成田 敬介 院長の独自取材記事
腎・泌尿器科 成田クリニック
(大阪市平野区/出戸駅)
最終更新日:2025/05/28

大阪メトロ谷町線出戸駅から西へ徒歩5分ほどの長居公園通り沿いにある「腎・泌尿器科 成田クリニック」。平野区では貴重な腎・泌尿器科のクリニックを営むのは日本泌尿器科学会泌尿器科専門医の資格を持つ成田敬介院長だ。外来で患者と接することに一番のやりがいを感じるからと、2012年に開業して以来、地域医療に貢献し続けている。排尿のトラブルから性感染症の治療まで泌尿器科専門医として幅広く検査・診察を行い、泌尿器がんの早期発見、早期治療にも力を注ぐ。「地域の患者さんにとって気軽な医療の窓口でありたい」と語る成田院長。趣味はドラムで、診察室のデスクにスティックを置き、カレンダーを指し示す際などに使っているそう。そんなちゃめっ気のある一面ものぞかせる成田院長に、地域医療や患者に対する思いなどを聞いた。
(取材日2025年4月30日)
泌尿器科専門医として地域医療に貢献し続ける
開業から13年たちますが、何か変化を感じることはありますか?

地域的に高齢者の割合が多いことから、85歳を超えるようなご高齢の方が初診で来られることが増えています。私は平野区で約20年間、泌尿器科専門でやっているので、前の病院から続けて通ってくださっている方も多いんですよ。また、性感染症なども診ているので、若い世代の方も来ていただいていて、患者さんの年齢層は割と幅広いです。ただ、超高齢化になっているのを身近に感じます。
どんなお悩みで来院される患者さんが多いのでしょうか?
高齢の方は排尿のトラブルが多いです。具体的には、夜間頻尿や尿漏れ、尿が出にくいなどです。労働されている世代では、過活動膀胱による尿意切迫感で、仕事中にトイレのことが気になって支障を来している方もいらっしゃいますね。対顧客のお仕事をされている方、例えば、スーパーのレジ打ちのお仕事の人やタクシーの運転手などはすぐトイレに行けないじゃないですか。そんな仕事に就いている方が、頻尿で困っているケースが多いなという印象です。診察では、職種や労働環境、トイレの行きやすさ、生活習慣をお聞きするのは基本です。若い方は、性感染症が圧倒的に多いです。最近は特に梅毒が増えています。気になることはインターネットで検索できる時代なので、比較的症状が軽い段階で来院される方が増えたかなという印象があります。性感染症はご自身の身に覚えがある方が多いので、自分の異常に対して予測を立ててから、来院される患者さんも増えました。
泌尿器科専門医だからこそ心がけていることはありますか?

まず泌尿器科に来るのに、ハードルが高い面がありますよね。先に、内科に相談していて、泌尿器科にたどり着くのが遅くなっている場合も多いのかなと感じています。だからこそ、当院を選んでこられた患者さんには、泌尿器科専門医としての検査や診断をしっかりやるように心がけています。エコーできちんと検査をすることや、陰部を診ることとか、そういった基本的なことです。しっかり診て、説明をして納得した上で治療を続けてもらうということを、この13年間継続してやっています。エコーは3年ほど前に新機種に変えました。画質も上がっていますし、見やすくなったなと思います。終わってからモニターで患者さんと共有しながら、説明をしたりしています。検査をして、自分の体の地図を見せてもらうということは、とても大事です。尿検査も顕微鏡を使って、その場で沈査しています。
泌尿器がんの早期発見・早期治療に尽力
医師をめざしたきっかけを教えてください。

