喉への刺激を抑えて苦痛が少ないように
経鼻による上部内視鏡検査
久保クリニック
(横浜市西区/横浜駅)
最終更新日:2024/06/03


- 保険診療
カメラのついたスコープを挿入し、食道、胃、十二指腸の内部を観察する上部内視鏡検査。初期での自覚症状が少ない消化器がんの早期発見に有用な他、腹痛や便通異常、出血といった症状の原因を探り、確定診断へとつなげる上で重要な検査だ。「内視鏡検査は『痛い』『苦しい』と避けてしまう方がまだまだ多いようですが、新鋭の経鼻スコープを用いることで、苦痛に配慮した検査を行うことができるよう努めています」と話すのは、横浜市西区「久保クリニック」の水野千鶴院長。消化器外科を専門とし、現在は外来診療と並行して、クリニックで気軽に受けられる内視鏡検査の提供に注力しているという。苦痛への配慮で検査へのハードルを低く下げることに努める同院の経鼻内視鏡検査について、水野院長にその詳細と流れを聞いた。
(取材日2023年12月14日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q経鼻内視鏡検査とはどのような検査ですか?
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A
上部消化管内視鏡検査では、先端に超小型カメラがついたスコープを挿入し、食道、胃、十二指腸の内部の様子を調べます。胃がん、大腸がん、食道がんといった消化器がんの他、胃潰瘍や胃炎などを確定的に診断することが望めます。生体検査のために、病変組織をその場で採取することも可能です。また、胃の粘膜がピロリ菌に感染していないかどうかも同時に調べられます。横浜市では50歳以上の男女は2年に1回、市の補助による検査を受けられます。また、胃痛やむかつき、胸焼けなどの症状がある場合には、保険診療の枠内で検査を実施します。当院では鼻からスコープを挿入する経鼻内視鏡検査を主に行っており、苦痛を抑えた検査に努めています。
- Qこちらで行っている経鼻内視鏡検査の特徴は?
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A
近年では内視鏡の極細化が進み、スコープを口から入れる経口内視鏡の検査と、鼻から入れる経鼻内視鏡の検査の2通りの方法があります。当院が早期から導入している経鼻内視鏡検査は、喉を通さないため刺激を抑えられ、「おえっ」となる嘔吐反射がありません。そのため苦痛が少なく、以前経口内視鏡検査を受けた方は特に、思っていたよりも楽だったと感じていただけるはずです。もう1つの当院の特徴は、鎮静剤を使用せず、意識がはっきりした状態で検査を受けていただくスタイルを採用していることです。検査後は休息の時間を取ることなくすぐにご帰宅いただける上、検査中に万一不快感などがあった場合にも直接お話しいただけます。
- Qどのような人が検査を受けるべきですか?
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A
胃痛やむかつき、胸焼けなどの消化器症状がある場合はもちろん、健康診断で消化器リスクを指摘された方、50歳を超えてまだ検査を受けていないという方は、ぜひ検査を受けていただきたいと思います。死につながる恐れもある胃がんは早期ではほとんど自覚できる症状がなく、定期的な検査を受けることが大切です。2年に1回を目安に内視鏡検査を受けましょう、また、内視鏡検査により萎縮性胃炎が見つかると、ピロリ菌による感染が起こっている可能性があります。ピロリ菌感染は胃がんのリスクを高めますので、後日あらためて血液あるいは呼気から検査を行い、必要に応じて除菌治療へとつなげていきます。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1問診と検査の説明
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市の補助による検診の場合、希望日に予約を取って来院。同院では午前中に1日3〜4件検査を行える体制を取り、外来診療と並行して内視鏡検査を実施する。症状がある場合は対応する薬を処方し経過を見ながら、必要に応じて検査を勧める。検査が決まったら採血により感染症の有無などを調べ、問診で既往症や薬歴を確認。直近で健康診断を受けている場合は、その際の検査内容と結果も聴取。疑問や不安があればこの時点で質問できる。
- 2消泡剤の飲用や鼻の麻酔など検査の準備
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検査日前日は21時までに食事を済ませておく。検査当日は水のみ摂取することが可能だが、検査の2時間前までにとどめる必要がある。脱水のリスクが高い高齢者では、夏場の内視鏡検査は勧められないという。前処置として胃の内壁をきれいにするための消泡剤を飲み、粘膜を収縮させるためのスプレーを鼻腔に噴霧。ゼリー状の麻酔薬を鼻から注入し局所麻酔を行う。副作用が少ない検査を行うために、麻酔薬の使用は少量に抑えている。
- 3経鼻内視鏡検査
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検査台に上がり、左側を下にして横になった状態、左側臥位を取る。検査は、鼻の穴から直径約6ミリのスコープを挿入して行われる。まずはスコープを最深部である十二指腸乳頭部まで深く入れて観察をはじめ、ゆっくりと引きながら胃、食道の内部を観察していく。検査にかかる時間は4〜5分程度。病変があれば、生体検査のための組織採取を行うことがある。
- 4検査結果の説明
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同院では鎮静剤を用いない検査を行っているため、検査中や検査直後も意識がはっきりして会話が可能な状態。検査の結果も当日説明を受けることができる。撮影した画像や動画を一緒に見ながら、腫瘍や潰瘍の有無や粘膜の状態など、消化器内部の状況を医師が詳しく説明してくれる。採取組織を検査に出した場合は、結果が届き次第再び来院して説明を受ける。
- 5除菌治療と生活習慣のアドバイス
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萎縮性胃炎が見られ、ピロリ菌感染が疑われる場合には、血液検査を行い、ピロリ菌感染がわかれば、胃の薬と抗生物質を1週間毎日内服する除菌治療を受ける。他に、刺激物や就寝前の飲食を避けるなど、消化器に負担をかけない食事の取り方といった生活習慣のアドバイスも受けられる。