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伊藤 彰洋 院長の独自取材記事

オアシス愛生クリニック

(和光市/和光市駅)

最終更新日:2026/01/30

伊藤彰洋院長 オアシス愛生クリニック main

和光市駅から車で約5分の住宅地にある「オアシス愛生クリニック」。サービスつき高齢者向け住宅に隣接し、和光市・朝霞市・新座市を中心に、高齢者施設や在宅への訪問診療を軸とした医療を提供している。内科や整形外科、皮膚科、心療内科など幅広く対応し、患者一人ひとりに寄り添う「総合診療」を実践するのが院長の伊藤彰洋先生だ。山梨大学医学部卒業後、米国で学んだ家庭医療(ファミリーメディスン)の知識を生かし、包括的な診療と科学的根拠に基づいた医療に尽力。「患者さんやご家族と人生について語り合えることがうれしい」と語る。一方で、牧師として週末に説教も行う異色の経歴を持つ伊藤院長に、総合診療という新しい医療の在り方と今後への思いを聞いた。

(取材日2025年12月23日)

体と心を不安から守る「ゲートキーパー」として

「総合診療」とはどのような診療なのでしょうか?

伊藤彰洋院長 オアシス愛生クリニック1

総合診療は、日本では2018年に新設された比較的新しい分野の医療です。内科や外科といった特定の疾患に限定するのではなく、患者さんが抱える身体・心理・社会的な問題すべてに向き合い、「なんでも相談できる窓口」として関わるのが特徴です。どこを受診すれば良いかわからない方や、複数の病気を抱える方に寄り添いながら、状況に応じて最適な診療へとつないでいきます。米国では1970~80年代以降、特定の診療科にかかる前に、まず家庭医療を行うファミリードクターに相談する慣習が根づいています。お産や子どもの診療、けがの対応など、診療科の枠を超えて幅広く診る点がファミリードクターの特徴です。制度の違いはありますが、日本でも「困ったときに最初に相談できる存在」として、安心して頼ってもらえるのが総合診療を行う医師の役割だと考えています。

総合診療という分野に興味を持ったきっかけをお聞かせください。

最初に興味を持ったのは、医学部2年生の頃でした。将来の専門を考える中で、たまたま手に取った本をきっかけに、「プライマリケア」とも呼ばれる米国のファミリーメディスン、いわゆる「家庭医療」の制度を知りました。当時の日本では、総合診療という言葉自体がまだ広く知られていない状況でした。そこで、総合診療を体系的に学べる環境を求め、卒業と同時に南イリノイ大学の家庭医療学科に留学。3年間にわたり総合診療を学んだ後、イリノイ大学で老年医学を専攻しました。日本ではなかなか学べない分野を集中的に学んだ4年間は、厳しさもありましたが非常に充実した時間でしたね。また、米国人の最愛の妻との出会いという最高の出来事があったこともつけ加えておきます(笑)。

総合診療にはどんなスキルが必要だと思われますか?

伊藤彰洋院長 オアシス愛生クリニック2

米国のファミリードクターは、お産から看取りまで幅広い診療を1人で担います。最初にその話を聞いた時は、「本当にそんなことができるのか」と驚きましたが、実際にはそれが成り立っています。米国は国土が広く、日本のように専門が細分化された体制では、医療が行き届かない地域も。救急車の到着まで1時間、そこから病院までさらに2時間かかる地域も珍しくありません。こうした背景があるからこそ、ファミリーメディスンという専門性が必要とされています。社会的背景は異なりますが、考え方次第では日本でも十分に生かせると感じています。南イリノイ大学では、どの診療科につなぐべきかを判断する紹介状の書き方も学びました。医学的な知識だけでなく、生活全体に目を向けて地域医療に貢献する姿勢こそが、総合診療の大切な役割だと実感しています。

地域に密着し、あらゆる意味で頼られる医療をめざす

帰国後、どういう経緯で開院されたのですか?

