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林 正則 院長の独自取材記事

林クリニック

(大阪市東成区/緑橋駅)

最終更新日:2019/08/28

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東成区の住宅街にある「林クリニック」を、林正則院長が開業したのは2006年のこと。林先生がめざすのは個々の臓器や疾患にとらわれず、人間に焦点を当てて診療する「全人的医療」。仕事や思想などのバックグラウンドも考慮に入れた診療で、患者の生活を支えていく。地域の人が住み慣れた場所で最後まで過ごせるよう、歯科や薬科、医療機関、ケアマネジャーなど、多職種連携にも力を入れている。インタビューでは地域医療への取り組みや、痛みの治療であるペインクリニックなど、ざっくばらんに語ってもらった。
(取材日2018年9月27日)

全身を診る医療をめざして麻酔科の医師に

先生は麻酔科の医師として、大学病院などで長年経験を積まれてきたそうですね。

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出身の大阪市立大学医学部附属病院と、大阪厚生年金病院(現・地域医療機能推進機構大阪病院)の麻酔科に、それぞれ10年ほど勤務しました。麻酔科が携わる分野には、基本となる手術の全身麻酔の管理、患者さんの全身管理をする集中治療、麻酔科が最初に患者さんを診察して各診療科の先生に引き継いでいく救急医療、そして神経ブロック注射などを駆使して痛みの治療を行うペインクリニック、この4つの柱があります。僕が医学部の学生の頃がちょうど集中治療医学が盛んになった時期で、同大学病院にも集中治療室ができました。集中治療では各科がそれぞれの重症患者を診るのではなく、全体をおしなべて、麻酔科が全身管理を担当します。僕は疾病一つ一つを専門的に診るよりも、全体を診たいと考えていたので、それで麻酔科に。勤務医時代には集中治療はもちろん、4つの柱すべてを経験させていただきました。

勤務医を経て、この場所に開業された経緯をお聞かせください。

勤務医時代、僕が診ていたのはがん患者さんや、救急車で運ばれてくるような交通事故に遭われた方、くも膜下出血や心筋梗塞の患者さんなどでした。もちろんやりがいのある仕事なのですが、一方で医師として、患者さんとお話をして、個々のバックグラウンドを考慮に入れた上で、生活を支えていくような「全人的医療」をしたいとも思っていました。ただそれは麻酔科の勤務医では難しいものがあり、開業を考えるようになったわけです。駅からは距離がありますが、地域の皆さんに支えていただいています。

患者さんに多い主訴や年齢層はいかがですか?

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東成区という地域柄、60~70代の患者さんが多いですね。麻酔科ではペインクリニックといって痛みの治療を行っていますので、腰や膝、肩の痛みで来る方が多いです。最近ではペインクリニックの認知度も上がり、インターネットで調べて当院に来たという患者さんもいますよ。勤務医時代からのお付き合いのある整形外科の先生など、紹介で来る患者さんも多いです。内科は少し世代が若くなり、生活習慣病の患者さんが多く、割合としては内科とペインクリニックで半分ずつくらい。当院を好んで来てくださる地域の方が多いですから、少しでも満足して帰っていただけるように心がけています。

痛みの悪循環を断ち、患者に希望を持たせる

ペインクリニックについて詳しくお聞かせください。

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ペインクリニックでは、痛みの治療を行います。痛みには大まかに3つの種類があり、切り傷や打撲など、組織が傷ついて起こる痛み、それから坐骨神経痛など、いわゆる神経の痛み、そしてストレスが痛みを悪化させる心因性疼痛があります。痛みは、原因がわかって治療すればそれで終わるはずですが、3ヵ月以上続いた場合、これを慢性疼痛といいます。痛みが長引くと、最初は周囲も心配してくれていたのが、そのうちに「大げさだ」などと言われてしまうことも。痛みを認めてもらえず、検査をしてもそれほど異常も見つからないため見放されてしまいがちです。するとだんだん患者さんも抑うつ的になり、さらに痛みが増すという悪循環が起こってしまいます。診療では、患者さんの痛みは3つのうちどれが主なのかを判断して、治療することを基本にしています。

具体的にどのような治療を行うのでしょうか?

