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森口 正人 院長の独自取材記事

らびっとクリニック

(さいたま市緑区/北浦和駅)

最終更新日:2023/12/14

森口正人院長 らびっとクリニック main

北浦和駅からバスで約10分。道祖土交差点そばのビル2階にある「らびっとクリニック」のエントランスを入ると、自然光が差し込む明るい空間が広がっている。優しい笑顔と温かなまなざしが印象的な森口正人院長は、大学病院での診療や米国研究機関への留学を通して、関節リウマチや膠原病などのリウマチ性疾患を専門に30年以上研鑽を重ねてきたベテランドクター。治療が難しいこれらの病気に粘り強く取り組んできた経験から、痛みに苦しむ患者に寄り添う医療をモットーとしている。関節リウマチと並んで高齢者に多いリウマチ性多発筋痛症の治療にも力を注ぐ森口院長に、リウマチ性疾患の特徴や診療にかける思いについて話を聞いた。

(取材日2023年9月15日)

リウマチ性疾患に特化した内科クリニック

診療内容やクリニック名の由来について教えてください。

森口正人院長 らびっとクリニック1

関節リウマチや膠原病などのリウマチ性疾患を中心に据えた診療を行っています。リウマチ科というと関節リウマチだけの診療科と思われがちですが、体の痛みを引き起こすさまざまな疾患が対象です。クリニック名の「らびっと」は、「リウマチ性疾患や関節炎、全身痛を抱える患者さんに適切な検査と治療を」という英文の頭文字を取った造語です。痛みに苦しむ方々と向き合い、長いスパンでともに歩む治療者であり、共感者であることをめざしています。

リウマチ性疾患とは具体的にどのような病気なのでしょうか。

広く捉えれば「関節や筋肉などの運動器系に痛みが生じる疾患」をリウマチ性疾患と呼びますが、個々の病気は多岐にわたります。関節リウマチを含む膠原病は自己免疫疾患と呼ばれ、他にも全身性エリテマトーデスやシェーグレン症候群、多発性筋炎、皮膚筋炎、血管炎症候群などがあります。当院ではこれらの自己免疫疾患のほかにも、高齢者に多いリウマチ性多発筋痛症や変形性関節症、比較的まれな疾患として自己炎症症候群、脊椎関節炎なども診療しています。当院の患者層は60代が中心ですが、リウマチ性疾患そのものは幅広い年齢層でみられます。

同じように痛みを扱う整形外科との違いは何でしょう?

森口正人院長 らびっとクリニック2

リウマチ科は循環器内科や神経内科などと並ぶ内科の一つです。整形外科では支障が出た骨や関節の部位をエックス線画像などで解剖学的に診て異常があるかどうか診断します。一方、リウマチ科で扱う疾患は免疫系の異常で引き起こされるものが多く、全身疾患として扱うという違いがあります。ですので、リウマチ科では血液検査を必ず行い炎症や免疫の状態について検査します。薬剤による治療が中心である点も整形外科との大きな違いです。

土曜日は2人の女性医師が診察に参加されているそうですね。

膠原病やリウマチ性疾患は女性に多い病気です。特に膠原病は、妊娠や育児、介護との関わりから女性のクオリティオブライフを著しく妨げる病気といえます。例えば、リウマチや膠原病のお薬の中には、妊娠そのものに影響を与えるものもありますから、妊娠出産を計画的に考えていきながら問題のない治療を選んでいかなくてはいけません。そういう家族計画の問題などは、やはり女性同士の方が聞きやすいのだろうと思います。2人とも日本リウマチ学会リウマチ専門医ですし、一人は地域の中核病院に勤務していることから病診連携もスムーズです。リウマチや膠原病は入院治療が必要になるケースがあるため、病診連携は重要なポイントの一つです。

高齢者はリウマチ性多発筋痛症にも注意が必要

関節リウマチはどのように治療するのですか。

森口正人院長 らびっとクリニック3

約20年前からリウマチ炎症を引き起こす分子を強力に制御するための、生物学的製剤などの分子標的薬が多数開発されてきました。根治療法は確立されていませんが、現在ではこれらの薬を適切に用いることで、病気の進行が止まった「寛解」の状態をめざせるようになっています。その一方で、リウマチ治療には「アンメットニーズ」、すなわちまだ満たされていない医療ニーズが多く残されています。例えば新薬でも改善しない難治例、経済的な理由から高額な新薬が使えない例、高齢化に伴いさまざまな疾患を併発して薬が十分に使えない例、必要になってもなかなか介護が受けられない例などさまざまです。関節リウマチの治療は長い時間軸の中で総合的に考えていくことがとても重要です。私の役割はこうした患者さんにとって最善のケアとは何か、その在り方を考えて実践していくことだと思います。