伊藤彰洋院長 オアシス愛生クリニック3

帰国後は、千葉県館山市の「亀田ファミリークリニック館山」をはじめ、さまざまな病院や大学で、家庭医療や臨床診断推論を若手医師や学生に伝える機会をいただきました。後進の育成に携わる中で、自分自身もファミリーメディスンを実践したいという思いが次第に強くなり、医院経営への関心を持つようになりました。そうした折、縁あって和光市のサービスつき高齢者向け住宅の1階に小さなクリニックを開院し、在宅医療を中心とした診療を開始しました。隣接する施設の入居者の診療を重ね、現在は同じ法人が運営する5つの施設で訪問診療を行っています。また、施設で出会った患者さんが外来を受診されたり、外来の患者さんから家族の入居について相談を受け、関係する施設を紹介したりと、地域の中で良い循環が生まれていると感じています。

現在、総合診療を専門とする医師はどのくらいいるのでしょう。

総合診療を行う医師の数は、全国的に見てもまだまだ少ないのが現状です。先ほどもお話ししたように、日本でも工夫次第で米国に近いかたちの総合診療は実現できると考えていますが、現状では人数が足りないため、「総合診療」を掲げていても、患者さんからは何を診てくれる医師なのかわかりにくい面があります。その結果、最初から専門医療機関を受診し、総合診療を行う医師が幅広い経験を積む機会も限られることに。地域の方に寄り添い、本当の意味での「かかりつけ医」として機能していくためには、総合診療の役割や価値をもっと社会に知ってもらうことが大切だと感じています。そうした理解を広げながら、地域に根差した医療を実践していくことが、今後自分がめざしていきたい方向です。

新型感染症の流行以降、診療のかたちも変わったと伺いました。

伊藤彰洋院長 オアシス愛生クリニック4

開業後も、できる範囲で後進の育成に関わってきましたが、次第にそれが難しくなっていきました。そんな中で取り組むようになったのが、新型コロナウイルスの罹患後症状に特化した外来です。当時、埼玉県内でこうした外来を行っている医療機関は数えるほどしかなく、未知で前例の少ない分野でした。わからない症状を一つずつ整理し、国内外の文献を調べながら原因を探っていく。そこにこそ総合診療を行う医師の役割があると考え、手を挙げました。実際に始めてみると、大規模病院から紹介を受けるほど多くの患者さんが来院されました。症状は一つではなく、体の不調が長く続く方や、気分の落ち込みを併発する方も少なくありません。複数の症状が絡み合う悪循環を少しでも断ち切れるよう、今も一人ひとりと向き合いながら診療を続けています。

新しい医療のかたちを仲間と一緒につくり続けたい

新しい医療のかたちをめざしていらっしゃるのですね。

伊藤彰洋院長 オアシス愛生クリニック5

理想とする医療のかたちには、少しずつ近づけていると感じています。現在、もう一つ取り組んでいるのが「医師の新しい働き方づくり」です。例えば、60代で大学病院や総合病院を退職された先生の中には、まだ意欲的に働きたいと考えている方が多くいます。総合診療の専門知識がなくても、これまで医療に携わってきた経験を生かせる場はたくさんあります。当クリニックでも、そうした先生方に活躍していただいています。総合診療そのものは私が中心となって担いながら、医師同士が協力し合い、それぞれの強みを生かして地域のニーズに応えていく、そんなチーム医療のかたちをつくっていくことも、今の私の大きな目標の一つです。

医師としてだけではなく、牧師としても活動していらっしゃるそうですね。

医学という、生と死に向き合う道を選んだこともあり、以前から信仰には関心を持っていました。大学時代に洗礼を受け、現在は山梨にある教会の牧師としても活動し、週末には礼拝を行っています。そうした信仰的な背景もあって、地域に根差した医療に向き合いたいという思いは強くあります。西洋医学の科学的根拠に基づいた診療を大切にしながらも、病に悩む気持ちに丁寧に寄り添い、話を聞くことも同じくらい重要だと感じています。科学だけでは解決できない部分に、「想い」で寄り添いたいという気持ちです。また、日本の子どもたちの未来を支えたいという思いから、3人の息子が通う学校法人で理事長も務めています。忙しい日々ではありますが、信者の方や生徒たちの笑顔に、日々励まされています。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

伊藤彰洋院長 オアシス愛生クリニック6

総合診療は、まだ新しい分野の医療です。ただ、何か不安を感じたときには、ぜひ身近にいる総合診療を行う医師を探してみてほしいと思います。大きな病院でも個人のクリニックでも、患者さんの不調をさまざまな角度から捉え、少しでも楽にしたいと考えている医師ばかりです。まずは気軽に相談し、必要に応じて専門の医師につないでもらう。そんな選択ができるようになることで、安心して医療と向き合える環境が広がっていくのではないでしょうか。

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