痛みが長引くと局所の血流が悪くなり、さらに痛みが悪化することも。その悪循環を断ち切るために血流改善剤を使うこともあります。その他に神経ブロック注射や西洋医学のお薬、漢方療法、温熱療法や光線療法などの物理療法、そしてお話をよく聞いてあげる。これらを総合的に組み合わせて治療していきます。長年の経験から、抑うつ的になってしまうことが一番怖いです。心因性疼痛の方に対して、抗うつ薬を処方したら痛みがなくなった症例も少なくないんですよ。また最初の治療で痛みがゼロになることを期待される方もいますが、和らげることは期待できてもゼロにすることは難しいです。それでも、患者さんが生活しやすくなり、前向きに治療に取り組める希望を持たせてあげることが大事だと考えています。

先生は診療でどのようなことを大切にされていますか?

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病気を診るというよりは、人間を見るということを大切にしています。ひょっとしたら患者さんの生活の中に痛みの原因があるかもしれませんから、まずは問診でしっかりお話を聞いて、表情なども観察します。ファミリードクターとして、患者さんその人はもちろん、ご家族の状況も考えながら診療をしていますね。実際、ご家族全員でかかってくださっていることも多く、家族歴や仕事、考え方といったことも大事にした診療を心がけています。また患者さんが希望される場合は訪問診療にも対応しています。例えば老人ホームに入居された場合でも、かかりつけ医として最後まで責任を持って診たいと思っていますので、望んでいただけるのであれば、ホームに往診にも行かせてもらっています。

多職種連携に取り組み地域完結型医療へ

歯科との連携もされていらっしゃるとか。

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自分で噛んで食べて、栄養を取ることは生活の基本ですが、高齢になるとそれが難しくなってきます。また口腔状態が悪いと、糖尿病や心筋梗塞、誤嚥性肺炎のリスクも高まりますので、診療では自分で食事を取れているか、口腔状態はどうかも確認させてもらっています。その上で、近隣の林歯科医院と連携をしたり、患者さんのかかりつけの歯科の先生とご相談をさせてもらったりしています。当院がめざすのは病院完結型ではなく地域完結型の医療。住み慣れた環境で、患者さんが最後まで過ごせる地域包括ケアシステムとして、医科歯科連携だけでなく、医科薬科連携、近隣の病院や診療所との病病連携・病診連携、ケアマネジャーさんや介護施設との医療介護連携など、多職種連携を重視しています。

予防医療にも力を入れていらっしゃるそうですね。

勤務医時代、集中治療室で脳出血や脳梗塞、心筋梗塞などの患者さんをたくさん診てきましたが、やはり障害が残る人が多かったです。糖尿病や脂質異常症(高脂血症)、高血圧など、生活習慣病は自覚症状がありませんから、自分では気づきにくいもの。中には健診で血圧が高いことがわかり、お薬を勧めても「一生飲まないといけなくなる」と言ってそのまま帰ってしまう人もいます。生活習慣を変えたり、お薬を飲んだりすることで、命に関わる病気のリスクをかなり減らすことができますから、患者さんにもしっかりと説明をして、納得をして予防に取り組んでもらえるよう力を入れています。

最後に、読者にメッセージをお願いします。

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救急や集中治療での経験から、患者さんの異変を見逃さずに臓器全体を診る診療を心がけていますので、体の異変を感じたときは、我慢をしないで気軽に来ていただけたらと思います。地域の医療機関とも密に連携していますので、適切な病院に紹介することも可能ですし、急変した時にすぐに入院させてもらえる病院とも区内で連携しています。今後も多職種連携を深めながら、麻酔科の全身管理の技も生かして、地域の皆さんが住み慣れた環境で最後まで安心して過ごせるよう、生活を支えていきたいと思っています。

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