友田 岳志 院長の独自取材記事
湘南台 腎泌尿器・漢方クリニック
(藤沢市/湘南台駅)
最終更新日:2025/01/29

湘南台駅西口から徒歩3分の「湘南台 腎泌尿器・漢方クリニック」。その名のとおり、泌尿器科と漢方による診療を専門的に提供しているクリニックだ。院長の友田岳志(ともだ・たけし)先生は、泌尿器科診療で多くの実績を持つ横浜市立大学の出身。臨床で活用した漢方についても専門的に学び、日本東洋医学会漢方専門医でもある。「一人の患者さんの最初の診察から完治までを見届けることが泌尿器科の醍醐味」と語る友田院長は、同院の診療でもさまざまな症状の緩和に西洋医学的治療と漢方を活用している。西洋と中国のハイブリッドな医療で、地域の人々に寄り添う友田院長に、めざす医療の在り方について話を聞いた。
(取材日2024年11月19日)
泌尿器科と漢方内科のハイブリッド
こちらのクリニックの特徴を教えてください。

湘南台エリアは、駅前にさまざまな診療科目のクリニックが集結しており、さながら町そのものが総合病院といった環境なのですが、泌尿器科の医院はなかったんですね。それで、少しでも地域の皆さんのお役に立つことができ、「困ったことがあったらいつでも相談できる地域のホームドクターでありたい」という思いからこのエリアに開業しました。当院の特徴は、泌尿器科の専門的な診療を行っていることがまず一つ。加えて、これはある意味当院ならではと思うのですが、漢方治療も並行して提供しています。泌尿器科において、漢方による専門的な治療を行う医院はまだまだ少ないと思います。
どのような患者さんがいらっしゃいますか?
老若男女問わず、さまざまな患者さんにお越しいただいています。数として多いのは排尿障害にお悩みの高齢の男性で、膀胱炎、頻尿、尿漏れなどでお悩みの男性・女性、おねしょや感染症で来院されるお子さんもある程度いらっしゃいますね。このエリアには小児科もたくさんありますが、特に泌尿器に関するお悩みについては、特別な治療やこまやかなケアが必要になるケースも少なくありませんので、一般的な小児科では対応しきれないこともあると思います。ですので、このエリアだけでなく、遠方から来院されるお子さんもたくさんいらっしゃいます。主にそうしたお子さん向けに、待合室にはコミックを中心に児童書などもたくさんご用意しています。また、若手アーティストの作品を収集するのが趣味なのですが、気に入ったものを展示しています。リラックスして受診いただくのが一番ですから、雰囲気づくりも大事だと思っています。
泌尿器科専門クリニックの強みはどのような点だとお考えですか?

泌尿器科というのはトータルに患者さんを診ることができるんです。泌尿器科の場合は患者さんを診察して診断をつけ、治療を決めます。それが内科的治療や外科的治療でも自分たちで行うという、泌尿器に関わる両方のことができるんですね。手術や処置が必要な場合は、病院をご紹介することになりますが、その後の治療に関してはまたこちらで受け持ちます。最初の診察から治療が完結するところまで患者さんに寄り添うことができるのが強みだと思います。医師にとっては最初の診断が本当に合っていたのか否かを経過を追って確認することができますし、患者さんにとってもずっと同じ医師に担当されるのは安心感にもつながると思っています。
症状を見極め緩和する漢方診療ならではの強みとは
先生は漢方専門医でもいらっしゃるんですね。

