三森 経世 所長の独自取材記事
たけだ膠原病リウマチクリニック
(京都市下京区/京都駅)
最終更新日:2025/06/13

2023年5月に誕生した「たけだ膠原病リウマチクリニック」。京都駅からほど近く、同じグループの武田病院も目と鼻の先にあるアクセスの良い立地が魅力だ。クリニック名に冠した膠原病やリウマチ性疾患は早期診断・早期治療が特に重要だといい、同院で所長を務める三森経世先生をはじめ、高い専門性を持った医師による診療が特徴。2025年5月のリニューアルで新たに加わった仲間や先進機器、院外との連携も活用しながら患者をサポートしている。クリニックが大切にする考え方やリニューアルで一層強固になった診療体制など、三森先生に話を聞いた。
(取材日2025年5月27日)
専門性を生かし早期診断・早期治療をめざす
まずはクリニックの歩みについて教えてください。

これまで京都市内に膠原病やリウマチ性疾患を専門的に診る施設が非常に少なく、大きな病院に通うしか選択肢がない状態でした。市中のクリニックでも専門的な診療を行えるようにしたいと考えていたところ、理事長からお声がかかり、グループの診療所だった場所に、2023年5月「たけだ膠原病リウマチクリニック」を開設しました。膠原病は全身のさまざまな臓器が障害されることが特徴で、一つの医院では診きれないという側面があります。そのために嫌厭される傾向がいまだにあるので、そんな患者さんの受け皿として、また入院の必要がない外来診療での治療が可能な方や、退院後のフォローにも対応しています。ゼロから始めた取り組みだったのでどうなることかと不安でしたが、ホームページを見てくださったり、近隣の医院からの紹介も増えて、多くの患者さんに来ていただけるようになりました。
三森先生を始め、専門家による診療が大きな強みですね。
膠原病やリウマチ性疾患は、早期診断・早期治療が非常に重要です。そもそも関節リウマチは、薬で炎症や痛みを抑えて何とか日常生活を維持できれば良いという治療が行われてきました。それでも年々関節が変形し、機能障害を起こしてしまうので、車いすや寝たきりになる方が半数近くいるような時代があったんです。しかし、この20年ほどで飛躍的に治療法が進歩し、適切に治療を行うことで進行リスクの軽減が期待できるようになったのです。また、リウマチも膠原病に含まれますが、膠原病はいろいろな臓器に障害が出るために診断がつかないまま医療機関を転々としたり、適切な治療が行われずに苦しんだりするケースがあります。はっきりと診断がつかなければ患者さんの不安は増す一方なので、早く診断し、早く治療を始めることが専門の医師の使命だと考えています。
どんなときに受診すれば良いのでしょうか。

リウマチ性疾患は関節に痛みが出る病気なので、まずは関節の違和感があれば受診をお勧めします。また「朝のこわばり」といって、寝起きに手が動かしにくい、力が入らない、時間がたつと普段どおりになるという特徴的な症状があります。寒さで指先が白や紫などに変色する「レイノー現象」も、膠原病の初期に多く見られる症状です。他には、顔や指の発疹、口内炎、繰り返す熱、手足のむくみなども多いです。発疹なら皮膚科、むくみなら内科などに行かれることもあるでしょうが、症状から膠原病やリウマチ性疾患を疑うことが大切です。詳しい検査をして診断がつけば、適切な治療に結びつけることができますから、少しでも気になる症状があれば早めにご相談いただきたいですね。
治療を支える丁寧な診察と先進機器
診療の中で大切にされていることを教えてください。

