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土屋 良記 院長の独自取材記事

あおぞらクリニック

(西尾市/桜町前駅)

最終更新日:2021/10/12

土屋良記院長 あおぞらクリニック main

西尾市の志籠谷町にある「あおぞらクリニック」。県道479号線から見える青空にかかる虹が描かれた看板が目印だ。内科、呼吸器内科、アレルギー科を診療するのは、院長の土屋良記先生。20年近く西尾市民病院の呼吸器内科で診療に携わってきたベテラン医師だ。子どもの頃に患った小児喘息がきっかけで呼吸器内科の医師をめざし、重度の肺炎患者を担当した研修医時代の経験がその後の医療へのモチベーションになったと振り返る土屋先生。電子カルテが主流となった今も紙のカルテにこだわり、患者と面と向かって話をすることを重視しているという。自身は「古い診療スタイル」と言うが、それは患者が伝えたいことに耳を傾けようとする姿勢からだ。土屋先生に勤務医時代の経験談や専門の呼吸器疾患の話などを聞いた。

(取材日2020年2月5日)

子どもの頃に患った小児喘息がきっかけで医師をめざす

まずは、医師としての出発地点についてお伺いします。どんなきっかけで医師になられたのですか?

土屋良記院長 あおぞらクリニック1

私は、幼稚園の頃から小児喘息でつらい思いをしました。年に2~3回発作が起きてその都度入院するような状態で、かなり重症でした。当時、夏場には蚊帳を使っていたのですが、それがハウスダストのアレルゲンとなって喘息を引き起こしたのだと思います。時代とともに蚊帳も使わなくなり、私が中学生の頃には症状は出なくなりました。小児喘息は思春期になると改善していくことがほとんどですからね。病気の苦しみから救ってくれたお医者さんという職業は、子どもだった私の心に深く印象づけられ、自分も喘息を治す医者になりたいと思いました。

子どもの頃からの意思を貫いたのですね。医師となってうれしかったことはありますか?

呼吸器内科で研修をしていた頃、重症の急性肺炎の患者さんを受け持ちました。普通の肺炎であれば点滴をして1週間ぐらいで退院できるのですが、重症の場合は自分で呼吸ができないので人工呼吸器が必要になります。現在の医療なら、集中治療室でチーム医療を行うのですが、私が研修医の頃はそういった概念がなかったので、主治医が一人で診ていました。もちろん研修医ですから先輩医師の指導を受けながらですが、私が主となって治療しなければならないので、文献を読んだりして自分なりに誠心誠意尽くしました。患者さんの入院期間は3週間ぐらいでしたね。最初から最後まで一人で診ることができたというのは、若い頃の私にとって大きなモチベーションとなりました。これからも呼吸器内科で頑張ってやっていこうという気持ちにさせてくれた経験です。

その後も呼吸器内科で経験を積まれたのですね。

土屋良記院長 あおぞらクリニック2

初志貫徹で、迷いなく呼吸器内科の医師としてあちこちの病院で経験を積みました。常滑市民病院から社会保険中京病院、名古屋大学医学部附属病院、国立病院機構名古屋医療センターなどの呼吸器内科を経て1994年に西尾市民病院勤務となり、18年間勤務しました。西尾市民病院では、私は呼吸器内科の初期のメンバーでしたので、中心となって患者さんを診ていました。主に肺がんや急性期の肺炎、肺気腫などの病気です。日本呼吸器内視鏡学会の気管支鏡専門医でもあるので、呼吸器の内視鏡も扱っていました。当院では気管支の内視鏡は扱っていませんが、内視鏡検査が必要となった患者さんを病院に紹介する場合も、適切な説明をすることを意識し、患者さんが安心して紹介先で検査を受けていただけるようにしています。

患者との対話を重視して紙カルテにこだわり続ける

西尾市民病院に長く勤めておられたことから西尾市に開業したのですか?