泌尿器科の医師で漢方専門の資格を持つ医師は珍しいと思いますが、私の場合、泌尿器科医の先輩が2人、漢方も専門にしていたので、ごく普通に治療に使うものだという意識があったんです。また開業する前に在宅医療を行っていたことも漢方を診療に取り入れる大きなきっかけになりましたね。病院だと採血やエックス線検査などを行って診断をつけますが、在宅では使用できる医療機器が限られています。ですが、そこで漢方を知っていると、脈やおなか、舌を見て、自分の五感を使って診療ができるんです。その経験があって、開業したらぜひとも漢方を併用したいと、漢方専門医の資格を取りました。
東洋医学と西洋医学との大きな違いは何ですか?
漢方には、今出ている症状を取り除くことを「標治(ひょうち)」といい、根本的な体質にアプローチすることを「本治(ほんち)」といいます。例えば、風邪の患者さんがいらしたとして、西洋のお薬はいわゆる総合感冒薬で、原則、症状ごとに使い分けができません。片や漢方薬の場合は「熱が出ている、出ていない」「汗をかく、かかない」「喉が痛い、痛くない」「鼻水が出る、出ない」以外にも、「風邪を引いて何日後なのか」など、その時の状態によって非常に事細かに使う薬が変わっていくんですね。泌尿器の症状は全身との関わりで診ることが重要で、それに対しては「本治」の考え方で、痛みや不快感などの具体的な症状に対しては「標治」の考え方で漢方薬を処方し緩和をめざすところが、東洋医学ならではの特徴であり、優れた点だと思います。
漢方診療を求めて受診される患者さんは多いですか?

非常に多岐にわたる症状に対応できる漢方ですが、中でも花粉症や鼻炎、湿疹、アトピー性皮膚炎、慢性疲労、食欲不振、女性の月経にまつわる不調、更年期障害、風邪、胃の運動障害など、当院ではさまざまな症状に対して漢方薬を処方しています。ですので、ほかのクリニックに行かれて、どうにも痛みが取れないとか調子が戻らない、といった方が当院のことを調べてお見えになるケースもあります。ただ、そのように最初から漢方内科の診療目的で来られる患者さんは全体の2割ぐらいでしょうか。一方、泌尿器科の症状で受診されて、その症状の緩和に漢方薬を一部取り入れている患者さんは全体の半数ぐらいいらっしゃいますね。
話を聞き、全身を診て、患者に寄り添う姿勢
患者さんの主訴にはどのようなものがありますか?

頻尿、前立腺肥大症のほか、泌尿器科の代表的な症状である過活動膀胱も多いです。あとは膀胱炎や尿道炎といった感染症、尿路結石も症状としては少なくありません。当院は地域の病院とも密に連携していますので、診療して手術が必要と判断した場合は、すぐに適切な病院にご紹介します。われわれのような町のクリニックの使命は、手術に至るような患者さんの病気を早期に発見すること。そして病院をご紹介し、手術後にまた治療に来ていただいて治療を完結すること。もちろん、そうした重い病気だけでなく、一般的な良性疾患に関しても適切に診断・治療を行い、患者さんが普段生活していく中で、いかに健康な状況を保つかという点も私たち町のクリニックの大切な仕事です。そのためにも、患者さんをきちんと継続して診ていきたいと考えています。
診療で心がけていらっしゃることは?
患者さんのお話をよく聞くことですね。病気についてはもちろん生活習慣についてもしっかりヒアリングして把握することで、より実践的な運動や食生活の指導が可能になると考えています。泌尿器という局所に現れる現象は、全身に関わってくる問題ですので、患者さんの全身を診るようにもしています。なおかつ当院の場合は、先ほどからお話ししているように、漢方内科の診療も行っています。そのため、非常に幅広い主訴の患者さんがいらっしゃいますが、一つの一つの症状の原因がどこにあるのかは、患者さんのお話をきちんと聞いて診察しないことにはまったく解決の糸口が見えてきません。ですので、診療では常に患者さんに真摯に向き合うということを大切にしています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

医学は日々進歩しています。例えば昔だと治療法がなかったような症状や病気でも、新たな治療法が次々に登場しています。ですので、特にご高齢の方で、「治療できない」と診断された症状であっても、今は解決方法があるかもしれませんから、長い間泌尿器の持病でお悩みの方はぜひ一度、泌尿器科専門のクリニックを受診することをお勧めします。また女性は、排尿や排泄に関する症状は、恥ずかしかったり気後れしたりして、隠しがちですよね。しかしそのために受診が遅れ、症状が悪化して病気が重くなるリスクもあります。当院には女性医師も在籍していますので、少しでも気になったら恥ずかしがらずに早めに来院ください。