まず、医師になろうと思ったのはスペシャリストになりたいという想いがあったからです。私の親戚には弁護士が多いのですが、高校生の頃は、弁護士になるのは何か違うと感じていろいろ考えていました。父が自動車修理工場をやっていて、そこを継ぐということも選択肢にありましたが、機械いじりというのも性に合わなかったんです。そんな時に母から私が生まれた時の話を聞いたんです。生後2週間目で、鼠径ヘルニアが悪化しかんとんという状態を起こし、命を落としかけたことがあったようです。それをお医者さんが手術してくださったんです。この話を聞いてから、「自分も誰かの力になりたい」と思うようになり、医師という職業が選択肢に入ってきたんです。
泌尿器科を選択されたのはなぜですか?
医師を志した時から専門を決めていたわけではありません。学生の頃に悩んだ際に、ある心療内科の先生が書いた本を読んで救われたことがあります。人と接するのが好きな性格というのもあって、それをきっかけに心療内科という選択肢を考えました。しかし、外科に対する憧れもありました。それは、生まれた時に手術してもらったことが影響していたのかもしれません。外科の中でどの科を選ぶかという段階になって、泌尿器科は膀胱や性器だけでなく、ホルモンバランスを司る腎臓などと、外科系の中でも守備範囲が広い。だから、これだなと思ったんです。泌尿器系のがんは治癒に期待できるものもあることから、やりがいがあると思えたのも大きいです。
日頃の診療で早期がんを発見されたことはありますか?

当院での検査で、腎盂がんがあります。エコー検査で、画質的に違うとわかれば、早期に見つけらる可能性があります。また、膀胱がんはエコーの画像で見つけることはあまりないですが、持続的な血尿があったりして、内視鏡カメラで異常が見つかるようなケースがあります。膀胱炎が治らず、いざカメラで見てみたら、腫瘍があるという状況です。これまで医師をしてきて、この検査をもっと早くやっていたら、がんが早期で見つかったんじゃないかなということも正直あります。泌尿器科はがんを扱っている科だと思っていて、研究もしてきたので、見落とさないようにしようということは意識しています。泌尿器科クリニックとして、最低限、内視鏡カメラで腫瘍を調べて、評価をするまではしなくてはいけないと思っています。素早く的確にということは心がけています。
子どもから高齢者まで一人ひとりに寄り添う診療を
診察の際に大切にしていることを教えてください。

患者さんのお悩みをきちんと聞いて、解決するということですかね。どういったときにつらいのか、痛いタイミングはいつなのか、日常生活の中で困っていることは何かをお聞きして、対応できることはしっかり対応するように心がけています。できるだけちゃんとお話を聞き出せるようにしなくてはいけないなと思っています。加えて、診察ではプライバシーを守るようにしています。診せてもらう際、患者さんが女性の場合は必ず女性スタッフが立ち会いをしてもらったり、お子さんは保護者の方に横にいてもらったりと、性別や年齢に合わせてバリエーションを持たせています。安心して診察に臨んでいただけるように気を配っているつもりです。
お子さんはどんなお悩みで来院されるのでしょうか?
お子さんは、おねしょの悩みが多いです。男児は包茎や陰嚢水腫という陰嚢が腫れてしまう症状で来られることもありますが、男女差がないのはおねしょですね。形態異常や解剖学的な異常がないかどうかを診ることがスタートですので、そこは小児科さんとはちょっと違うかもしれないです。後は排尿に気をつけてもらうこと。出す薬は限られてくるので、生活指導などもしています。林間学校や修学旅行の前に来る子が多いです。学校行事で困らないように、そこをゴールとして治療に取り組んでいきます。薬の種類や量も経過を見ながら見極めていきたので、行事まで2~3ヵ月前くらいに来てもらえたらうれしいです。薬で改善を図れることもあります。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

治療は日々新しくなっていますが、新しい病気が見つかっているわけではないんです。今までどおり、自分のバックボーンである泌尿器科専門医としての知識と経験を生かしながら、これからの知見は吸収して、患者さんの治療、診断に反映できるように努力していきたいです。普通のことをちゃんとする。それをこれからも続けていけたらと思っています。なかなか言いにくい悩み事が多いかもしれないですけど、一度勇気を出してお越しいただきたいです。悩みをひも解いていって、原因を見つけて説明して、安心させてあげられたら良いなと思って日々診療しています。がんは早期発見、早期治療が大切です。血尿があったら放っておかず、異常がある時は泌尿器科に来てほしいです。少しでも気になることがあれば、気軽な気持ちでお越しください。