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森口 正人 院長の独自取材記事

らびっとクリニック

(さいたま市緑区/北浦和駅)

最終更新日:2020/04/01

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北浦和駅からバスで約10分、教育センター前停留所から徒歩1分のビル2階にある「らびっとクリニック」は2012年開業。優しい笑顔と温かなまなざしが印象的な院長の森口正人先生は、大学病院での勤務や米国の研究機関への留学など、関節リウマチ・膠原病・慢性疼痛を専門に25年以上の経験を積んだベテランのドクターである。多くの難病に粘り強く取り組んできた経験から、痛みに苦しむ患者に寄り添う医療をモットーとしている。関節リウマチ、膠原病、線維筋痛症など痛みを伴うリウマチ科を専門としながら、全身性疾患を総合的に診る内科全般の診療も行っている。現在のリウマチ性疾患の治療や今後の展望など、さまざまな話を聞いた。
(取材日2019年8月7日)

痛みのゲートキーパーとして仕分けの役割を担う

まず、診療内容とクリニック名の由来をお聞かせください。

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当院は関節リウマチをはじめとした膠原病などのリウマチ性疾患を中心に、高血圧や糖尿病、感染症などの一般内科の診療も行っています。リウマチ科というと関節リウマチだけの診療科だと思われがちですが、体全般の痛みを引き起こす多種多様な疾患を対象としています。よく「整形外科との違いは何ですか?」と聞かれるのですが、リウマチ科は循環器内科や消化器内科、神経内科などと並ぶ内科の一つです。主に内科疾患による体の痛みを診療し、薬物によって治療する点が整形外科との違いだとお考えください。クリニック名の「らびっと=RABBIT」は、「リウマチ性疾患、関節炎、線維筋痛症をはじめとした全身の痛みを抱える患者のために、適切な検査と治療を」という英文から頭文字を取った造語です。「痛み」に苦しむ患者さんと向き合い、長いスパンでともに歩む治療者であり共感者であることをめざしています。

リウマチ性疾患とはどのような病気なのですか。

広く捉えれば体の筋肉の運動器系に痛みが生じている状態をリウマチ性疾患と呼ぶのですが、病気は多岐にわたります。関節リウマチを含む膠原病は主に自己免疫疾患、つまり免疫の異常が病気の発症に関わっており、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、多発性筋炎、皮膚筋炎、血管炎症候群などがあります。当院では、こういった自己免疫疾患の他にも、高齢者に多いリウマチ性多発筋痛症や変形性関節症、比較的まれな疾患として自己炎症症候群、脊椎関節炎などを診療しています。患者層は60代が中心ですが、リウマチ性疾患は幅広い年齢層で見受けられます。ですから全患者さんの年齢は、60代をピークに正規分布している感じですね。

患者さんへの接し方や、心がけていることを教えてください。

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体の痛みは心の痛みと密接に関わっているので、リウマチ性疾患の慢性的な症状に悩んでいる患者さんは、心理的・社会的な困難を抱えている場合が少なくありません。線維筋痛症も、心の悩みが原因である患者さんが多く見られます。そのため治療をする上で患者さんご自身の物語といいますか、これまで歩んでこられた生活歴や痛みの歴史を共有する作業が必要になってきます。ですから心のケアにも重点を置いた治療を心がけ、初診では30分以上時間をかけてお話を伺うようにしています。しかし、それは思いのほか大変で時間のかかる作業です。私の言葉が足りないところを看護師たちが補って、さらに深く傾聴し、丁寧に診療のサポートを行ってくれていますのでとても助かっています。また、当院では痛みのゲートキーパーとして患者さんを適切な医療機関につなぐ仕分けの役割も担っており、必要に応じて心療内科や大学病院を紹介するなど連携も行っています。

痛み緩和に不可欠な心のケアやサポートにも尽力

最近のリウマチ治療に変化はありますか?

