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下村 裕章 院長の独自取材記事

しもむら内科クリニック

(高槻市/高槻市駅)

最終更新日:2020/04/01

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高槻市駅からバスで7分。藤の里停留所のすぐ前に「しもむら内科クリニック」はある。下村裕章院長はクリニックで毎日診察を行いながら、母校である大阪医科大学附属病院でも診療。週末は漢方セミナーや勉強会にと奔走している。西洋医学では治せない患者の力になりたい、と試行錯誤していたときに、漢方薬と出会ったことをきっかけに漢方医学の随証治療を独学した。また生活習慣病の患者も多く通う同クリニック。食事療法や投薬で病気の進行を食い止めることにも尽力している。漢方と西洋医学の両方の良さを取り入れ、それらをハイブリッドさせた治療で、患者にとってのメリットを追求する院長。恩師の言葉だという座右の銘から漢方を取り入れた診療方針まで、じっくりと話を聞いた。
(取材日2018年11月19日)

西洋医学と漢方治療の良い面を生かす治療に尽力

明るく広く、とても居心地の良いクリニックですね。

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当院は2012年10月に開業しました。もともと、違う診療科目のクリニックがありましたので、この場所を継承させていただく時に、内科として診療しやすいよう、ほぼすべての設備を改装しました。壁紙は当院のテーマカラーである落ち着いたオレンジ色にして、患者さんがゆっくりと診察を待てるように待合室を広げました。待合室と診察室に飾ってある絵画は、オレンジの壁に合わせて購入したものです。トイレは車いすでも使用できるよう、バリアフリーに直しました。おかげさまで、お子さんから、その親御さん、高齢者の方まで、幅広い年齢層の方に通院していただいております。

特徴を教えてください。

風邪などの一般的な内科の症状の方から、高血圧や糖尿病などの生活習慣病、めまいや痛み、しびれなどの不定愁訴を訴える方まで、さまざまな患者さんが来院されます。生活習慣病の患者さんには、さまざまな機器を導入して、院内採血や院内検査を行い受診当日に結果をお知らせできるようにしています。不定愁訴を訴えられる患者さんには、時間をかけて問診を行い、患者さんに現れた症状や兆候、つまり「証」に従って治療を行う「随証治療」で漢方薬を処方します。血圧のコントロールなど生活習慣病には、明らかに西洋医学のほうが合っていますが、患者さんが困っておられる症状の改善には漢方薬の方が適していることが多いです。両方をうまく使い分けることで、良い医療が提供できると考えています。

では、漢方に出会われるまでの経緯をお聞かせください。

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大阪医科大学を卒業後、最初は同附属病院の循環器内科に入局しました。臨床実習で循環器内科へ行った時に、心臓カテーテル検査中に心臓が止まってしまった患者さんを、担当の先生方が素晴らしい対応で救う瞬間を目の当たりにしたんです。とても感動的で、自分もここで活躍したいと思いました。 その後、アメリカの大学に留学して病理学を研究しました。その時、患者さんに「先生の専門は何ですか?」と質問されて答えに窮してしまったのです。病理学だとお答えしても、患者さんには何のことかわかりません。「心臓カテーテル検査」とか「超音波検査」とか言えるものが、自分にはないことに気づきました。ちょうど、日本内科学会の総合内科専門医の資格を取るための勉強を始めた頃だったので、そのまま総合内科を専門にしようと決めました。そこで西洋医学では治せない患者さんに多く出会い、治療手段を広げるために漢方を勉強し始めました。

最後の手段だった漢方が現状打破のきっかけに

漢方薬治療の効果を感じられたきっかけは何かあったのですか?

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実は昔の私は、漢方薬を信じていませんでした(笑)。それが、総合診療内科に移ったばかりの頃のことです。昼食にカキフライ定食を食べた数時間後、両上肢に赤い斑点が現れました。「牡蠣にあたったな」と思い、薬を飲みましたが治まりません。病院に出勤すればじんましんが悪化し、帰宅すると治まるという生活が3ヵ月も続いて、最後の手段に漢方薬でも飲んでみようと試したところ、これが合っていたんですね。私の漢方に対する考え方は、ここで180度変わりました。これまでなすすべがなく、「様子をみましょう」と言ってきた患者さんにも、漢方で良い医療が提供できるかもしれない、と猛勉強しました。

漢方処方で印象的だった診療はありますか?

