小児の歯科治療と歯内療法
セルフケアの重要性
浅野歯科医院
(豊中市/緑地公園駅)
最終更新日:2021/10/12
- 保険診療
歯科医院に恐怖心を持っている人は少なくないだろう。大人でもそうなのだから、子どもならなおさらだ。しかし、「浅野歯科医院」では、近所の子どもたちが用もないのに立ち寄り、笑顔でおしゃべりをして帰っていくという。彼らに、歯科医院への恐怖心はない。院長である浅野雅司先生を慕ってやってくるのだ。浅野院長は、もとは歯周病や根管治療を専門にしていたが、今は、小児の歯科治療にも力を注いでいる。なぜ同院に通院する子どもたちは、歯科医院を怖がらず笑顔で遊びに来るのか。そして浅野院長がもともと専門にしていた歯内療法とはどういった治療なのか。浅野院長に詳しく聞いた。
(取材日2018年1月16日)
目次
すべての治療は、患者と歯科医師の信頼関係の上に成り立っている
- Q小児の診療をする上で、心がけていることなどを教えてください。
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A
一度でも恐怖を感じると、それがトラウマになって歯科医院へ行くのが嫌になってしまう、という子は多いです。だから小さい子の治療では「怖がらせない」ということが一番重要です。例えば、親御さんの治療に子どもさんも連れてきてもらって、歯科医院の雰囲気に慣れさせてあげたり、子どもさんご本人の治療でも、緊急性がなければ応急処置だけして、後は「器具を口内に入れるだけ」「歯磨きの練習をするだけ」など、慣れることから始めます。ずっと泣いていて、最後にハイタッチだけして帰る子もいますよ(笑)。それでいいんです。時間がかかっても、最初にしっかり人間関係をつくっておくほうが、その後の治療はスムーズです。
- Q小児に多い症状、来院のタイミング、親が注意すべきポイントは?
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A
最近、気になる症状は、過剰歯や先天欠如など、歯数に問題のある症状ですね。この辺りは地域柄か、子どもの虫歯は少なく、あってもごく小さいものです。歯ぎしりや歯並びの問題で来院する子もいます。来院するタイミングとしては、歯が生えてきたら、いつでも来てもらって大丈夫です。たとえ虫歯がなくても、指しゃぶりや舌を出してしまう、小児の歯磨きのやり方がよくわからないなど、なんでもご相談に乗っていますよ。子どもさんの歯を見てあげる時の注意点は、歯だけでなく、頬や上顎に傷や火傷があることなどもあるので、その点はよく見てあげてください。また、下の歯は舌が邪魔してうまく磨けていないことが多いので注意が必要です。
- Q子どもの歯を守るために、家庭・歯科医院で行うべきことは?
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A
ご家庭では、やはり歯磨きを徹底していただきたいと思います。当院では家庭用の歯垢染め出し液なども取り扱っていますので、そうしたアイテムを使って、きちんと歯を磨けているかどうかチェックしてあげることも大切です。おやつも、ダラダラと食べ続けるのではなく、決まった時間に食べて、あとはきちんと歯を磨き、口腔内をできるだけ清潔に保つほうが良いでしょう。歯科医院では、ご家庭でできない歯石の除去や、レントゲンを使用して今後の歯並びの注意点をチェックするといったことを行います。また、歯の溝が深い子は虫歯になりやすいので、シーラントを塗るなどして溝を埋めてあげることで、虫歯の予防なども行います。
- Q歯内療法とはどのような治療法ですか?
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A
歯内療法とは、歯の中で炎症を起こした神経や、細菌感染で溜まった膿などを除去する治療です。いわば、歯の中のお掃除ですね。治療に必要な期間は、人によってかなり異なります。神経を取るだけなら1~2回の治療で済む人もいますし、細菌感染などを起こしていると時間がかかることも。虫歯や歯周病で歯科医院に来院する方は、痛みに苦しんでいることが多いです。私が歯内療法を専門にしたきっかけは、歯科医師として患者さんの痛みを取るということに重きを置いていたからです。
- Q歯を残すために心がけていることは何ですか?
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A
歯科医師の役目は、できる限り良い状態が続く治療、再発しにくい治療を、患者さんにご提案することです。例えば、患者さんが白いかぶせ物を希望したとしても、場所によっては金属のほうが良いことなどもあります。それぞれの選択肢のメリット・デメリットをしっかりご説明し、長持ちする治療を選択していただくということを心がけています。そして、その良い状態を維持するために不可欠なのが、患者さんご自身のセルフケアです。どんなに良い治療も、それを維持するための努力がなければ、長持ちしません。歯磨きや定期検診の重要性についても、しっかりとお伝えするようにしています。
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マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。