野崎 真世 院長の独自取材記事
梅北眼科
(大阪市北区/大阪駅)
最終更新日:2024/07/11

大阪・梅田のグランフロント大阪内にある「梅北眼科」。ビジネス街の中心にあり、地域住民や近隣に勤める人たちなど、多くの患者が訪れる。野崎真世院長は北海道大学卒業後、同大学病院や帯広厚生病院などで勤務した後、2017年に生まれ育った大阪へ戻り、院長に就任。特に小児眼科や神経眼科で幅広い眼疾患の治療経験を持つ野崎院長。2人の子どもの母でもある野崎院長は、子どもの診療では子どもの動きに合わせて一緒に動いて診療を行うという。そんな親しみやすさを持つ野崎院長に、これまでの経緯や、現在の診療状況など、じっくりと話を聞いた。
(取材日2018年6月7日)
文系から医学部へ、「匠の技」に衝撃を受け眼科に
院長は長く北海道で勤務されていたそうですね。

私は大阪府池田市出身で、北海道大学医学部への進学を機に北海道に移りました。北海道大学病院、帯広厚生病院、帯広協会病院、KKR札幌医療センターなどで勤務し、小児斜視や弱視、神経眼科、眼形成手術を中心に幅広く、多くの患者さんの手術や診療を担当していました。北海道の冬の朝はまず雪かきから始まるのですが、大阪出身の私は慣れておらずとても大変でした。北海道での生活、子育て、勤務と、負担が重なってきたこともあり、夫の転勤を機に大阪に戻り、2017年にこの眼科の院長に就任しました。
医師の道へ進もうと思ったのはなぜですか。
私はずっと文系で、性格的にも本を読んだり、文章を書いたりすることが好きでした。高校2年の時、病院に行く機会があり、医師の働く姿勢にふれ、やりがいのある仕事だと感銘を受けました。親族に医療関係者がまったくおらず、親も進路について何も言わなかったので、あまり深く考えず、思い切った進路変更もできたんだと思います。入学した北海道大学医学部は、キャンパスが広大で緑にあふれ、観光客や近隣住民、子どもが散歩しているような環境で、そのせいかとてもゆったりした気質の大学なんです。のびのびした校風で過ごせたことも、自分には合っていたように思います。
眼科に進まれたきっかけは?

実はずっと産科を希望していた私は、眼科のことは何も知らないまま、研修でさまざまな科を回る際に初めてその世界にふれました。眼科の手術では、ものすごく細かく精密な手技を行います。1.8ミリの切開を行い、出血させない手術を、拡大された映像で見ました。普段は黙々と顕微鏡をのぞいている先生方が、「匠の技」で手術を行う。でも、手術後は淡々とのんびりした「おじさま」だったりする(笑)。そのギャップに私はとても惹かれました。眼科は目に見える形で結果が出ることも魅力に感じ、すぐに眼科へ進路を変更したんです。
小児眼科に精通、子どもの診療では「一緒に動く」
どのような患者さんが来院されていますか。

結膜炎など一般的な疾患や、コンタクトレンズ、眼鏡の処方のほか、緑内障、白内障、糖尿病網膜症、加齢黄斑変性症などさまざまです。外傷や、眼瞼内反症や睫毛内反症やできもの切除はすぐに対応できますし、網膜裂孔の方などにはレーザー治療も行っています。
緑内障の方が多く来られているそうですね。
当院は比較的、緑内障の患者さんが多く、若い世代も少なくありません。緑内障は、コンタクトレンズの検診時や、なんとなく目がつらい、重いと受診した時などに発覚することもある病気です。この病気は早期発見、早期治療が重要ですが、長い期間をかけ進行する場合もあり、患者さん一人ひとり、症状や状況が異なります。高齢者の方、若い世代など、高額な目薬をずっと投与し続けることや、副作用が負担になる場合もあります。定期的に検査を受け、投薬開始のタイミングを判断するケースもあります。
小児眼科の診療経験が豊富だと伺いました。
小児眼科を専門とする医師は少なく、私も大学病院で偶然、研修医時代から子どもの診療に携わることが多かったことで、今に至ります。泣く子もいますし、座って診療することも難しい。子どもが動けば私も一緒に動く。立ったまま、しゃがんだまま診療することもあります(笑)。子どもは見えないとは言わず、見えないから片目をつむるだけのことも多いんです。目が痛いと言っても、どう痛いかは把握できませんし、ただ不調であることを「痛い」と表現することもありますので、親御さんから思いあたる症状など細かく情報を集めていくんです。
子どものさまざまな症例も診てこられたそうですね。

子どもの緑内障、白内障、悪性腫瘍なども診療してきました。見落とされやすいのが、乳幼児の緑内障です。特徴は、涙がよく出る、目が大きい、黒目の幅が大きいなど「目がぱっちりした子」に多く、家族歴がないケースもよくあります。乳幼児の緑内障は早期手術の必要があり、再手術など一生治療が続きます。放置すると失明の可能性が高いですが、早期に治療できれば、矯正を行い、視力を残せる可能性が期待できます。また、目の悪性腫瘍の場合、眼球を摘出することで抗がん剤投与を避けられるケースもありますが、親御さんが受け入れられず、温存することもあります。子どもの疾患は、ご家族の決断が難しいですし、また、ご自身を責めてしまわれることも多いため、ケアも重要です。
症状がなくても、いつでも眼科検診を受けてほしい
患者さんと接する際に心がけていることはありますか。

患者さんのお人柄をお伺いし、しっかりと説明をすることです。医師である私が、どの程度の説明が必要だと勝手に判断しないよう気をつけています。細かく説明を希望される方には、徹底的に応えてますし、一方で、疾患の説明よりも、今後どういう治療を行うかだけ教えてほしいという方もいます。患者さんに納得いただけると、積極的に治療に取り組んでくださいますので、最初の説明が肝心なんですね。診療においても、むやみに時間をかけるのではなく、ポイントを絞って、必要なところ、怪しいと感じたところは見落とすことがないよう、検査、診療しています。
子どもの目の病気では、親御さんの不安も大きいかと思います。
学校健診などで指摘され、お子さんに眼鏡が必要だと急に言われても、この先も続くものですので、親御さんはできれば避けたいと考えてしまいがちです。子どもに負担が少ない、悪くない結果を求めて、ドクターショッピングをされる方も少なくありません。お子さん、親御さんが納得し、承諾するためにも、同じ検査を行い、結果についてきちんと説明を行います。ご家族の意思は尊重しますが、まず、結果を受け入れていただくことを大事にしています。
今後、取り組んでいきたいことはありますか。
今あること、できていることに満足せず、新しい情報や治療方法を取り入れ、医師とスタッフの間で周知して共有していきたいです。当院内でも、提携している本院である「トメモリ眼科・形成外科」の先生方とも、情報共有を行っています。私自身も、今も大学病院や近隣病院の先生方に、判断に悩む際は相談することもあります。今後も眼科医療の進歩に遅れないよう、危機感を持って研鑽していきたいです。
目のことに不安を持っている方々に、メッセージをお願いします。

梅田という都心部にありますが、地域の方々を中心としたかかりつけ医として、診療を続けていきます。目の状態は刻々と変わりますので、お忙しいお勤めの方にも、少しお時間を作っていただいて、少し気になる程度であっても、症状がなくても、眼科検診を受けに来ていただくなど、当院を上手に利用していただければと思います。また、セカンドオピニオンにも対応しています。眼科疾患は、自分では確認できないこと、自覚症状に乏しいことも少なくありません。健診などで、不安や疑問を抱いた際は、気軽にご相談ください。