飛田 康平 院長の独自取材記事
ひだ矯正歯科
(藤沢市/辻堂駅)
最終更新日:2025/03/14

辻堂駅北口から徒歩約1分の好立地にある「ひだ矯正歯科」。家族で通える歯科医院をめざし小児矯正と成人矯正を提供している。小児の受診が多いと話す飛田康平院長は、「治療の成否を分ける鍵は本人の気持ちと親のサポート。両方がそろわない場合、無理に背中を押すことはしません」と方針を語る。歯科全般の経験をベースに、矯正歯科の研鑽を積みながら高い専門性を身につけてきた飛田康平院長。長期にわたる定期通院や矯正装置の管理が求められるなど、決して簡単に取り組めるものではないだけに、治療開始のタイミングを見極めることを何より大切にしているという。気さくで話しやすい雰囲気の飛田院長に、歯列矯正についての思いや診療のモットーなどを聞いた。
(取材日2024年12月17日)
小児矯正成功の鍵は本人のやる気と親の十分なサポート
どのような患者さんが受診されていますか。

患者さんの6割がお子さんで、残りの4割が大人です。成人矯正ではマウスピース型装置を用いた矯正を希望する方が増えており、他院でマウスピース型装置を用いた矯正は難しいと言われた、あるいは治療の成果が得られなかったという方の来院も多くなっています。マウスピース型装置を用いた矯正は、食事、歯磨きの時は取り外しができますが、正しい成果を得られるようにするためには、1日20時間以上装着しなければなりません。お子さんの場合、「友達がやっているから、うちの子も」など、ご両親に勧められて来院する方も多くいますが、合わない症例もありますし、向き不向きも大きい矯正法です。一般歯科クリニックで受けられるところも増えていますが、そのすべてが十分な知識と技術で対応しているとはいえず、適切な矯正を受けられていない人が多くいるのではないかと危惧しています。
矯正を成功させる鍵は何だとお考えですか。
本人の「やりたい」という意志ですね。小児、成人を問わず、本人の意志なく矯正を進めても決して良い成果は得られません。親御さんの希望で受診した子で、本人に矯正への前向きな気持ちが見えない場合には、すぐに治療を始めないこともあります。実際、中高生になって成人矯正から始めたほうが良い結果が期待できるケースもあるのです。歯列は生死に直結するものではなく、矯正は言ってしまえば「やるべき」ではなく「やったほうが良い」治療です。2〜3年と長期にわたる矯正では多少の痛みや違和感に耐える必要がありますし、日常的な自己管理も求められます。特に近年人気のマウスピース型装置を用いた矯正では、従来の矯正より高い自己管理が必要です。そうした負担に耐えてでも良い歯並びを手に入れたいという強い気持ちがなければ、例えどんなに良い矯正を受けたとしても望む結果は得られないでしょう。
小児矯正では、親御さんへのアプローチも重要ですね。

親がどんなに希望しても、子ども本人にやる気がなければ矯正は難しいという点はベースとして伝えています。「自身が歯並びで苦労したから」「子どものうちに矯正すれば痛くないから」と、お子さんを連れていらっしゃる親御さんは多くいますが、多くの場合、お子さん本人はその時点で困り事を感じていないのです。成人矯正と比較して、小児矯正は痛みが少ない傾向にあります。とはいえ、長時間装置をつけ、正しく管理することはたいへん面倒なこと。矯正を始めさえすればなんとかなるという考えでは、望む成果は得られません。親御さんの思いが先行しており、お子さん本人から治療への前向きさを感じられない場合、再考をお勧めすることもよくあります。治療を始めるからには成功してほしい。だからこそ、あえて背中を押さないスタイルを取っているのです。
「始める」と「続ける」のタイミング見極めが重要に
矯正開始のタイミングを見極めることが重要ということでしょうか。