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関節リウマチに関しては、ここ十数年で新しい薬がどんどん市場に出てきました。ただ慢性疾患ですので、糖尿病や高血圧のように長い時間をかけて薬でコントロールしていく必要があります。ですから抗生剤を使ったら治るとか、手術で切れば治るようなイメージ、いわゆる治癒が期待できる人は、残念ながら少ないのが現状です。けれども薬を飲み続けていれば、消えたわけでありませんが病気を水面深く沈めてしまうことで、日常生活には支障はないし、関節の破壊も進まない、寛解という状態をキープすることが期待できるのです。

患者さんにとって日常生活に支障がなければうれしいですね。

そうですね。特に関節リウマチの場合、早期の段階で専門の医師が診断し抗リウマチ薬による治療を開始すれば、寛解に導くことが期待できます。ただし、それは早期に診断がついて、早期に寛解に入った場合です。症状が進むと関節破壊や手足の変形が起こったりなど、どんどん悪化してしまい、良い薬を使っても十分に効果が得られないこともあります。リウマチ性疾患に限ったことではなくどんな病気でもそうですが、早期発見、早期治療が重要なのです。

今後、新たに取り組んでみたいことはありますか。

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実践的で楽しい体操教室やヨガ教室などを院内に併設できたらと思っています。痛みを訴える方の多くは、運動すると今以上に痛みがひどくなると思っていますが、本当は真逆なのです。筋肉を維持して関節の機能を保護するというのは、リウマチに限らず、体が痛んで動きにくい病気には必要なことです。楽しく体を動かすことで心が前向きになれば、脳の中で機能低下していた神経ネットワークが活発になって、痛みの軽減につながります。それを院内で実感できる場ができれば理想です。医師から患者さんに「施すだけの」医療ではなく患者参加型の医療の場を、いつかつくっていきたいと思います。

心の声にまで耳を傾け、地域医療の一翼を受け持つ

リウマチ科を標榜するクリニックとして、地域医療に関してはどうお考えですか。

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リウマチ性疾患は長期的に複雑な全身症状を伴いますから、そのマネジメントが一つのクリニックの中だけでは完結しないことがしばしばあります。患者さんは高齢になりますし、高齢で発症する方も多いので、かかりつけ医として初期から終末期まで診ることになります。そのためさまざまな医療機関との協力・連携体制は欠かせません。私は当院での診療以外に、市内の中核的な高次医療機関でもリウマチの外来診療を担当していますし、近郊の在宅医療クリニックと連携して往診を行っています。リウマチ性疾患の患者さんは長い経過の中で移動が不自由になり通院できなくなる場合がありますから、在宅医療にシームレスに移行できる環境が必要です。同時に急変時に備え、大規模病院と密接なつながりを持つことも重要です。病診連携、病病連携、診診連携といった地域ネットワークで、一人の患者さんに対するチーム医療を行う。その一翼を担うのが当院の役割だと考えます。

地域ネットワークを生かしたチーム医療が重要なのですね。

はい。先にも述べましたが医師だけではなく、看護師も含めた多職種で患者さんの言葉を傾聴するという作業がとても大切なのです。痛みを抱えている患者さんは、医療機関で嫌な思いをした経験を持つ方が少なくありません。痛みを訴えても、検査で異常がみつからなければ、「おおげさですね」とか「嘘を言っているのでは?」と言われたこともあると聞きます。こうした心ない言葉が、何よりも患者さんを傷つけるのです。痛みを理解されないということで心が傷つくと、体の痛みはさらに耐え難いものになってしまう。そんなことがないよう、できるかぎり耳を傾けていきたいと思っています。

では最後に、来院を考えている読者の方へメッセージをお願いします。

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リウマチ性疾患は中年女性が多いと思われがちですが、老若男女、誰にでも起こりうる病気です。なんとなく手がこわばる、動きにくい、などの微妙な変化を見逃さず、小さな症状でも「リウマチかもしれない」と疑ってほしいと思います。痛みに対する対症療法だけで経過を見ることは避けてください。また原因不明の全身の痛みで苦しんでいる方にも、ぜひリウマチ科を標榜する専門医療機関を訪れてほしいと思います。私がリウマチを専門としたのは、ある意味学問的に面白いなと思ったからです。いろいろな病態が合併している中で、小さな手がかりを集めながら推理していく必要がある。臨床推論といいますが、物語をひもとくように、患者さんの人生を読み解いていくことが治療につながるという、非常に手応えを感じる領域だからこそ、良い結果が出たときの喜びもひとしおなのです。

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