山下 素史 院長の独自取材記事
山下歯科医院
(福岡市中央区/天神駅)
最終更新日:2025/05/23

福岡市地下鉄空港線の天神駅の12番出口から徒歩1分。天神エリアという好立地にあるのが「山下歯科医院」だ。院長の山下素史(もとふみ)先生は日本歯周病学会認定の歯周病専門医であり、九州大学歯学部、船越歯科医院を経てアメリカのテキサス大学では歯周病治療の分野で知られるコークラン教授の薫陶を受けた経歴を持つ。「歯周病にかかっても、早いうちに治療し、予防・メンテナンスを続ければ、何歳になっても自分の歯で噛むことがめざせるのです」と力を込める山下院長のもとには、県外からもたくさんの患者が足を運ぶ。開業医向けのセミナーを各地で開催するなど、精力的に活動している山下院長に、治療におけるスタンスや、歯周病治療の前線にいるからこそ伝えたい思いなどを語ってもらった。
(取材日2025年4月15日)
歯周病やインプラントの講演を通し後進の育成にも尽力
先生のご経歴と、クリニックの成り立ちからお聞きします。

祖父が医師であり、また親戚にも医師が多かったことから、子どもの頃から自然と医療の道をめざしていたと記憶しています。中でも父から「器用なのだから、歯科医師をめざすのはどうだろうか?」とアドバイスを受けたことが、歯学部に進むきっかけになりました。本当に良いアドバイスをもらったと感謝しています。祖父も縁があった九州大学を卒業後は、歯周病のエキスパートである船越歯科医院の船越栄次先生のもとで研鑽を積み、アメリカのテキサス大学への留学を経て、2012年にこのクリニックを開業しました。今では九州一円や壱岐・対馬エリア、また関西や関東などの県外から通ってくださる患者さんもいらっしゃいます。また、自分が学んできたことをセミナーや講演を通して次世代の医療者へ伝えていき、より多くの患者さんからのニーズにお応えできるよう、日々努めています。
患者さんが来院されるきっかけはどういったものが多いのでしょう。
当院の特徴の一つに、重症の歯周病のため治療が難しいと判断され、どうにか治療できないかと困って来院する方が多いという点があります。中には20代と若い頃から歯科医院に通っていたものの、50代になり歯周病が悪化し、当院にいらっしゃった頃には骨もかなり溶けてしまっていたという方もおられます。今でこそ歯周病治療という考えは広まっていますが、以前は虫歯の治療のみで終わることも多かったですから、そういった部分で取りこぼしが生じたのかもしれませんね。またセカンドオピニオンとして意見を求める方もいます。歯を失うというのは患者さんにとって、とてもショッキングなことです。そのような方には当院でできる歯周組織再生療法などを提案しています。当院は歯周病治療とインプラント治療を2本の柱としていますが、そういった選択肢を提示できる点は当院の強みといえるでしょう。
治療ではどんなことを心がけていますか?

低侵襲、つまり患者さんの負担が少ない優しい治療を心がけています。歯科の治療方法そのものは以前に比べて大きく変わるものではありませんが、私たち歯科医師を取り巻く機器、そして学問としての歯周病治療は日々進歩しています。船越先生のもとで13年学んだ後は、インプラント歯学における専門家としてテキサス大学でも学びましたが、現在も研究会での発表や、歯周病、歯周病によって失われた歯周組織の再生を図る材料や技術に関する講演も精力的に行っています。ほかにもデジタルマイクロスコープや半導体レーザーといった新しい機器の導入、また企業と連携した機器の開発などにも携わっていますが、5年後になればまた新しい機器、新しい知識が生まれていることでしょう。最終的に治療を行うのは私たち人の手ですが、勉強を欠かさないことが患者さんにより良い医療を提供できるベースづくりになるのではないかと考えます。
患者に寄り添い、ともに長期的な歯周病治療に取り組む
歯周病に悩むご家族がいらっしゃる方からのご相談も多いそうですね。

