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今村 麻衣子 院長の独自取材記事

いまむらクリニック

(芦屋市/芦屋駅)

最終更新日:2022/01/14

今村麻衣子院長 いまむらクリニック main

JR神戸線芦屋駅から徒歩約3分、芦屋市大原町の閑静な住宅地にある「いまむらクリニック」は、地域に根差した内科のクリニック。院長の今村麻衣子先生は、呼吸器を専門に扱う病院や救急部門のある内科病院などで経験を積み、2012年に開業した。生活習慣病をはじめとする内科疾患はもちろん、専門性の高い呼吸器内科の診療にもしっかり対応してくれる。また、妊娠・授乳中の女性にも国が定めた基準に従って薬を処方するなど、女性が受診しやすく、不安を解消できるようなクリニックであることを大切にしている。自らも子どもを持つ母親でもある今村院長に、クリニックの診療ポリシーや地域の内科診療にかける思い、得意とする呼吸器疾患の治療などについて話を聞いた。

(取材日2021年12月28日)

患者の気持ちを大切にした診療がモットー

女性が受診しやすいクリニックをめざして開業されたそうですね。

今村麻衣子院長 いまむらクリニック1

私自身が母親になり、妊婦さんや授乳婦さんの治療についての不安、子連れで医療機関を受診することの難しさを実感したからです。妊娠中や授乳中はお薬を処方してもらえないことが多いのですが、国が定めたルールに従えば処方は可能です。当院では患者さんが希望されれば、妊婦さん授乳婦さんにもお薬を出すようにしています。また、女性専用のお手洗いやおむつ替えや授乳に使えるベビールームも設けました。最近までは、新生児以外の小さなお子さんにも対応していたのですが、コロナ禍では13歳以下のお子さんの受診を基本的に控えなくてはならないのは心苦しいところです。

どんな患者さんが受診されますか。

女性の患者さんが比較的多く年齢層は広いですね。喘息で受診される方もおられるので、若い男性の患者さんも来られます。診療の際はできるだけ患者さんのご希望に沿うことを心がけています。例えば、コレステロール値が高いという場合、薬を使ってしっかり改善したいという方にはお薬を処方します。一方、「薬を飲みたくない」という方には、すぐにお薬を飲みましょうとは言わず、定期的に血液検査を行って状態を確認しながら、食事や運動などの生活改善に取り組んでいただきます。その上で、3ヵ月、半年頑張っても期待する結果が得られない場合は、お薬の服用も検討していただきます。ご自身で生活改善に取り組まれた上での処方なので、納得してくださると思います。

患者の意志を尊重してもらえるのですね。

今村麻衣子院長 いまむらクリニック2

気軽に何でも相談していただける街の診療所の医師として、厳密に数値で線引きするのではなく、患者さんの気持ちを大切にしたいと思います。例えば、血糖値の数値が高い患者さんであれば、奥さまなどご家族に協力していただきながら生活改善に取り組まれるという選択肢もあります。その一方で、習慣を変えるのは難しいので薬を処方してくださいというご高齢の患者さんもおられます。このように患者さんの希望に沿うという方針で診療していると、クチコミで広がったのか、最近は薬を飲みたくないとおっしゃる患者さんが増えてきたように思います(笑)。

専門的な治療にも対応

呼吸器疾患の診療も多いのですね。

今村麻衣子院長 いまむらクリニック3

多いのは、喘息、COPD(慢性閉塞性肺疾患)の患者さんです。呼吸器内科を掲げているので、もともと咳で受診される方は多かったのですが、新型コロナウィルス感染症の流行以降はちょっとした咳や、それまでは咳が出るくらいでは受診しなかったような方も来られるようになりました。人目が気になって咳を止めてほしい、家族に言われて受診したという方も少なくありません。喘息、COPDの患者さんについては、新型コロナウイルス感染症に罹患しても重症化しないように病気のコントロールが大切とお伝えしています。これまでは、吸入やお薬を忘れることがあった方も今はしっかり対策をされるようになり、喘息の発作が落ち着いたという方もおられます。

