青見 裕子 院長の独自取材記事
あおみ小児科医院
(福岡市南区/高宮駅)
最終更新日:2025/04/10

西鉄天神大牟田線高宮駅から徒歩約9分の場所に位置する「あおみ小児科医院」。2012年に開業した同医院は、地域に根差した小児科医療を提供し続けている。穏やかな印象で優しい語り口の青見裕子院長は、北海道や福岡の病院で小児科医師として研鑽を積み、同医院を開業。感染症・気管支喘息・食物アレルギー・アトピー性皮膚炎など小児科一般の診療に対応している。青見先生に、小児科医をめざした理由や患者に対する思いを聞いた。
(取材日2025年2月20日)
「命を大切にしたい」という思いを胸に医師をめざす
小児科の医師をめざした理由を教えてください。

私は、子どもの頃から生き物が好きで、命を大切にしたいという思いを強く持っていました。内科医だった父の影響も大きかったと思います。開業医だった父は、夜中でも具合の悪い患者さんが来れば診察するような人でした。その姿を間近で見ながら、医師という仕事の大変さを知る一方で、命を守る素晴らしい仕事だと感じるようになりました。小児科医をめざそうと思ったのは、出身大学の小児科の教授が、いつも笑顔を絶やさず患者さんに接している姿に感銘を受けたからです。私もその教授のような優しい医師になりたいと思いましたし、子どもたちの元気になったときの輝く笑顔にも惹かれ、小児科医になりたいと思いました。
こちらの医院を開業されたときにこだわったことはありますか?
内装や外装は、木を基調に自分でデザインをしました。待合室にある棚もテーブルも、すべて木製です。子どもの頃によく描いていた「森の中にある小さな家」のような安らげる温かい雰囲気の医院にしたかったんです。私自身も気持ちが落ち着きますし、患者さんにも木のぬくもりを感じていただけたらと思っています。昔から絵が好きで画家になりたい夢もあったので、院内だけでなく、診察券、看板のデザインや掲示板の絵も自分で手がけています。
絵本がたくさんあるのも先生のこだわりでしょうか。

そうですね、テレビはあえて置かずに絵本をたくさん置いています。日頃忙しいお母さんやお父さんも、当院で過ごすひとときだけはお子さんと一緒に絵本を手に取っていただければと思います。絵本は年代を問わず親しみがあり、小さい頃の思い出とともに優しさやぬくもりを与えてくれます。お子さんが文字が読めてもぜひ保護者の皆さんが読んであげてください。そのひとときがお子さんにとって楽しい思い出となり、心の栄養となって成長に豊かさと力を与えてくれるでしょう。
大学生や親御さんの診療にも対応しているそうですね。
はい。幼い頃から気管支喘息で通院されていたお子さんで、大学生になっても引き続き通院されている方もいらっしゃいます。感染症の場合、お子さんから親御さんにうつってしまうことも多いため、親御さんが自分の治療を後回しにしてひどくならないよう、お子さんと一緒に治療を行うことも可能ですし、必要があればアレルギー症状に関する診療を保護者の方に行います。また、この辺りは一人暮らしの大学生も多い地域です。体調を崩し、どこで診てもらえばいいのかわからず困った学生さんが来院されることもあります。親元を離れて不安だと思うので、具合が悪くなったときは気軽に頼ってほしいです。
見た目で判断せず最後までしっかり治療することが大切
気管支喘息の患者さんも多くいらっしゃると聞きました。