大阪医科大学病院の総合診療科で診ためまい症状の患者さんです。脳梗塞の病歴があり、神経内科にかかっていたのですが良くならず、総合診療科へ紹介されてきました。その患者さんは、診察の間中ずっとイライラされていて、付き添いの奥さんに当たっていたんです。そこで、冷えや痛みの症状も含め、イライラが静まるように考えて漢方を処方しました。するとある時、「おかげさまで、私の人生が変わりました」と感謝の言葉をいただいたのです。その方は自分がイライラしていたことに気づいていなかったんですね。大病をされた患者さんですから無理もありません。漢方薬は、人の人生を振り返らせることもできるのかと感動した出来事でした。

生活習慣病の予防や治療にも注力なさっているそうですね。

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生活習慣病の患者さんは、健康診断で血圧や糖尿病の恐れで数値的に引っかかって来られることが多く、ここで初めて病気と接することになります。最初の印象が肝心なので、病気の認識をもっていただくために時間をかけて説明します。発症してしまっていれば、今どういう病態なのか、今後どうなっていく可能性が考えられるのかを伝え、投薬で経過を見ていきます。薬が必要なほどでなければ、いかに注意が必要か理解していただくために放っておくと脳梗塞や心筋梗塞が起こる可能性を示し自覚を促します。その上で、定期的に通院してもらい数値を追っていきます。ただ自覚症状がない患者さんは、忙しさや「自分だけは悪くならない」といった認識で、通院がおろそかになりがちです。何の前触れもなく突然病気を発症しますので、リスク認識をしていただくために動脈硬化の写真を見せたり、寝たきりになる可能性があることを、伝えることもあります。

常に患者にとって有益な治療を追求し続ける

先生が患者さんに対して、心がけていることを教えてください。

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大学時代の恩師の言葉を、座右の銘にしています。“If this patient is your mother? ”この患者さんがもしあなたのお母さんだったら、どう治療していくのか?という問いかけです。若い頃からずっと大事にしてきましたし、今も毎日、「この患者さんに最も有益な治療はなんだろう」と考えながら、診療にあたっています。患者さんのお話をよく聞き、ときには相談に乗り、お願いすることもあります。「いつもの薬を出しておきます」と、3分診療にならないように努め、すべての患者さんには良い表情で帰っていただきたい、というのが私の考え方です。安心していただきたいという思いから診察時間が伸びてしまい、お待たせすることもあり、申し訳なく思っています。非常にありがたいことに「待ってもいいから下村先生に診てほしい」とお言葉をいただくこともありますが、患者さんに負担をかけないよう工夫しています。

研修医の方や医療関係者向けの、漢方セミナーもされているそうですね。

患者さんの困っている症状をうまくくみ取るのが、漢方の醍醐味でもあります。そういうことを伝えたくて、セミナーや医療関係者向けの講演を全国で行っています。学生や研修医向けセミナーでは、毎回、自分でスライドを用意します。毎回、自分なりにビジュアルを工夫するのも、大変ですが楽しい時間ですよ。 漢方医学啓発のための講演会も、総合診療科へ出向いての診察にも、大きなやりがいを感じています。すべては、神様から与えていただいたチャンスと捉えて、今のバランスで続けていこうと思っています。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

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生活習慣病は、ごく初期に早く治療を始めれば治癒することも可能です。健康診断の数値で気になるところがあれば、ぜひ受診してほしいですね。まずは減塩を心がけた食事療法で、必要があれば投薬。自分の将来を考えてもらえるように説明します。生活習慣病に限らず一般的な諸症状についても、すぐに確定診断できなくても、このような病気の可能性がある、ということを示します。どういう間隔で通院し、どんな症状が出れば早急に受診が必要か、など理解していただきます。私自身がベストだと思う医療を長く続け、来院されるすべての患者さんが少しでも良くなるように、日々、努力を重ねていきたいと思っています。

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