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清水 政克 理事長の独自取材記事

清水メディカルクリニック

(明石市/朝霧駅)

最終更新日:2023/01/25

清水政克理事長 清水メディカルクリニック main

明石市と神戸市垂水区にまたがる明舞団地の中心に位置する「清水メディカルクリニック」。消化器内科を専門にする清水政美院長が2011年に開業した。2013年には、清水院長の息子である清水政克副院長が在宅医療部門を立ち上げ、主に訪問診療や在宅緩和ケアを行い、2020年に副院長と兼任する形で理事長に就任した。通院できなくなった患者が、入院治療だけでなく在宅医療を希望どおり選択できることが、清水理事長の理想。そのために、相談に気軽に立ち寄れる「めいまい保健室」をクリニック内に設けたり、在宅医療の人材育成プログラムに参加するなど、精力的に活動している。そんな患者やその家族、スタッフなど周囲の人を思いやる人柄の清水理事長に、在宅医療に懸ける思いを聞いた。

(取材日2022年9月28日)

外来と在宅医療をつなぐクリニックをつくりたい

医師としての歩みを教えてください。

清水政克理事長 清水メディカルクリニック1

三重大学を卒業後は、神戸大学の大学院で循環呼吸器を専門に学びました。神戸大学医学部附属病院の総合診療部(現総合内科)を経て、2006年から、もともと興味があった在宅医療の道に飛び込み、神戸市西区の「みどり病院」で勤務医として在宅医療を経験しました。そして、外来の診療と在宅医療をつなげるクリニックをつくりたいと考えるようになり、消化器内科が専門の父と当院を立ち上げました。前職の担当エリア近郊であること、祖父が明石市で診療所をしていたことから、この場所を選びました。明石市の東の端になるので、訪問診療では明石も神戸もカバーできますからね。当院の開業は2011年ですが、2012年の厚生労働省「在宅医療連携拠点事業」の活動を終えてから私が当院に来たのは2013 年。その時に在宅医療部門がスタートしました。

クリニックでは、どのような診療を行っていますか。

外来では、内科、消化器内科、循環器内科に対応しているので、風邪などの感染症や腹痛などの一般的な内科の診察や、心臓病や血管の病気などを診察します。また、週に1度、完全予約制の緩和ケア内科の外来も行っています。がんや神経難病などの疾患に伴う身体的・精神的・社会的な問題に悩む患者さんとそのご家族に対し、苦痛の予防と軽減を図り、その人らしい穏やかな生活ができるようケアするというものです。在宅医療では、寝たきりや体が不自由で通院できない方や、がんなどで在宅で治療を希望される方などを対象に、定期的に診察に伺い、緊急時の往診にも対応しています。現在は医師も増え、僕を含め医師3人による3チームの体制で訪問診療を行っており、西部の一部地域を除く明石市、北部の一部地域を除く神戸市西区、東部の一部地域を除く神戸市垂水区など、広いエリアをカバーできるようになりました。

在宅医療の患者は高齢者が多いのでしょうか。

清水政克理事長 清水メディカルクリニック2

この地域は高齢化率が4割を超えていて、兵庫県の高齢化先進地区モデルにもなっているので、80代以上の患者さんが多いですね。でも、かつては「通院できなくなったら入院するもの」というのがこの地域の方の認識だったので、当院が在宅医療を立ち上げてから、在宅医療を利用すれば自宅で治療したり、終末期を過ごせるということが少しずつ浸透してきたと思います。そして、5年ほど前から医療的ケア児を対象にした在宅医療も始めました。例えば人工呼吸器を装着するなど、医療的ケアが必要なお子さんがご自宅で過ごすには、どうしても訪問診療が必要ですが、医療的ケア児に対応できるクリニックが近くにないという方もいます。当院は対応エリアが広いため、クチコミもあってか、子どもの訪問診療の件数が増えてきています。

対応は迅速に。患者と家族の孤立を防ぐ試みも

診療の際に気をつけていることはなんですか。

清水政克理事長 清水メディカルクリニック3

訪問診療の依頼があったら、まずは面談をするんですが、迅速に対応することが大切です。在宅医療を希望される方は重病の方など待ったなしですから、時間をやりくりして、できれば原則2診療日以内に面談をするようにしています。みんなで相談して、知恵を出し合ってスケジュールも調整して、患者さんが入院先からご自宅に帰りたいタイミングを逃さないように考えています。それから、実際に診療するときには、患者さんご本人の意向をできるだけ尊重するようにしています。ご家族の方にもお考えはあると思いますが、患者さんの気持ちを最優先します。そして、患者さんも、入院しているときと、ご自宅に帰ってからでは言うことが変わったりもするので、その時々の気持ちに寄り添います。