まずは、患者さんの訴えを丁寧に聞くこと。もう一つは、全身をしっかりと診ることです。頭の中にも発疹がないか、喉の腫れや口腔乾燥がないか、首のリンパ節や甲状腺が腫れていないか、心雑音や呼吸音の異常がないか、肝臓や脾臓を触れるか、全身の関節に腫れや痛みがないか、足にむくみがないか……。初診で来られた方には時間をかけてくまなく診察し、早期診断につなげています。また、膠原病は同じような特徴や性質を持った病気の総称で、例えば全身性エリテマトーデスや強皮症、シェーグレン症候群、多発性筋炎・皮膚筋炎などさまざまな病気があります。聞きなじみのない病名かもしれませんが、診断名をしっかりと告げた上で「現在は治療法が確立されていますので、病気になる前と同じ生活を送っている方も多いです」と、患者さんの安心を得られるような伝え方を心がけています。
最近、クリニックがリニューアルされたとお聞きしました。
2025年5月から痛風・骨粗しょう症を専門に診る外来がスタート。関節リウマチの総合的な診療に力を入れる十条武田リハビリテーション病院から2人の医師が来てくれたので、より専門性の高い診療が可能になりました。痛風・骨粗しょう症と膠原病やリウマチは、切っても切れない関係にあります。というのも、痛風の原因は高尿酸血症によるものですが、関節の痛みを伴うため広い意味でリウマチの一つといえます。また、膠原病の治療ではステロイドを使用することが多く、骨粗しょう症が誘発されやすくなるという課題があります。そこで、今回のリニューアルでDEXA法による骨密度測定装置を導入。膠原病やリウマチの治療と骨粗しょう症の検査を一緒に進められるようになったことは、とても有意義だと感じています。
新たに取り入れられた設備や機器についても教えてください。

先ほどの骨密度測定装置の他、エックス線検査と心臓、頸動脈、下肢静脈、腹部、関節の各種エコー検査のための先進機器を導入しました。特に関節エコー検査は、リウマチの診断と治療経過に重要なものです。本来、関節は触って腫れや痛みがあれば炎症があると判断できますが、まれに腫れや痛みがなくても炎症が残っている場合があります。そのままにしておくと関節が壊れていく原因になりかねないので、治療経過をしっかりと確認するために精度の高い関節エコーが活躍してくれるでしょう。
院内外の仲間との強固な連携で患者をサポート
循環器内科も新たに設置されましたね。

2025年6月からは、膠原病・リウマチ内科と循環器内科の2本柱での診療体制となりました。2つの科は関係性がないように見えますが、膠原病は全身に影響を及ぼすので、循環器内科にお世話になることも多いんです。向こうから膠原病の疑いがあるからと引き継がれることもあるでしょうし、隣同士で相談し合えるのは良い環境だと思っています。また、痛風・骨粗しょう症を専門に診る外来と循環器内科の外来に新たに加わってくれた医師は、私と10年以上の付き合いのある先生ばかりです。連携を取りながら患者さんを診ていけることは、本当に心強いですね。
よりパワーアップされたということですね。連携について、さらにお聞かせください。
リニューアル前から、医仁会武田総合病院と京都大学医学部附属病院の医師が診療に携わってくれていて、それぞれの病院でのケースなど情報交換をしながら対応しています。何度も言うように全身に影響する膠原病やリウマチは、私たちだけで診るには限界がある病気です。入院が必要なら大きな病院を頼らなければなりませんし、心臓や肺、腎臓、神経、消化器に障害が出れば、臓器特異的な専門の診療科にお願いする場面も多々あります。武田病院のグループ内だけではなく、さまざまな病院や診療科の方とつながりを持っておくことが、ひいては患者さんの安心にもなると考えています。
最後に、今後の展望や読者へのメッセージをお願いします。

専門性の高い診療が特徴であり、私たちの強みです。今回のリニューアルで、より患者さんのためになる設備・体制が整ったのではないでしょうか。膠原病やリウマチは早期診断・早期治療が重要と言いましたが、進んでしまった病気でも十分対応は可能ですので、気軽に相談できる場所でありたいと考えています。飛び込みでも、他院からのご紹介でも、少しでも気になる症状があればどんどん来ていただきたいですね。