喘息の診療について先生の考えを聞かせてください。

喘息患者さんの中には、仕事や学業が忙しく、こまめな通院が難しい方がおられます。勤務医時代には、通院できずに薬が切れて病気のコントロールができなくなった患者さんをたくさん見てきました。このため、患者さんの生活背景や本人の性格なども考えて、通院の頻度や薬を出すタイミングを調整するようにしています。喘息の治療はいわば積み重ねの治療で、途切れることなく続けることが大切だからです。治療を中断して悪化すると、また、一から始めなければなりません。

専門性の高い診療も提供しておられます。

今村麻衣子院長 いまむらクリニック4

結核菌以外の抗酸菌が肺に感染する抗酸菌症の患者さんは他のクリニックより多いと思います。抗酸菌症の薬の処方については、専門的な知識だけではなく、処方する際に詳記記載が必要になるなど手間が多く、対応しているクリニックは少ないのが現状です。このため病院で薬を処方してもらうことになるのですが、長期間にわたって投薬を続ける必要があり、病院の受診は患者さんの負担になります。私は国立病院機構近畿中央胸部疾患センター(現:国立病院機構近畿中央呼吸器センター)で抗酸菌症の診療経験があり、薬についても可能な範囲で対応できます。また、病院での診療が必要になるケースでは、患者さんのご希望に沿う形で勤務経験がない病院にも紹介できる体制を整えています。

新型コロナウイルス感染症の診療にも力を入れておられますね。

発熱がみられる患者さんへの対応とワクチン接種に取り組んでいます。私は呼吸器の医師で、勤務していた病棟では同僚が日々新型コロナウイルスと闘っており、クリニックの医師としてできることに協力したいという思いがあるからです。発熱が見られる患者さんについては、一般の患者さんと時間帯を完全に分け、人数が多い場合は完全予約制にするなど密にならないよう配慮しています。流行し始めた当初は、呼吸器内科というだけで受診を控えられる患者さんもおられたのですが、一般の患者さんと熱のある患者さんを徹底して分けたことで、最近はご理解いただけるようになりました。先日は元気が出るようにと差し入れをいただき、温かく見てもらえるようになったと感謝しています。

何でも相談できる街の診療所へ

医師をめざしたきっかけを教えてください。

今村麻衣子院長 いまむらクリニック5

中学生の時に、下半身がつながったベトナムの結合双生児のニュースを見て医師になろうと考えるようになりました。病気を治すだけではなく、患者さんの人生に関われる仕事だと感じたのです。医学部に進学してからも、小児の心臓外科をめざしていたのですが、在学中に肺が破れる外傷性気胸(ききょう)で父を亡くしました。早く見つけて対処すれば助かる病気だったので、呼吸器疾患の処置ができるようになりたいと思い呼吸器内科を選びました。

開院前はどんな経験を積んでこられたのですか。

学位を取得した後で勤務した国立病院機構近畿中央胸部疾患センターには、医師の教科書を書いておられるようなエキスパートが多く、専門的な知識や技術を身につけられました。寝る間もないほど忙しい毎日でしたが、この病院での経験は現在の診療につながっています。また、大阪の病院では救急搬送されてくるさまざまな患者さんの診療にあたり、内科の医師として貴重な経験になりました。

今後の目標を教えてください。

今村麻衣子院長 いまむらクリニック6

当院は2022年で開業10年になります。最初は呼吸器に特化したクリニックにしようと思っていたのですが、開業してみると本当にさまざまな患者さんがお越しになり、「街の診療所」という状態です。「できものができた」という患者さんもおられますが、そんな会話が普通にできるクリニックでありたいですね。これからの10年も専門性は大切にしながら、世間話をしたり、家族の愚痴も聞いたりしながら何でも相談できるクリニックでありたいと考えています。

読者にメッセージをお願いします。

今、子育て中の女性は、毎日大変だと思います。子どもが優先で医療機関の受診も後回しになりがちです。でも、お母さんが元気でないと、しっかりと子育てすることは難しくなります。お母さんが病気になると、家族みんなが困ります。また、仕事を持っておられる女性も、つらい時に「つらい」と言えないと、どんどんつらくなってきます。今は元気に頑張っているという方も、定期的に健康診断を受けてください。具合が悪い時は早めに時間をつくって受診してください。病院や専門的な医療施設の受診は気が引けるという方は、受診すべきかどうか、どこを受診すればいいか尋ねることができる先生を見つけて、何でも相談されることをお勧めします。

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