井上 博之 院長、新城 孝道 副院長の独自取材記事
メディカルプラザ篠崎駅西口
(江戸川区/篠崎駅)
最終更新日:2023/12/27
都営新宿線・篠崎駅西口を出てすぐ、赤地に白抜きの「メディカルプラザ篠崎駅西口」の文字が目に飛び込んでくる。ここは、2階で透析治療、1階で内科・腎臓内科・糖尿病内科の診療を行うクリニックだ。最大の特徴は、新城孝道副院長が長年にわたって取り組むフットケアの外来の存在。これは、糖尿病などの疾患によって足に病変が起きるのを防いだり、すでに出ている症状の改善をめざしたりすることで、壊死や切断を防ごうという目的で設置されたものだ。さらに2023年4月より井上博之院長が着任、より手厚い透析治療体制を整えていくという。井上院長、新城副院長に同院の診療内容について話を聞いた。
(取材日2023年4月5日)
透析治療とフットケアを2本柱に
こちらのクリニックの診療内容について教えてください。
【新城副院長】内科、腎臓内科、糖尿病内科の診療を行い、2階には透析施設も有しています。糖尿病内科は私と、系列の「篠崎透析クリニック」の三舩瑞夫院長が担当しています。最近は、健診などで糖尿病と、その予備軍とされるメタボリック症候群の指摘を受けて通院される方が目立ちます。症状の経過によっては、関連病院である「江戸川病院」をご紹介し、そちらで手術を受けていただくこともありますね。私も週に1度は江戸川病院で診察をしていますので、患者さんの通いやすさやご希望に応じて通院先を選んでいただくようご案内しています。また、フットケアやリウマチなどを専門に診る外来も開設しており、患者さんの状態に合わせてより専門的な治療を受けていただくことが可能です。一般内科については、予約状況をご確認の上でご来院ください。
フットケアは、新城先生のご専門ですね。
【新城副院長】昭和大学卒業後、定年まで東京女子医科大学糖尿病センターに勤めていたんです。その時、私が初めて担当させていただいたのが、糖尿病で足に影響が出てしまった患者さんでした。すでに糖尿病がだいぶ進んでいて、足の壊疽も始まっていたんですね。神経障害や血流障害が進んで壊死や壊疽に至ると、最悪の場合は切断せざるを得なくなってしまうのです。その症例は非常に印象に残り、「こうなる前に、内科的な方法でなんとか改善できないだろうか」と考えるきっかけになりました。その後も、糖尿病の患者さんで足に病変が出るケースを診ることが多くありました。そうした方は、ほとんどのケースでかなり症状が悪化してしまっていて、外科に行くと切断という診断になってしまう。そこで、フットケアを取り入れようと思ったんです。当時、外国ではすでに知られていた手法ですが、日本での認知度はまだまだ低かったですね。
井上先生は、透析治療の責任者と伺いました。
【井上院長】慶應義塾大学卒業後、同大学の腎臓内分泌代謝内科に入局し、付属病院勤務を得て、東京歯科大学市川総合病院に移りました。慶應義塾大学医学部附属病院や東京歯科大学市川総合病院では腎臓内科専門の医師として、腎移植や、血液透析、腹膜透析などさまざまな経験を積みました。その後、当院の系列である「小岩駅北口クリニック」に勤務したご縁で、当院の院長に就任することになりました。透析治療の責任者として、透析だけでなく、シャントの管理もしています。もしシャントが詰まるようでしたら、カテーテルを使ったPTA(経皮的血管拡張術)も行います。
シャント管理とフットケアでは装具・靴のチェックも
透析治療ではシャントを適切に管理することが重要だそうですね。
【井上院長】シャントとは、透析をする際に用いる動脈と静脈を直接つなぎ合わせた血管のことをいいますが、透析の度に針を刺すため、血管が細くなったり、詰まったりとさまざまなトラブルにつながります。シャントは静脈の形状や血管の流れが患者さんによって異なるので、誰一人として同じものはなく、一度シャントを形成したら全然メンテンナンスが必要ない人もいれば、頻繁にチェックしなければいけない人もいるんですね。もしシャントが詰まってしまった場合には先ほども言いましたカテーテルを使ったPTAを行います。これは日帰りでできる手術で、また超音波で見ながら行いますから、心臓カテーテルのように造影剤を使うことはありません。
こちらの透析治療の特徴を教えていただけますか?