ええ、最近は親御さんが歯周病で困っているからと、息子さんや娘さんが付き添って来られるケースが増えました。また、お子さんが当院のホームページを見て親御さんを連れて来られるというケースも。今は80代、90代の方もお元気な方が多く、歯周病治療や歯周組織再生療法も行える時代になりました。それだけ体に負担をかけずにできるようになりましたので、インプラント治療も可能です。一度来院していただき、歯周病のチェックをしてもらえれば、今後の道筋を示すこともできます。現在は超高齢社会。以前は高齢者であれば入れ歯というのが普通でしたが、若い頃からの治療、予防・メンテナンスを行えば、いくつになっても自分の歯でしっかり噛むことをめざせるのです。治療が遅れるほど治療の選択肢は狭まりますから、早い段階で一歩踏み出すことはとても大切なんです。
患者さんへの精神的なフォローにも注力されていると伺いました。
初回の来院時は、患者さんの話をとことん聞きます。患者さんの中には、歯を抜かなければならないのかと絶望感に打ちひしがれている方もおられますから、まずは課題をすべてお聞きし、その上で当院ができる治療を提示します。その中で解決に向けた道筋が見つけられれば、患者さんにも希望を持っていただけますから、ここが最初の大事なポイントといえるでしょう。次に、歯周病治療はどうしても半年、1年と時間がかかりますから、気長にやっていきましょうと声をかけ、寄り添う姿勢が大事になります。治療が終わってもメンテナンスなどで、通える限りは一生のお付き合いになります。治療が終わったところが、新たなスタート。治療よりもその後が長いのが、歯科の特徴かもしれませんね。
治療ではどのようなことを行うのでしょうか?

ブラッシング指導はとても大切です。初回から5〜6回はブラッシング指導と歯石取り(スケーリング)を徹底的に行います。これを基本治療と呼びますが、まずは治療の土台をつくっていくためのものなんです。皆さん、虫歯を防ぐための歯磨きはできているのですが、歯周病を防ぐための歯磨きはなかなか身についていません。歯周病は歯と歯茎の間に歯周病菌が入り込むことで発症しますが、その間の部分を磨くのが、実はとても難しい。泥んこ遊びをすると爪の間に土が残ってしまい、手を洗ってもなかなか取れないのと同じようなものだと考えてください。こういった歯周病の知識を身につけてもらい、歯磨きの評価をし、段階を踏みながら治療を進めていきます。本当にじっくりと時間をかけて行うものなので、予約制にしています。
歯の温存をめざしセカンドオピニオンにも注力
東京科学大学の非常勤講師、九州大学の臨床教授にも就任されたそうですね。

東京科学大学では、インプラント科で医局の若い先生方にインプラント治療や歯周組織再生療法の講義を行っています。九州大学の顔面口腔外科でもインプラント治療と歯周組織再生療法の講義を行っていまして、ここ数年はそういった活動にも注力していることもあり、遠方から当院に来られる患者さんもさらに増えました。先進機器を早い時期から臨床に取り入れ、そのデータをもとに正しい知識と技術を後進の育成にも生かしています。技術を未来につなげる。それが日々のモチベーションになっていますね。
スタッフさんの教育に関してはどのようなことを大切にされていますか?
一番大事なのは、患者さんにどう接するかですね。歯石を取って終わり、という感覚では成り立ちません。患者さんに対する話し方、コミュニケーションの取り方、そして患者さんに興味を持つことが肝要です。患者さんのパーソナリティーを把握することも必要で、例えば喫煙などの生活習慣から歯周病が悪化することもありますし、転職などによるストレスから歯茎の状態が変わることもあります。患者さんの小さな変化に寄り添うこと、つまり技術以外の部分が、実はとても難しいですが大事なんですよね。当院では、患者さんとの信頼関係を大切にし、一人ひとりに合わせた継続的な治療を行うようにしています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

歯周組織再生療法も私の専門ですから、知識・技術を駆使すれば歯を残すことがめざせるケースもあります。必ずしも当院を選んでほしいと無理強いすることもありませんが、セカンドオピニオンにも注力しています。時間をかけ、丁寧に説明しますから、まずは気軽にお話を聞かせてほしいと思っています。どうか早い段階でご自身の体に興味を持ち、クリニックに足を運んでいただければうれしいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とは歯周組織再生療法/5万円~20万円、インプラント治療/46万円~