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井上 博道 院長の独自取材記事

乳腺クリニック・道後

(松山市/警察署前駅)

最終更新日:2020/01/15

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「乳腺専門のクリニックがこの地域で必要だと感じ、開業することにしたのです」と話す井上博道院長。九州がんセンターの乳腺科副部長や松山赤十字病院の外科副部長を務め、2013年に「乳腺クリニック・道後」を開業。マンモグラフィとエコーによる乳がん検診や乳腺診療を行い、乳がんが発見された場合、がん診療連携拠点病院に紹介しスムーズに治療へ進めている。一方で患者を松山赤十字病院に入院させ、自ら執刀する開放型共同診療という病診連携も行う。日本乳癌学会乳腺専門医として乳がんの早期発見・早期治療に努める。乳がん患者の多くは40代や50代の育児や家庭、仕事に忙しい年代だ。「だからこそ、患者さんの暮らしや社会的背景を含めたケアが大切」と話す院長に、検診の重要性や患者への想いを聞いた。
(取材日2019年7月3日)

乳がん検診や治療に対する負担を減らしたい

なぜ乳腺専門のクリニックを開業しようと思われたのですか?

Df1

2007年から松山赤十字病院に勤務して乳がん患者さんを診ていたのですが、そのときに、愛媛県で乳腺の専門クリニックが必要とされていることを知りました。それまで、愛媛県の方は「乳がんかもしれない」と何か自覚症状を感じても、直接大きな病院に行くしかなかったんですね。でも、大きな病院は日々たくさんの患者さんが来院されますから、どうしてもお待たせしてしまう。そこで、「乳がんかも……」と不安を抱えてらっしゃる方の受け皿として、検診も診療もできるクリニックを開院しようと思いました。当院は基本的には予約優先としており、できるだけお待たせしないように努めています。また、土曜日も乳腺の診療を行っているところは、愛媛県内でもほとんどないかもしれませんね。

そもそも先生が乳腺をご専門に選んだのはなぜですか?

私は外科医だった父の影響もあって医師の道を志し、医学部に進みました。卒業後は地元福岡に戻って九州大学医学部第二外科(現・消化器・総合外科)教室に入局し、そこで教授から乳腺外科を勧められたんです。教室に消化器外科から乳腺外科に転向した尊敬する先輩がおられたので、その方のもとで学ばせていただきました。乳がんは他のがんと比べて患者の年齢が若く、家庭や仕事などの社会的な背景がまったく違ってくるので、「がん患者と就労」や、がん医療における「心」を専門とする精神腫瘍学、つまりサイコオンコロジーについては随分勉強しました。

患者さんの生活や精神面にも寄り添っていくということですね。

Df2

そうですね。乳がん患者のピークは40代から50代、家事や育児、仕事をしながら治療をする人が多いので、患者さん一人ひとりのライフスタイルにも向き合っていくことが求められます。特に患者さんのメンタルケアについては、まずこちらのメンタルがしっかりしていないと成り立ちません。当院には技師、看護師、助手、医療事務のスタッフがいますが、全員女性。同じ女性として乳がん患者さんに寄り添うために、みんな熱心に勉強してくれています。またアピアランス(外観)ケアについても、抗がん剤で髪が抜けてしまったり、爪がもろくなってしまったりという場合のウィッグや医療用マニキュアなどの情報には常にアンテナをはり、患者さんに提案してくれています。

乳がんの早期発見・早期治療開始に尽力

こちらでの診療内容について教えてください。

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乳がんの検診や診療を中心に行っていますが、授乳期乳腺炎など乳腺のトラブルで来院される方も結構いらっしゃいます。乳がん検診を希望される方には、マンモグラフィと超音波検査(エコー)、診察(視触診)をセットで受けていただくことをお勧めしています。そして診断後は、乳腺外科や腫瘍内科、病理、放射線科の専門医がそろう医療機関へ紹介をし、患者さんに専門的な治療をスピーディーに提供できるよう努めています。外科手術が必要となった場合、当院には手術室や入院設備がありませんので、愛媛県内にあるがん診療連携拠点病院へのご紹介か、松山赤十字病院で私が執刀をする「開放型共同診療」を選んでいただきます。開放型共同診療では、診察から手術、術後の往診、経過観察までを私が責任を持って診させていただています。

乳がんの検査では、マンモグラフィとエコーは両方受けたほうが良いのですか?

