倉津 卓男 院長の独自取材記事
ふたば歯科医院
(鹿児島市/工学部前駅)
最終更新日:2025/02/25

鹿児島市電・工学部前電停から徒歩約5分の場所で、地域に根差した診療を提供している「ふたば歯科医院」。診療スペースがパーティションで区切られ、他の患者を気にせずに治療を受けられるよう工夫されている。穏やかな口調が印象的な倉津卓男(たかお)院長によると、クリニックが少ない地域の歯科医療に貢献したいという思いから、現在の場所で開業したという。素朴な語り口から、患者に寄り添う誠実な人柄や、一人ひとりに最善を尽くしたいという診療への姿勢が伝わってくる。今回は倉津院長に、クリニックや診療の特徴について話を聞いた。
(取材日2025年1月15日)
地域に根差した歯科医院をめざして開業
歯科医師をめざした理由を教えてください。

一度別の大学に進学し将来のことについて考えている中で、歯学部に進学した友人の話を聞き、歯科医師の仕事に興味を持つようになったのがきっかけです。私は子どもの頃から手先が器用なほうで、細かい作業が好きでした。また、理工系の分野が得意だったということもあり、歯科医師は自分に向いている職業ではないかと思ったのです。大学を卒業後は鹿児島市内の病院で勤務し、さまざまな治療の基礎を学びました。その後は宮崎県内の歯科医院に移り、多くの患者さんの治療をしながら、さらに研鑽を積みました。そして、2012年にこの唐湊で開業し現在に至ります。
歯科医院を開業する地として唐湊を選んだのはなぜでしょうか。
私自身は薩摩川内市の出身ですが、この唐湊は鹿児島大学のキャンパスが近くにあったこともあり、学生時代から知っている場所でした。JR指宿枕崎線の山側に位置するこの地域は、大型マンションやスーパーなどの施設があまりなく、クリニックなど医療施設の数も少ないという印象を持っていました。またこの辺りは昔から住んでいるご高齢の方も多いので、通院のために線路の向こうまで行くのは大変だろうなとも感じていたんです。そのため、ここに開業すれば、歯科治療が必要な地域住民の方の助けになれるのではないかという思いがありました。
患者さんにはどのような年代の方が多いのでしょうか。

昔からお住まいの方がかなりいらっしゃるという地域柄、高齢の方が多い傾向にはなりますが、患者さんの層は幅広いですね。先ほどもお伝えしたように、この地域は大学や短大も近いため、学生さんもいらっしゃいます。近隣にお住まいではなくても、職場が近いということで仕事帰りに通院されている現役世代の方もいらっしゃいます。患者さんの主訴で多いのはやはり虫歯ですね。また、当院は小児歯科にも対応しています。大人の方に比べると人数的には少ないですが、虫歯予防の目的や、学校の検診で虫歯が見つかったなどで受診されるお子さんも来院されますよ。
虫歯や歯周病の治療に注力
どのような治療に力を入れているのでしょうか。

当院では虫歯や歯周病の治療に力を入れています。虫歯の場合は主に補綴治療を行っています。歯をなくしてしまった方には、入れ歯やブリッジによる治療をすることが多いですね。また、予防治療にも注力しており、定期的な検診で虫歯の早期発見をめざすとともに、歯石やプラークの除去などをしています。加えて、フッ素を塗ることもあります。フッ素は虫歯予防で来られるお子さんの歯に塗布することが多いですが、大人の方へも対応しています。例えば、白濁といって虫歯になりかけている歯の予防治療として、歯石の除去とフッ素塗布をお勧めする場合もあります。予防として大事なブラッシングについても、床のタイルを例に「タイルの表面はある程度のブラッシングできれいになりますが、タイルとタイルの間の溝は細かいブラシで丁寧に手入れをしないと汚れは取れないですよね?」などと、説明においても患者さんがイメージしやすい工夫をしています。
一番得意としている治療を教えてください。
患者さんにはあまりなじみのない言葉かもしれませんが、補綴治療における「形成」と呼ばれる治療です。補綴治療とは、歯にかぶせ物をする治療のことです。かぶせ物を作るためには型採りをしますが、そのためにはまず土台となる歯を台形に削ることが必要です。この歯を台形に削る治療を形成と言います。自分の歯の形状に合ったかぶせ物を作るには、より精度の高い形成によって土台を整えることが大切です。患者さんがしっかり噛めるよう、形成の段階から丁寧に治療をしています。
レーザーによる治療にも対応しているそうですね。

レーザー治療に関しては、以前勤務していた歯科医院で経験していたため、開業当初から導入することを決めていました。診療の幅が広がりますし、治療内容によっては麻酔を使わなくても痛みを感じにくいことがあるからです。当院では、主に外科的な処置が必要な際にメスの代わりとして取り入れています。例えば、親知らずに歯茎がかぶさっていて抜歯しにくく、歯茎を切開する必要がある場合や、口内炎の治療などに用います。症状の改善や緩和のためにレーザー治療が必要だと判断した場合は、患者さんに「レーザーを使った治療法もありますよ」と説明した上で、ご希望があれば行うようにしています。
丁寧な説明で患者の不安を解消に配慮
診療するにあたって、どのようなことを大事にされていますか。

患者さんの中には、治療で痛みを感じないかなどの不安を抱えて来られる方も多いと思うんです。そういった不安を解消するために、治療に入る前にしっかりお時間を取ってカウンセリングするようにしています。当院の診療スペースは、ユニットごとにモニターを設置しています。このモニターにエックス線検査の結果などを映し出して説明しながら診療の進め方を提案します。患者さんが100人いらっしゃれば主訴もそれぞれ違いますし、その方に適した治療法も異なりますよね。当院では、一人ひとりの患者さんに対して丁寧に説明し、納得していただいた上で治療することが大事だと考えています。
診療や患者さんへの対応で、ほかに何か工夫されていることはありますか。
診療スペースをパーティションで区切り、患者さんのプライバシーを守りながら治療しています。このパーティションは、開業当初から作っていたものですが、新型コロナウイルスの感染拡大の際には、感染防止にも役立ちました。また、院内感染を防ぐために、高温高圧の飽和水蒸気で滅菌する機械などを導入し、使用する器具を丁寧に滅菌・消毒しています。ほかには、予想外に治療が長引いて後の患者さんをお待たせすることがないように、お一人お一人の予約枠をゆったり取るようにしています。予約はウェブからでも可能ですが、ウェブでの予約方法がわからないときは、もちろんお電話していただいて構いません。また当院では、月・火・木・金曜日は夜8時まで診療していますので、学校帰りやお仕事帰りの方なども通いやすくなっています。
最後に読者にメッセージをお願いいたします。

いくつになっても、おいしいものをおいしく食べるには、お口の中を健康に保つことが大切です。お口の健康は、全身に影響すると言われています。いつも元気で過ごしていただくためにも、お口の健康を意識して定期的に受診していただきたいです。「ふたば歯科医院」という名前には、患者さんから親しまれるような歯科医院になりたいという思いが込められています。また、開業以来地域の皆さまの健康維持のお役に立ちたいという気持ちで務めてまいりました。スタッフ一同、これからも変わらず患者さんに寄り添った診療を提供していきたいと考えていますので、歯以外のことでも、お口の中のお悩みがあればお気軽にご相談ください。