福田 康文 院長の独自取材記事
ふくだクリニック
(神戸市北区/道場南口駅)
最終更新日:2021/10/12
のどかな雰囲気が心地良い、神戸電鉄三田線の道場南口駅。こちらの駅前に立つ「ふくだクリニック」は、2013年に院長の福田康文先生により開業。内科・消化器内科・肛門外科・外科を掲げ幅広い診療を行い、近隣住民のかかりつけ医として信頼を集めている。中でも福田院長が得意とするのが、痔を中心とした肛門疾患の治療と内視鏡検査。特に女性の場合、肛門疾患を恥ずかしく思う場合もあることを考慮し、診察や言葉選びなどデリケートに対応することを心がける。その他、力を入れているという在宅診療についてや普段の治療の様子など、福田院長に話を聞いた。
(取材日2019年5月20日)
幅広い年代が住む町で、かかりつけ医として尽力
医師になろうと考えてから、開業するまでのことを教えてください。
医師になることを考え始めたのは中学生くらいの時期です。子どもの頃から生物の本を読んだり、体の仕組みに興味を持ったりしていました。そんな中で祖母が調子を崩すのを目の当たりにした時、改めて医師の存在の大きさを感じました。そして医学部に通うようになったのですが、当初は「救急の医師が格好良いな」なんて思っていました。しかし周囲の人に「いきなり救急をめざすよりも、外科に入り経験を積んだほうが良いよ」と進言され、外科に進むことを決意。勤務医として働くようになってからは、外科の医師として毎日手術を行う日々を送ってきました。その経験を生かして2013年に、ここで開業することになりました。
どうして開業場所をこちらに選んだのですか?
この土地の出身というわけではないのですが、兵庫医科大学篠山病院(現・兵庫医科大学ささやま医療センター)や尚仁会平島病院で勤務していたことがあり、この辺りにはなじみがあったのです。いくつかの病院で勤務医をしてきましたが、ここは環境も良く「もし自分が開業することになったらこの辺りにしよう」と思っていました。この地域は住宅地と自然が織り交ざっていて、昔から住んでいるご年配の方たちをはじめ、住宅街には比較的新しく引っ越してこられた若いご家族など、幅広い年代の方が住んでいます。ですから当院にも子どもさんからご高齢の方まで、さまざまな方が来院されます。
どのような症状で来院される方が多いですか?
やはり肛門疾患や内視鏡検査で来られる方が多いですね。しかし当院は、肛門外科や消化器内科の他に、内科と外科も掲げています。ですから風邪や、糖尿病や高血圧といった慢性疾患、その他ちょっとした外科手術が必要となる患者さんまで、本当に幅広い症状で来院されます。あと本当にたまになのですが小児科疾患や、更年期障害といった当院の専門とは異なる悩みを相談されることも……。もちろんそんな場合は当院では対応ができないため、適切と思われる病院をご紹介させていただいています。
肛門疾患の診療時には、デリケートな対応を心がける
肛門疾患の治療を得意とされているそうですね。
当院は痔の治療を多く手がけています。勤務医として一般外科を担当していた時、痔を患っている人は大学病院など大きな病院ではなく、小さなクリニックのほうが気楽な気持ちで行けて良いのだろうと考えることがしばしばありました。特に女性の場合は、痔の治療に通っていることはあまり知られたくないですよね。そこで開業時にはあえて、クリニックの名称に“肛門”という言葉を入れずに、単なる“ふくだクリニック”という名前にしたのです。診療に関しても言葉選びや接し方など、できる限りデリケートにというのを念頭に置いて行っています。
こちらのクリニックで行っている痔の治療法を教えてください。
当院では内痔核硬化療法という注射での治療が主で、手術が必要となる場合は、他の病院をご紹介させていただくことが多くなります。他の病院をご紹介する際には、自宅の近くが良いのか、日帰り手術をしてくれるところが良いのかなど、患者さんの希望が最大限にかなえられるような病院選びをしています。しかし治療を終えたからといって、以前と同じような生活習慣を送っていては再発してしまう可能性もあります。切れ痔やいぼ痔の主な原因である便秘の解消法や、いきまない排便のし方、洗いすぎや拭きすぎに関する注意事項など、生活習慣を改善するための指導にも力を注いでいます。人に知られるのが恥ずかしくて一人で悩んでいたという方が、「来て良かった」と言ってくれる時はとてもうれしい瞬間です。
内視鏡検査を希望される方も多いそうですね。
消化器内科では、胸焼けや下痢、みぞおちの痛みなどの症状で来られる方が多くいらっしゃいます。胃の内視鏡は、鼻から通す内視鏡を使用していますので、嘔吐反射が出にくいのが最大のメリットです。ストレス性胃潰瘍や緊張による腹痛や下痢など、消化器系の疾患はストレスと非常に深く関係しています。今の時代はインターネットの普及で、病気に関することも簡単に調べることができます。その結果、「自分の胃の痛みはがんではないか」と思い込んでしまい、かなり深刻な表情で来られる方も。内視鏡検査を行って、まったく異常がないことがわかると、今まで悩まされていた痛みが消えてしまうような人もいらっしゃいます。
地域医療に貢献していきたい
在宅診療を始めた経緯について教えてください。
開業当初は今よりももう少し時間に余裕があったため、何かこの地域の役に立てることはないかと考えていたんです。そこでこの地域のケアマネジャーさんに相談したところ、在宅診療を望まれている特別養護老人ホームや一般家庭をご紹介くださいました。在宅診療は半径16キロメートル以内の範囲と決まっているのですが、当院があるのが神戸市北区の外れなので、隣接する西宮市と三田市も訪問エリアになっています。今では訪問診療先も多くなり、お昼休みはばたばたとしていますが、待ってくれている患者さんがいらっしゃるので頑張りがいがあります。
開業されてから、勤務医時代と大きく変わったことはありますか?
患者さん一人ひとりと、顔を向かい合わせてしっかりと話ができるようになったことが勤務医時代との一番の違いです。大学病院ではすでに病名が判明している疾患に対しての手術がメインになるため、患者さんと一緒になって治療を進めていくという役割ではないのです。「患者さんともっとコミュニケーションを取りたい」というのが開業したかった大きな理由でもあるので、今それがかなっているのがうれしいです。患者さんとの会話は、病院に勤めていた時の先輩の先生を見本にしています。その先生はご年配の方たちの話を上手に聞き、その雰囲気からも医師と患者さんの関係性が良好なことが感じ取れました。私もそんな医師をめざしていて、今では他の患者さんをお待たせしていない時は、ついつい話し込んでしまうことも。このように患者さんとのコミュニケーションを大切にし、信頼関係を築いていけることが開業医の醍醐味だと実感しています。
今後の展望について教えてください。
地域医療に貢献したいという気持ちを持って、ここでクリニックを開業しました。その頃から比べても、この地域はお年寄りが増えてきているため、今後はより在宅診療を増やしていければと考えています。一般診療もあるので、自分の時間が少なくなってしまうのですが、そこは頑張るしかないですね。もちろんクリニックでの診療にも力を注いでいきます。ですから気になる症状があった場合は、悩まず相談に来てほしいのです。当院が専門としている疾患でない場合でも、きちんとアドバイスができる“町のかかりつけ医”として、皆さんのお役に立っていきたいと考えています。
自由診療費用の目安
自由診療とは経鼻内視鏡検査(自由診療の場合)/1万6200円(税込)