「矯正は子どものうちに済ませなければ」とお考えの親御さんが多いですが、実は誤解です。矯正は20代からでも、50代からでもスタートできます。つまり、大切なのは「いつやりたくなるか」ということ。本人に「歯並びを整えたい」という強い気持ちが生まれた時が、矯正を始めるベストタイミングなのです。例えば、難しい問題集さえ与えておけば、子どもの成績が自然と上がるものではありませんよね。本人がやる気を持って取り組み、わからない部分は教えるなど、親が適切なサポートをしてこそ、初めて成績が上がります。矯正もそれと同じなのです。また、始めるからには「続ける」ことも視野に入れなければなりません。そうした意味でも、タイミング選びは重要です。
「続ける」ために必要なこととは?
矯正は2〜3年と時間がかかる治療であり、期間中は治療の優先順位をある程度高く保つ必要があります。中高生で、「受験が終わった」「部活を引退した」などで時間ができたからと来院されるケースがありますが、初診時に進学、留学、就職など、その先のビジョンを確認するようにしています。小学生では、中学受験をする予定かどうかも必ず確認します。勉強や部活で忙しくなったり、そもそも海外などの遠方に拠点が移ったりすると、治療の継続は困難です。きちんとスケジュールを管理しながら、月に1度の来院を2〜3年の間続けられるタイミングを見極めなければならないのです。当院では、遠方からの通院を希望される方に、本当に通い続けられるかを問い直し、近くの歯科医院をお勧めすることもあります。
診療の際に心がけていることはありますか?

長期にわたる歯列矯正では互いの信頼関係が大切であるため、患者さんとのコミュニケーションを密に取ります。そのため、どなたとも話が弾むように知識を広く持つよう心がけています。矯正の話はもちろん、世間話もよくします。治療中は「なぜ矯正するべきなのか」をしっかり理解してもらうため、治療前から矯正前後の歯並びの違いを写真で見せながら矯正の大切さを説明します。また、治療中は定期的に口腔内の写真を撮影し、経過をご覧いただきます。加えて、当院では受付対応も専門性を持つ歯科衛生士が担当しています。これは、電話を受けるタイミングから診療が開始しているという考えによるもの。患者さんのちょっとした疑問にもお答えできるようにしています。さらに、予約しているのにお待たせしてしまうことがないよう、各患者さんの枠をきちんと設けて余裕のある予約管理を行っています。
幅広い選択肢を用意。通いやすさにも配慮
矯正歯科専門のクリニックとされた理由は何ですか。

当初は一般歯科と矯正歯科の両方に対応できる歯科医師をめざしていましたが、研鑽を積むうちに2つの分野を一緒に究めるのは難しいと感じるようになりました。歯列矯正は数年先を見据えて計画を立て、それに沿って矯正を進めつつ、時に軌道修正を行うというとても奥が深いものです。一般歯科ではなく矯正歯科を選んだのは、歯列が整っていく過程に興味があったからです。矯正歯科に専念して技術を磨いたことで、高い専門性を身につけることができ、ワイヤー矯正からマウスピース型装置を用いた矯正まで、幅広い選択肢をご提案できるようになりました。また、同じ矯正でも高い専門性を持って、より良い結果をめざしています。
クリニックづくりのこだわりがあれば教えてください。
歯列矯正は通院期間が長いので、少しでもリラックスしていただけるよう「カフェのような居心地の良い空間」をコンセプトに、白を基調に木の質感や明るい色を取り入れた空間としました。近年はこうした雰囲気のクリニックも増えてきたようですが、当時は珍しいと言われました。プライバシーに配慮した半個室ユニットやキッズスペースなど、通いやすいように工夫をしています。また、先進の技術や機器にアンテナを張り続けており、例えば院内感染予防のために、CDC(米国疾病予防管理センター)が提唱する、人の血液や体液や分泌物は、感染症の可能性があると見なして対応する「スタンダードプリコーション(標準予防策)」という考え方を採用しています。滅菌前の洗浄、すすぎ、消毒、乾燥までを自動で行う器具洗浄機を導入し、滅菌だけでなく消毒にも力を入れています。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

小児矯正で抜歯を避けられるのは事実ですが、小児で矯正しなければ歯並びを整えるのは難しいというわけではありません。「子どものために」という親心は理解できますが、押しつけの治療では成果を得るのは難しいものです。矯正を成功させるためにも、開始のタイミングは慎重に検討していただきたいと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とは小児矯正/38万5000円~
成人矯正/71万5000円~(表側矯正:ワイヤー71万5000円、白いワイヤー82万5000円、裏側矯正:ハーフリンガル99万円、フルリンガル115万5000円、マウスピース型装置を用いた矯正/88万円)
検査料/2万7500円~
診断料/1万6500円
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。