乳腺の密度に個人差があるので一概には言えませんが、ほとんどの方は両方受けていただきたいですね。というのも、マンモグラフィとエコーにはそれぞれの役割があり、セットで行うことで高い精度を発揮するんですよ。まずマンモグラフィで全体を見て、気になったところをエコーで詳しく調べていく。マンモグラフィはいわば全体地図。それをせずにエコーをするのは、地図なしで山登りをしているようなものです。マンモグラフィとエコー、視触診をあわせて細かく診ていくことで、ほんの初期の病変も見逃さないようにしています。マンモグラフィは痛いからと敬遠される方も多いですが、極力痛みやストレスに配慮した検査になるよう、当院の技師は腕を磨いていますよ。

患者さんとの印象的なエピソードを教えてください。

Df4

勤務医時代と比べて若い方の受診が増えたのですが、やはり若くして乳がんを発症し亡くなられた患者さんのことは、特に印象に残っています。数年前も20代の患者さんを担当したのですが、まだ小さなお子さんを持つお母さんでした。あまり見ることのないような悪性度が強いタイプの乳がんで、研修医時代からお世話になっている先生にも相談し、チーム一丸となって治療に臨みましたが、残念ながら亡くなってしまいました。やはり無念を感じますね。一方で、早期発見できた患者さんで今でも元気に通院されている患者さんもたくさんいらっしゃいます。私たちは少なくとも10年は乳がん患者さんと向き合っていくスタンスをとっていますから、元気でいてくださることが何よりの励みになります。

乳がん検診を、もっと気軽なものに

先生は乳がん検診の啓発活動にも熱心に取り組んでらっしゃいますね。

Df5

乳がんを早期発見していくためには、まずは乳がんを知ることが一番。だからこそ、啓発活動を継続していくことが大事なんです。私は、乳がん早期発見のための啓発と、乳がん患者と家族のケアやサポートの充実を目的として発足した「NPO法人ハッピーマンマ」の理事として、年に何度も乳がん検診の啓発キャンペーンを行っています。また、子育てや家事、仕事などで平日に病院に行きづらい女性のために、毎年10月の第3日曜日に乳がん検診を実施するJ.M.S(ジャパン・マンモグラフィ・サンデー)の取り組みにも賛同していますので、ぜひこの機会に検診を受けていただけたらと思います。

今後の展望をお聞かせください。

愛媛県は乳がん検診の受診率は低いのに、罹患率は全国的にみて高いという傾向があります。だからマンモグラフィやエコーの検診のレベルを高めていくことが大事。乳腺専門の医師や看護師、技師が情報を共有し、検診の技術を高めていかなければなりません。また、愛媛県の乳腺専門の医師はどうしても松山市に集中していますから、南予や東予において、発見や治療の開始が遅れるという地域格差を埋めていくことに今後は力を注いでいきたいですね。また、クリニックの患者さんだからといって不利益がないように、当院でも第一線の医療機関と同じ治療が提供できるよう、新たな治療法や薬についてもリアルタイムで取り入れていきたいと考えています。

最後に、読者の方へメッセージをお願いします。

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「どんな症状が出たら検診を受けたほうがいいの?」と疑問の方も多いと思いますが、「何でも気になることがあったら、来てくださいね」とお伝えしたいです。検診が大事だとは言いながらも、結局、一番多いのは自己発見。何か気になる、違和感があるという感覚を見過ごさずに、気軽に来ていただきたいのです。特に40歳を迎えたら、1年に1回は検診を受けることをお勧めします。当院ではマンモグラフィで画像をチェックし、気になるところを重点的にエコーで調べ、視触診もした上でその日のうちに結果をご説明するようにしています。そして早期発見・早期治療開始をめざし、患者さんの生活に寄り添う診療に努めていきたいと考えています。

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