そうですね。中には、喘息の発作がひどくなっていることに気がつかず、かなり時間がたってから来院される方もいらっしゃいます。特に、慢性的な気管支喘息になっているお子さんに多い印象があります。これは大人にも言えることですが、喘息の発作が慢性化すると、息苦しさの感覚が鈍くなってしまうからです。発作の症状が少し治ると、「もう大丈夫」と思い込んでしまうんですね。ところが、実際に胸の音を聞いてみると、まだすごくゼーゼーしているということもあります。完全に治っていない状態で発作を繰り返していると、気づいた時にはかなり悪化していたという事態も起こり得ます。自己判断せず、医師の判断を信じて通院していただくことが大切です。
ウイルスや細菌による気管支炎を繰り返すうちに、気管支喘息を発症することもあるそうですね。
気管支炎の場合は、1週間から10日間程度の治療によって症状の改善が見込めますが、中には一旦症状が落ち着いていても1~2週間で咳や喘鳴を繰り返してしまうお子さんもいらっしゃいます。小学生くらいの年齢になると、それが気管支喘息によるものかどうかを診断しやすいのですが、乳幼児の場合はわかりにくいことも多くあります。ですから、治療で改善したように見えたとしても、しばらくは経過を診ることが大切です。特に、最近は保育園に通うお子さんが多く、病気に感染しやすい環境にあります。その影響もあってか、気管支喘息を発症しやすい状況になっているのではと感じています。また、アレルギー体質は遺伝しやすいため、親御さんが何らかのアレルギーを持っていると、お子さんもその体質を受け継ぐ可能性が高いです。そうしたアレルギー体質に加えて、ウイルス感染を繰り返すことで、気管支喘息を発症するお子さんもいるのではと考えています。
ただの風邪だと思っても、医師から告げられた治療のめどまで続けることが大事なのですね。

はい、そのとおりです。風邪などのウイルス感染による咳やゼーゼーした症状も、しっかり治療していただきたいですね。途中で治療をやめてしまうと、一見良くなったように見えても実は良くなっていなかったり、再発しやすくなったりと、その後の回復具合に違いが生じる可能性があるからです。今の時代、親御さんたちもお忙しい方が多く、通院を続けるのが難しいこともあると思います。また、当院では、症状の重い患者さんを優先して診療することもあり、お待たせしてしまう場合もあります。それはすべて、私の、「命を守りたい」「皆さんにきちんと治ってほしい」という気持ちが強いためです。ご迷惑をおかけすることもありますが、ご理解いただけるとありがたいです。
一人で悩まず、どんなことでも気軽に相談してほしい
患者さんに接する際、心がけていることはありますか?

赤ちゃんは、まだ言葉を話せなくても、思っているよりいろいろなことを理解しているんですよね。ですから、言葉が話せる年齢のお子さんはもちろん、赤ちゃんにもちゃんと目を見て、「大丈夫だよ」「痛くないよ」と優しく話しかけるようにしています。また、いつも笑顔でいることも大切にしています。緊張している患者さんも、笑顔でお迎えすることによって少しでも安心してもらえたらうれしいですね。親御さんに対しては、しっかりお話を聞くことを心がけています。疑問に思っていることにはできる限りお答えしたいと思っているので、何でも聞いてほしいです。私のほうでも、なるべく親御さんが話しやすい雰囲気をつくり、自然と悩みを引き出せるように心がけています。
診療していてやりがいを感じるのはどのような時ですか?
小さい頃に治療していた患者さんが成長した姿を見ると、とても感慨深いです。北海道の病院に勤務していた時に診た患者さんや親御さんの中には、今でも連絡を取り合っている方がいらっしゃいます。すでに結婚して子どもがいる方もいて、お子さんの写真を見せていただいたりもしています。また、当院の患者さんのお母さんには、子どもの頃に私が診ていた方もいます。開業前、実家の内科・小児科医院を手伝っていた時に診ていたお子さんが成長し、自分の子どもを連れて来てくれています。こういうつながりを感じられるのは、小児科医ならではの喜びかもしれないですね。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

例えば、ウェブ予約で順番が遅いと「もう診てもらえないのかな?」と思う方もいるかもしれません。でも、お子さんの具合が悪いときは、少しでも早く診てあげたいので、遠慮せずに電話でお問い合わせください。心配な時は、直接来ていただいても構いません。また、初めてのお子さんの場合、「いつもよりミルクの量が少ない」「なぜ泣いているのかわからない」など、ちょっとしたことでも不安になってしまいます。こんなことで行ってもいいのかなと思わずに、気軽に来院してほしいですね。お母さんの安心は赤ちゃんにも伝わりますので、来ただけで泣きやむこともありますから。体の体調不良だけでなく、心の心配事、思春期の悩みなど、どんな悩みでも打ち明けられる存在でありたいと思っています。悩みや不安があるときは、一人で抱え込まず、お気軽にご相談ください。