子どものアレルギー疾患には
早期の受診と適切な治療が必要
にしかわこどもクリニック
(大阪市平野区/平野駅)
最終更新日:2025/04/24


- 保険診療
厚生労働省の調査によると、現在、国民の2分の1が何らかのアレルギー疾患を持っているとされている。発症年齢が少しずつ低年齢化しており、子どもがアレルギーではないかと不安に感じている人も多いだろう。子どもの場合、乳幼児期のアトピー性皮膚炎を発端にして、食物アレルギー、気管支喘息、アレルギー性鼻炎と次々にアレルギー疾患が続く「アレルギーマーチ」の状態に陥ることもあり、できるだけ初期に対処することが大切だ。どのような症状に気づいたら受診すべきなのか、どのような検査が必要なのかなど、子どもを持つ保護者として知っておきたい知識について、アレルギー疾患の治療に力を入れている「にしかわこどもクリニック」の西川嘉英(にしかわ・よしひで)院長に聞いた。
(取材日2025年3月11日)
目次
アレルギー疾患を専門とする医師と看護師が緊密に連携し、子どもと家族をサポート
- Qどのような症状に気づいたら受診すべきですか?
-
A
▲受診の目安について説明している西川院長
一口にアレルギーといっても、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、気管支喘息や季節性の花粉症などさまざまな疾患があります。食物アレルギーの場合、かつては、卵、牛乳、小麦が主な原因食物でしたが、最近はナッツ類のアレルギーが増えています。これらを食べた際にじんましんや赤い発疹が見られる場合は要注意です。できるだけ早めに受診してください。ひどくなると嘔吐、下痢といった消化器の症状、喉のイガイガ感や咳を伴い、さらに呼吸困難を起こすなどして入院が必要なアナフィラキシーといわれる状態になるリスクもあります。一方喘息の場合、息をする際にヒューヒュー、ゼーゼーという音がする喘鳴に気づいたらすぐに受診しましょう。
- Qどのような検査を行うのですか?
-
A
▲患者の負担に配慮しつつ、必要性を判断しながら検査を実施
アレルギーの検査には、血液検査や肺機能検査、肌にアレルギーの原因物質を少量つけて反応を見るプリックテストなどがあります。ただし、血液検査などはお子さんの負担になることもあり、疑わしい症状があって受診された方に必ず検査をするわけではありません。まずは、いつから、どのような症状が見られるのか、何かきっかけとなるものがあるかなど問診を行い、検査の必要性を判断します。例えば、喘息のお子さんの場合、血液検査を行うことでハウスダストなどに対するアレルギーの有無は確認できます。しかし、それが喘息の原因ではないことも多く、肺機能検査や診察の結果を踏まえて、必要な場合にのみ血液検査を行います。
- Qこちらには、アレルギー疾患に強い看護師さんがいるそうですね。
-
A
▲高い専門性を持った看護師たちと密な連携を行っている
当院には小児アレルギーについて専門性を持つ看護師が3人在籍しています。また、他の看護師もアレルギー疾患や治療に関する専門知識を備え、それを生かして患者さんやご家族に適切なアドバイスを行うことができます。検査の判断や指示は私が行いますが、当院の場合、実際に検査を行うのは看護師です。お子さんや保護者に、塗り薬や吸入薬の使い方などを指導し、生活上のアドバイスを行うのも看護師です。毎回の定期診療が終わった後には、看護師が時間をかけて患者さんとご家族に丁寧にレクチャーや説明を行ってくれていて、心強い存在です。
- Q子どもに薬を使うことに、抵抗を感じる保護者もいると思います。
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A
▲専門家である医師と看護師がしっかりと患者をサポートしている
とりわけステロイドについては、お子さんに使用することに強い拒否感を持つ方もいらっしゃいますね。しかし、医師は問診や聴診、さらに各種検査の結果などを踏まえて、必要と考えられるお薬を処方します。症状の変化に合わせて、必要な薬の種類や量も変えていきます。お子さんの場合は、それほど強い薬を処方するわけではなく、一定期間にわたって使用する場合は、副作用がないか検査をしながら処方しています。このため、無闇に心配せずに必要な量をしっかり使っていただきたいですね。副作用が心配だからと自己判断でお薬をやめたり、量を減したりすると症状が長引いてしまい、結果的にいつまでも強いお薬がやめられなくなるリスクもあります。
- Qアレルギーがあると生活上の制限が多いのでは?
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A
▲アレルギーと上手に付き合っていくことが重要となる
アレルギーにはさまざまな要因が絡み合っているので、これをストップすればリスクが下げられるということは残念ながらありません。例えば、食物アレルギーだからと特定の食べ物を完全除去するのは難しく、お子さんの成長にも悪影響が及ぶ恐れがあります。かつては血液検査の結果により、完全にその食物を排除するように指導されましたが、現在では、必要最低限の除去を行うのが基本です。少量を食べてみる食物負荷試験も行います。ハウスダストについても、常に家中をきれいな状態に維持するのは相当な困難です。むしろ、きちんと治療を受けながら、日常生活に支障を来さない範囲で対策を行い、上手に付き合っていくことが大切です。