドライアイ、眼精疲労などの治療の他、眼鏡やコンタクトレンズの処方、眼科検診なども行っています。特に受けてほしいのが緑内障の検査です。実は緑内障は40歳以上の17人に1人が発症するというデータもある身近な病気ですが、失明リスクを回避するためには早期発見・早期治療、定期的な眼圧検査と視野検査が欠かせません。30代後半になったら眼科での緑内障チェックを習慣にしていただければと思います。
緑内障に関しては特に力を入れていると伺いました。
当院では早期発見、早期治療に力を入れ、手術を得意とする地域の先生方と連携してベストタイミングで紹介するよう心がけています。私も手術経験者として、手術を継続して行うことは環境もさることながら、日々の鍛錬と不断の努力が求められると考えます。すべてを乗り越え、手術の執刀を継続している先生を心から尊敬していますし、全力でサポートしたいと思っています。私はディフェンスとして働き、フォワードで執刀する先生たちが最高のゴールを決められるようなパスを送りたい。なぜならば、地域医療はチーム医療と考えるからです。また、休日診療も一つのチーム医療です。当院は日曜も診療しているので、「いつもは他のクリニックに通っていて」と申し訳なさそうにおっしゃる患者さんもいるのですが、気兼ねせずに利用してください。
診療にあたって大事にしていることを教えてください。

つらい人にできるだけ寄り添うことを大切にしています。昔はまったく違って、点滴も患者さんの痛みは二の次、とにかくしっかりと固定するのを優先していました。特に中高年男性が相手だと、「じっと耐えるのが男だ。情けない」と口にこそ出しませんでしたが容赦なかったですね。でも、自分も入院や手術を経験して心を入れ替えました。誰だって痛いものは痛いですよ(笑)。大病をしたことで自己管理もよりいっそう徹底するようになり、開業してからは新型コロナウイルス感染症などにも感染することもなく診療を続けられています。自分を変えてくれた病気に感謝しています。
医療の前線を後方で支援するディフェンスでありたい
今後の展望についてお聞かせください。

これからも、医療の前線を後方で支えるような役割を担っていきたいです。かつては自分も患者さんを紹介される側で、「なぜもっと早く送ってくれなかったのか」と「まだ送ってくれなくてもいい」の両方の経験をしています。だからこそ、しっかりと検査をして最善のタイミングを正しく見極めることができるよう頑張りたいです。また、目の傷が治りきっていない患者さんにコンタクトレンズを処方してほしいと頼まれても、医師として間違ったことはできません。そして、「念のために」と通院を長引かせたりせず、「また何かあったら来てください」と区切り良くする、そんな診療を今後とも続けていきたいと思っています。
お忙しい毎日ですがリフレッシュできる趣味などはありますか?
趣味は寄付……と言ったら変に思われるかもしれませんが、実際、生活に必要な一定金額以上の収入はすべて募金しています。投資を誘う銀行の営業マンも、逆に私が寄付を勧めるので二度と来ないです(笑)。現在日本では9人に1人の子どもが貧困家庭に育っているといわれています。片や、密猟や乱獲で絶滅の危機にあるアフリカゾウ、地球温暖化で死滅しかけているサンゴ礁も放っておけません。やはり、路上生活者もいる西成地区で育った影響でしょうか。大企業のエリートだったのにバブル崩壊で職を失い家庭も崩壊、西成にたどり着いた人もいました。栄枯盛衰、誰だって明日はどうなるかわからない。余裕がある時こそ自分だけがいい思いをするのではなく、困っている人を助ける、そんな行いが当たり前の世の中になったらいいですね。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

これまでの経験を生かして、「皆さまの目医者」として幅広い医療の提供を心がけています。目について少しでも気になることがあれば気軽に相談できる、家族のかかりつけ医にしていただければうれしいです。でも、時には引っ越しなどで転院しなければいけないこともあるでしょう。そんな時も遠慮せずにお話しください。これまでのデータをすべて新しい先生のところにお渡しして、患者さんがより良い診療を受けられるようにすることも使命だと思っています。特に緑内障による失明などは何としてでも防ぎたいので、どうか遠慮せずになんでもお話しください。