鈴木 薫 院長の独自取材記事
かおる耳鼻咽喉科・アレルギー科
(長久手市/藤が丘駅)
最終更新日:2021/10/12
長久手市池田の落ち着いた住宅街に位置する、近未来のパビリオンのような外観が特徴の「かおる耳鼻咽喉科・アレルギー科」。2013年にオープンしたクリニックは、院内も天井が高く、空間が広々として開放感がある。猫好きで楽しいことが大好きだという鈴木薫院長がめざしたのは、「テーマパークのようなクリニック」。会話が楽しめる多くのロボット、熱帯魚が泳ぐ水槽、大きなデジタル黒板など、子どもたちが喜ぶアイテムがたくさん用意されている。楽しい雰囲気だけでなく、CTやがんの早期発見に有効な狭帯域光観察が可能な内視鏡などの機器も備え、地域の患者に応えている。また、オンラインによる診療も開始するなど新しい技術に敏感な鈴木院長に、ユニークな院内について大いに語ってもらった。
(取材日2016年10月18日)
子どもが喜ぶテーマパークのような楽しいクリニック
ロボットやキャラクターグッズがあふれ、まるでアミューズメントパークのような院内ですね。
ロボットがあふれ、子どもが喜ぶテーマパークのようなクリニックをめざしました。設計の段階から、設計士さんにロボット犬2台やアザラシロボットなどを置くための台の設置をお願いしました。当院のコンセプトは、実はこのロボット犬が院長、副院長なんですよ。受付の下段のカウンターは子どもたちがロボット犬に触れられるように少し低くなっているんですよ。人型ロボットは3代目で、この人型ロボットをはじめ、ほかのロボットもみんな会話を楽しめます。人間でも無駄話ばっかりしている人って結構面白いじゃないですか。そういうのが欲しくてこのロボットを買いました。だから、わざとビジネスモデルではないタイプなんですよ。
待合室の壁画がまた素晴らしいです。
壁画にはストーリーがあります。宇宙ニャンコ大帝クロネコトムちゃん大船長がピンクサブマリンにゃー2号に乗って宇宙へと旅立つ……といった壮大なものです。小惑星イトカワと宇宙探査機はやぶさも描かれていますよ。設計士さんが時には泊まり込んで、半年かけて書き上げてくれました。まだ冷暖房も効いていない段階でしたので、寒くて凍えそうになりながら、です。壁画も、どうしてもやりたかったことの一つでした。建てる前から、こんなこともやりたい、あんなこともやりたいとイメージが走り過ぎていて。設計士さんには「ロボットが多すぎて、全部乗る台はできません」とか、さまざまな部分で無理だと言われましたが、押し切って、期待通りの施設になりました。
受付のすぐ横にプラネタリウムのお部屋もあるのですね。
当初、設計士さんは1個だと思っていたんですが、壁が4面あるので、それに一つずつと、あとは真ん中に映せるよう、僕は6個のプラネタリウムを入れたいと考えていました。これも無理です、と最初に言われましたが、何とか実現してもらいました。ただ、暗いと怖わがってしまうお子さんもいるので、今はテレビモニターを置いて、小さな子どもたちが遊ぶ部屋になっています。水槽も、水槽の業者には無理だと言われたんですが、ピンクの子ども水槽と、もう一つ大きな水槽、人工クラゲの水槽を作ってもらって。子ども水槽は、生きているサンゴで出来ているんですよ。エントランスの絵はイラストレーターの方に、うちで飼っている猫2匹を描いてもらいました。絵を置くところは、もうここしかなくて。普通は飾る、クリニックの称号も「表に看板があれば大丈夫」と置いていないんですが、それも設計士さんに驚かれましたね。
CTなど先進の機器を導入。画像でわかりやすい説明を
子どもたちの反応はいかがですか?