クリニック内の「めいまい保健室」で、さまざまな取り組みをしているそうですね。

「めいまい保健室」は、当院エントランスの裏手にあり、外から直接出入りでき、外来とは別に気軽に足を運んでいただけるよろず相談所として開設しました。毎月、タイムテーブルを作成し、相談員が介護や福祉に関する相談や健康相談を受けたり、体操教室やアロマテラピーを実施したり、映画上映会などのイベントを開催しています。今、社会的な孤立を防ぐために、お薬を処方するのではなく、社会とのつながりを処方する「社会的処方」が盛んになってきました。当院でも、家にこもりがちな患者さんに外出を促すために相談会やイベントにお誘いしたり、運動不足によるフレイルを予防するために体操教室をご紹介したり、患者さんやご家族の方への声かけに、この保健室を活用しています。

ご遺族を対象にした試みもしていると聞きました。

清水政克理事長 清水メディカルクリニック4

残念ながらお看取りとなった訪問診療患者さんのご遺族のケアとして、月に1回「めいまい保健室」でご遺族が集う「そよかぜカフェ」と、半年に1回の遺族会「そよかぜの会」を開催しています。もともと訪問診療の患者さんが亡くなって1ヵ月後くらいに、ご遺族のもとへお悔やみのお花を持参してお線香をあげさせていただいていましたが、その後、連絡を交わすこともなかったんです。でも、集まって思いを共有する拠り所があればいいのでは、ということで、看護師が主体となって始めました。皆さん、近況やつらい気持ちなど、思いの丈を吐き出して「また会いましょう」と帰って行かれます。僕も、訪問診療の合間を縫って、できるだけ顔を出すようにしています。時には、厳しいご意見をいただくこともありますが、医師としての成長につなげたい、遺族会にいらしていただけることがありがたい、と真摯に受け止めています。

患者が自由に療養場所を選べる社会に

外来診療も在宅医療も、スタッフとの連携が欠かせませんね。

清水政克理事長 清水メディカルクリニック5

毎日、朝晩に全職種が参加するミーティングを行い、在宅患者さんに関する意見交換や情報共有をしています。自然な会話の中でディスカッションするかたちなので話しやすく、活発に発言してくれるので、とても助かります。看護師やソーシャルワーカー、栄養士などからは、医師には思いつかないようなことを言ってくれるので、できるだけ拾い上げています。換気に気をつけながら、昼休みは「めいまい保健室」で昼食を自由に取れるようにしていて、月に1回、クリニックで用意したお弁当をみんなで食べながらランチミーティングをするなど、日頃から風通し良く、コミュニケーションを取りやすい環境づくりもしています。

今後の展望をお聞かせください。

訪問診療や在宅緩和ケアができる人材を育成することです。当院も在宅医療を立ち上げた当初は訪問診療は僕だけでしたが、現在は医師が増えて幅広いエリアをカバーできるようになりました。在宅医療を広めるためにマンパワーは欠かせません。当院では、神戸大学医学部附属病院緩和支持治療科、明石医療センター総合内科と協力して、家庭医療と緩和ケアに専門的に対応できる医師の養成に関する研修プログラムを実施しています。当院の研修期間中には、在宅医療、一般外来、まちづくり活動などを通じて、地域に求められている医療スキルや社会的役割をともに学んでいきます。

最後に、読者の皆さんへのメッセージをお願いします。

清水政克理事長 清水メディカルクリニック6

究極的には、患者さんがどこで過ごしたいのか、どこで最期を迎えたいのかを選べる地域にしたいです。現状、約7割の人が病院で亡くなっていますが、もう少し選択の余地を広げたいですね。まずは、病院医療がすべてではなくて、通院できなくなったときの選択肢として在宅医療もありますよ、ということをぜひ知っていただきたいですね。外来だけでなく「めいまい保健室」で情報発信を積極的に行うなどしていきます。引きこもりがちな患者さんや、悩みを抱えているご家族さんなど、気軽に相談にいらしてくれるとうれしく思います。

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