リウマチ性多発筋痛症とはどんな病気なのですか。

リウマチ性多発筋痛症はまだあまり知られていませんが、65歳以上の方に非常に多く見られる疾患です。高齢者に限って言えば、関節リウマチと同じくらいの罹患者数です。朝、全身のこわばりがしばらく続く、肩や首、腰など複数の部位に痛みが出るといった症状が特徴で、他にも発熱、食欲不振、体重減少、抑うつといった症状が出る場合があります。五十肩だと思っていたら、実は、リウマチ性多発筋痛症だったという例もあります。ご高齢の方で体のいろいろな部位に痛みがあり、エックス線検査で異常がないと言われた場合、リウマチ性多発筋痛症も考えられますので、ぜひ受診して検査を受けていただきたいですね。

診療で大切にしているのはどんなことですか。

森口正人院長 らびっとクリニック4

リウマチ性疾患の診断や治療は、長い時間の経過の中で診ていくことが重要です。患者さんの話を一つ一つ丁寧にお聞きして、さまざまな手がかりとなる情報を回収しながら診断や治療方針を組み立てていきます。リウマチ性疾患は1回の検査結果だけで単純に決めつけず、長い時間軸で考える必要があるため、患者さんとも長いお付き合いになります。患者さんも年を重ねていく中で別の病気が出たり、体が弱くなって今まで使えていた薬が使えなくなったり、あるいはお子さんが病気になったりと、さまざまな変化を体験されます。これまでのキャリアで私もいろいろな場面に出会いました。どんな時も、患者さんの人生に少しでも寄り添えればと思っています。

患者の人生を理解しオーダーメイドの医療を提供

こちらでは検査や診療面で新しいことに取り組んでいると伺いました。

森口正人院長 らびっとクリニック5

従来の機器より骨密度を精密に測定できるDEXA法の検査装置を導入しました。この装置によって、骨折すると日常生活動作の大幅な低下につながる大腿骨(だいたいこつ)と腰椎の骨密度を調べることができます。リウマチ患者さんは骨粗しょう症になりやすいため、骨密度の精緻な把握は重要で、何か問題を発見した場合は早い段階から治療を始めます。また、骨密度の管理は、フレイルの予防にも必要です。フレイルとは栄養や体力、社会参加などが低下して心身ともに活力がなくなった状態。骨粗しょう症はフレイルを引き起こす一つの原因でもあるのです。また、当院で再診の方を対象にオンライン診療も行っています。触診も検査もできないため、約3ヵ月に1回は対面での診療が必要になりますが、遠方の方や新型コロナウイルス感染症の流行で移動に不安を感じる患者さんなどにご利用いただいています。

今後の目標についてお聞かせください。

一言で言えば「サイエンス」と「アート」に基づく医療を実践することです。サイエンスとは、EBM(エビデンス・ベースド・メディスン)を指します。これは治験や研究により医学的有用性の根拠が確認された医療のことで現代医療のスタンダードといえるでしょう。ですが多くの治験や研究では、多様な合併症を伴う複雑な病態の患者や、高齢者がそもそも対象者とされておらず、患者さんの心理的・社会的問題、実存的問題についてはEBMだけではお手上げです。一方でアートに相当するのがNBM(ナラティブ・ベースド・メディスン)。患者さんの人生の物語(ナラティブ)を深く知り、心と体の人生の歴史を尊重した医療を考えていくことです。NBMは患者さん一人ひとりにオーダーメイドの医療を提供するという、医療の技(アート)なのです。これからもサイエンスとアートの双方を高め続けることが私たち臨床医の責務だと肝に銘じています。

読者へのメッセージをお願いします。

森口正人院長 らびっとクリニック6

これからもリウマチ性疾患に悩む患者さん一人ひとりにきめ細かく対応していきたいと思います。ご高齢の方の中には先ほどお話ししたリウマチ性多発筋痛症が発症しているのにもかかわらず、適切な治療にアクセスできていない方も多いので、体がこわばる、肩や腰が痛い、体重が減るなど体の変化を感じたら、リウマチ性疾患を疑うことは大切です。リウマチ性疾患は、老若男女問わず起こり得る病気です。何らかの痛みを感じた時は、リウマチ科を標榜する専門医療機関にご相談いただきたいと思います。

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