すごく喜んでくれていますね。自分から行きたいと言ってくれたり、帰りたくないという子どももいるくらいです。やっぱり、子どもが怖がらず、楽しく通えるような所がいいですよね。子どもたちとも楽しく会話することを心がけています。時々、ねこの新聞を出していますので、それを見せたりして。子どもたちの間では、うちは「ねこちゃんの病院」「ねこ病院」と言われています。スタッフにも特に何も声かけしていませんが、なにせ「ねこちゃんの病院」なので、自然と親しみやすい楽しい雰囲気になっていますね。患者さんは子育て世帯が多いとは思っていましたが、開院してみて、ここまで増えるとは思っていませんでした。この辺りはどんどん開発が進んでいて新しい住宅が多く、3つ合わせて1000戸あるマンションもあるんですよ。長久手市は日本全国でも住みやすい町として、上位に挙げられているそうですからね。
CTや耳鼻咽喉科用の狭帯域光観察内視鏡などの検査機器も備えていらっしゃいますね。
「頭が痛い」と訴えてくるお子さんが意外に多いんです。お子さんの頭痛は、副鼻腔炎から来ることが多いので、それはCTだと非常にわかりやすい。レントゲンでもわかることはわかるんですが、頭痛となるとやはりCTで奥のほうの副鼻腔炎もはっきりわかったほうが診察に役立ちますからね。座って撮影できるCTなので、小さなお子さんでも安心して撮影できます。しかも、撮影から現像まで1分ほどとスムーズに行えます。狭帯域光観察が可能な内視鏡は、耳鼻咽喉科領域のがん診断などの早期発見での有用性が大きく期待されている新しい観察技術です。
診察室にモニターがたくさんあることに驚きました。
これだけのモニターがあるクリニックは他にはあまりないと思います。CTの画像、耳の画像、喉の画像、口頭ファイバーの画像、説明するときの資料、電子カルテ……と、これだけの画像を一緒に見せたいと思ったら、やはり数が増えてしまうんです。モニターを切り替えるのではなく、全部一緒に見せたほうが、患者さんはわかりやすいので。自分の耳や鼻の中を初めて見た、という方も結構いらっしゃいます。画像を見ながら会話しますので、患者さんからの質問も増えますね。画像を使ったわかりやすい説明と、患者さんと双方向でコミュニケーションをとることは常に意識しています。
薬の処方もできるオンライン診療を開始
どのような症状の患者さんが多いですか?
中耳炎や副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎が多いです。副鼻腔炎はなかなか自分では気づきにくいですが。中耳炎については、鼻水が続いている時は、ほぼ中耳炎になっていると思ったほうがいい。副鼻腔炎と中耳炎が併発していることもほぼ間違いないので、鼻水が続く場合は耳鼻科に来たほうがいいと思います。耳の中を見ないとわからないので、小児科や内科では気づけないこともありますから。耳あかの定期除去に来られる患者さんも多いですよ。一般的には耳あかは、奥に入ってしまうだけなので、お母さんが取らないほうがいいんです。
待ち時間が気になる患者さんも多いと思いますが、待ち時間についてはいかがですか?
予約システムを導入していますので、それほど待ち時間は多いというわけではなく、非常にうまく回っています。あと、オンラインによる診療も導入しました。これはソフトをスマートフォンにダウンロードすれば、スマートフォンを通じて診察して、簡単な薬の処方もできるというものです。そのための専用ホームページも立ち上げました。スマートフォンでの診療は、時代の流れからすると、数年後にはごく一般的になっているはずですから、今のうちに慣れておこうと思っています。患者さんにとっても、大雨台風やクリニックにどうしても行けない時に、スマートフォンで薬を処方してもらえたら便利だと思うんですよ。
最後に読者に向けてメッセージをお願いします。
当院は、なぜか患者さんがみんな猫のTシャツを着ています(笑)。患者さんから猫の話などをしてくれて、なごませてもらったりもしています。診察室の壁面にある60インチのモニターはデジタル黒板にもなり、一緒に来院した兄弟や姉妹はそこでお絵描きしていますので、連れてきてもらっても大丈夫です。ご家族みんなで楽しく行ける雰囲気を大事にしていますので、気軽に来ていただけたらと思います。