土屋良記院長 あおぞらクリニック3

そうですね。この地域に愛着がありましたし、西尾市民病院で受け持っていた患者さんも気軽に通える地域のクリニックを必要としていたので、8年前に西尾市に開業しました。勤務医の頃、私の実家は名古屋市の北区にあったので最初の数年ぐらいは車通勤をしていましたが、通勤時間のことを考えて西尾市に引っ越しをしました。私も西尾市民となり、地域医療に根差したいという思いがますます強くなったのです。

西尾市民病院で診られていた呼吸器疾患の患者さんも多いとのことですが、患者さんの層を教えてください。

土屋良記院長 あおぞらクリニック4

症状としては、喘息や長引く咳など呼吸器疾患の方が半分を占めています。年齢層は60代以上の高齢の方が多く、その方々の主な疾患としては、慢性的な呼吸器疾患や高血圧、糖尿病、高脂血症などです。生活習慣病の患者さんは近隣の方が多いですが、私の専門の呼吸器内科では、岡崎市や安城市、幸田町、蒲郡市など遠方からも来られています。慢性的な疾患の方も多いので、通ってくださる患者さんのかかりつけ医として健康管理や生活習慣病予防のアドバイスなどもさせていただいています。

診察の時にはどんなことを心がけていますか?

患者さんとは、できるだけ面と向かって話をするということを心がけています。患者さんの訴えを漏らさず聞きたいという思いがあります。開業当時、効率のよい電子カルテを導入しようか迷ったのですが、私は患者さんとの対話に時間をかけたかったので、紙のカルテを選択しました。電子カルテにすると、診察中もモニター画面を見ることが多くなりますよね。それでは患者さんの目を見てじっくりと話を聞くことができません。考え方が古いのかもしれませんが、開業以来8年間続け、この診察スタイルで正解だったなと思っています。キーボードを見ながら入力しているのではなく、しっかりと患者さんと対面することで、患者さんも思ったことを話しやすいと言ってくださいます。そして、つらい症状をなるべく早く取ってさしあげたいと思っています。

専門知識を生かして地域のニーズに応えた医療をする

アレルギー科の診療についても教えてください。

土屋良記院長 あおぞらクリニック5

アレルギーの病気としては、喘息、花粉症、鼻炎、皮膚のアトピーやじんましんなどがあります。アレルギーの血液検査をして陽性であれば、それに沿った治療薬で治療していきます。蕁麻疹やアトピー性皮膚炎は、軽度であれば当院でも診ていますが、じんましんがひどいなど重度の場合は専門の医師に紹介するようにしています。小児の食物アレルギーは専門性が要求されますので、きちんと専門の先生に診てもらったほうが良いと判断しています。花粉症に関しては、抗アレルギー剤の服用と鼻への噴霧剤を中心に行いますが、根本的な治療を望む方には舌下免疫療法も行っています。専門が呼吸器ですから、当院では慢性的な喘息の患者さんは多いですが、中には若い方で咳喘息の患者さんもいらっしゃいます。

長引く咳も喘息なのですか?

咳が出始めてから2~3週間までの咳は主に感染症で、ほとんどは風邪のウィルスによる咳です。通常は抗生剤や鎮咳剤で少しずつ改善させていきます。1ヵ月以上の熱のない長引く咳は、アレルギーによる咳喘息が考えられます。咳喘息は若い方に多く、放っておくと夜間の咳発作によって睡眠障害が発生することも。咳喘息の場合は数ヵ月ぐらいで治りますが、そこから慢性的な喘息に移行することもありますので、早めに治療することが大事です。気管支喘息になると気管支炎症を抑えるための定期的な吸入剤使用が必要になります。高齢者の長引く咳の場合は、肺がん、肺気腫、慢性気管支炎が考えられます。いずれにしても、これまでの経験から長引く咳が感染症なのか喘息なのかをきちんと見極めるようにしていますので、診断から治療管理には自信を持っています。

最後に、読者へのメッセージと今後の展望をお願いします。

土屋良記院長 あおぞらクリニック6

私の専門は呼吸器ですので、呼吸器疾患に対してこれまでの経験から的確なアドバイスができると思います。胸部レントゲンや検痰、肺機能検査、アレルゲンの血液検査など簡単な検査で診断を行っていきますので、咳が長引くとか呼吸が苦しい、慢性的に痰が出るなどの症状があれば、ぜひ相談してください。今後も専門知識を生かしつつ地域医療のニーズに応える医療を行っていきたいと思っています。

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