【井上院長】地域的に高齢の患者さんも多いので、バス送迎を行っています。あと、透析中にベッドで栄養士による栄養指導を受けていただけるのも特徴です。当院で実施しているのは血液透析ですが、腹膜透析については関連病院の江戸川病院で行っています。ただ腹膜透析だけでは体内のコントロールを図るのが難しい例もあり、その場合は血液・腹膜のハイブリッド透析という方法がありまして、血液透析の患者さんを当院に紹介していただくこともあります。
次に糖尿病治療のフットケアについて伺います。こちらでは装具の作製や靴の調整も手がけているそうですね。
【新城副院長】糖尿病の治療では、よく食事管理や運動が大切だといわれますが、血流障害が進んでいると歩きたくても思うように歩けず、次第に物理的に歩くのが困難になってしまいます。当院では巻き爪などのネイルケアをはじめ、たこやうおのめのケア、角質ケアなどを行い、血流促進を図り、しっかりと自分の足で歩き続けられるようサポートしていきます。足に合わない靴や歩き方の癖も足の病変を誘発し、運動の妨げになることがあるので、立位姿勢やバランス、歩き方、体のゆがみをチェックした上で、問題点があればそれを改善するための運動を指導します。また、靴のチェックと調整、靴型装具の作製も合わせて対応しています。普段履き慣れた靴で来ていただき、その擦れ具合や減り具合、歩き方を見せていただきます。大きな変形が見られる場合は、問診後にじっくり状況を確認し、採寸・型採りを経て靴型装具を作製します。
糖尿病の改善に向け、運動指導や栄養指導にも注力
姿勢や歩き方はどのようにチェックするのでしょう。
【新城副院長】待合室から診療室へ進む通路に、白いテープを貼り、壁に大きな姿見を設置しています。新しい患者さんがいらしたら、まずは白い線に沿って、鏡に向かって歩いてもらいます。その様子をじっくりチェックした後、立った状態で体のバランスを確認すると、歩き方の癖や靴との相性、体のゆがみ、またそれによって痛みの出ている部分などが把握できるんです。目をつぶって歩いていただいたり、クリニックの外の駐車場を使って長い距離を歩いていただいたりすることもありますね。皆さん、普段の生活で歩き方を意識することは少ないと思いますが、実際にはいろいろな癖があるものなんですよ。座っている時の姿勢からわかることもありますね。
新城先生は運動指導もなさっているのですね。
【新城副院長】全身の状態を把握したら、ゆがみを取るのに有用なストレッチを試すほか、具体的な運動のアドバイスもしています。壁や階段を使う方法や、自転車にまたがる動きで股関節の柔軟性の向上を図る方法、お相撲さんが試合前に取るそんきょのポーズなど、家にあるものや道具なしで簡単にできる方法が中心なので、誰でも簡単に生活に取り入れられ、かつ継続しやすいと思いますよ。
今後の展望についてお聞かせください。
【井上院長】私は日本透析医学会透析専門医としてだけでなく、日本腎臓学会腎臓専門医として幅広く患者さんを診てきました。その経験を当院でも生かしていきたいと考えています。透析に必要な血管管理もこれまで以上にしっかりと取り組んでいきたいと考えていますので、安心して通院していただければと思います。
【新城副院長】これまで以上に運動指導に力を入れて、フレイル、ロコモ症候群、サルコペニア、さらには認知症の予防につなげていきたいですね。運動をして筋力を保ち、転倒による骨折を防ぐことができれば、寝たきりになるリスクも軽減できるでしょう。ほかの疾患を抱えている方も、運動できる状態を保つことで症状悪化の防止につながると考えられますから、足の状態に不安がある方はお気軽にご相談ください。